< *印 新仮名遣い>
三谷和夫:「六十年前槍も穂高も登つたよ」と言ひてしまへり若き人らに(新アララギ2017.11)
佐々木フミ子:平成が戦前とならぬこと祈り今年も繙く『歌集八月十五日』 (新アララギ2017.11)
木村和子:雑草に交じりて広がるひるがほの淡きくれなゐ故里よぎる(新アララギ2017.11)
須田博:阻み来し十秒の壁砕きしは桐生祥秀九秒九八(歌会2017.11)
今野英山:沖縄の最後の夏を惜しみつつ私を照らす花火の中に(新アララギ2017.11)
高橋毬枝:十四歳藤井聡太棋士に教へらる情熱秘むる所作に礼あり(新アララギ2017.11)
山崎日出男:優先席どっかり座り化粧する若き女(おみな)は恥じらひも無く(歌会2017.11)
麦島和子:*にこにこと笑顔の孫の口元に二本の乳歯頭出したり(新アララギ2017.11)
岸野トモヱ:*父逝きて職変え別の人生をわれ始めたり半世紀たつ(歌会2017.11)
大倉康幸:*滝のごと降り続けたる今朝の雨洗い清めよ我のまわりを(新アララギ2017.11)
相川盈子:*稀勢の里に続け高安ふるさとを土浦の地を世に知らしめよ(新アララギ2017.11)
宮本通代:鎌研ぎの力も無くし弱りたる夫の命の細りしころか(新アララギ2017.11)
葛岡昭男:*縁日の露店で喉を潤したラムネの泡に昭和がうつる(新アララギ2017.11)
渡辺澄子:*こおろぎのコロコロコロと夕餉時(どき)衣被ぎ(きぬかつぎ)食む厨にひとり(歌会2017.11)
石川芳江:*ひさかたの雨に木槿の白き花底のくれない色冴え冴えし(歌会2017.11)
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