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『ザ・ライト エクソシストの真実』 今なぜエクソシストなのか。

2011年04月24日 | 怖かった映画


原題:THE RITE(G)
2011年・アメリカ(120分)
               
製作:ボー・フリン、トリップ・ヴィンソン
監督:ミカエル・ハフストローム
脚本:マイケル・ベトローニ
音楽:アレックス・ヘッフェス
出演:アンソニー・ホプキンス、コリン・オドナフュー、アリシー・ブラガ、
   ルトガー・ハウアー ほか


鑑賞日:2011年4月21日 (川崎)

鑑賞前の期待度:★★★★


「おおっ!ルトガー・ハウアーじゃ~~~ん。」
主人公マイケルの父親として登場した顔を見て、
まず心の中で叫んでました、
「老けたなぁっ!」て。
なんてったって、もう67歳だもの。
代表作『ブレード・ランナー』(1982)から約30年。
月日の流れを、しみじみ感じます。
もちろん、『シン・シティ』('05)『バットマン・ビギンズ』('05)などにも出演していて、
まだまだ現役の俳優でいてくれるのは嬉しいところ。
「これからも活躍し続けて欲しいな~。」などと、
本編の内容とはまったく関係ない感慨を抱きつつ、観てしまいました。


以下、本題。

じつは、
昨年のスクリーム・アウォードで紹介された時から期待していた作品です。
ベースは、
Matt Baglio
というローマのジャーナリストが2009年に出だした本、
『The Rite: The Making of a Modern Exorcist』。
副題が示す通り、
現代のエクソシスト(悪魔祓い師)の姿をリアルに描いた作品。
実際にヴァチカンには、エクソシスト養成講座があるのだとか。

その養成講座がどのように行われているのかが、
個人的には、一番の興味の対象でした。

予告編を見て、
フィルムやテープに記録された、
実際の悪魔祓いの例を具体的に検証するのかと思っていたのですが、
その点に関しては、予想よりもあっさりした印象で、
ちょっと残念でした。

むしろ、
主人公の神学生マイケルが(ある理由で)信仰を失っているということもあり
「じゃ、自分の目で確かめてみなさい。」とばかりに、
さっさとフィールドワークに出されてしまうという展開。
そして出会ったのが、
異端だが一流のエクソシストであるルーカス神父(A・ホプキンス)。
(異端というところがこの映画のミソ。)


訪れた神父のもとで、タイミング良く、
悪魔に憑依されている少女に対する悪魔祓いの儀式を、
直に目にすることなったマイケル。
しかし、
少女は悪魔に憑依されているのではなく精神疾患だと、
マイケルは
言い切る。

どうしても悪魔憑きに対して疑いの目を拭えないマイケルだが、
ルーカス神父とともに、さらなる体験をすることに・・・。
果たして、悪魔憑きは精神疾患によるものなのか?
すべての現象は、トリックに過ぎないのか?
しかし、遂にマイケルは、悪魔との対決の時を迎える!!


「ぬおぉぉおお~~~~!! 怖っ!!」


『エクソシスト』(1973)で広まった間違ったイメージを修正する意味で、
現代の悪魔祓いをできるだけリアルに描いた映画でした。

また、わざとらしい過剰な演出がない分、
役者の演技力によって恐怖が際立つ作品でもありました。
その意味では、アンソニー・ホプキンスの演技は絶品。
『ウルフマン』('10)では、
ホプキンスの良さがあまり生かされてなかった気がしましたが、
本作での演技はさすが!!ビビリました。
しかし、それ以上にぼくが目を引かれたのは、
悪魔に憑依されている16歳の少女。
彼女の身体を張った芝居は、圧巻。
表情の変化はメイクによるところがあるにしても、
その豹変振り、とくに目つきの変化は凄い。
A・ホプキンスに引けを取らない演技(憑依)に、
すっかり見入ってしまいました。

「いや~、怖かった!!」


<My Memorable Scene>
ルーカス神父の両腕が、真後ろに引っ張られていくシーン。
それ以上は、肩が外れるっ!骨が折れる~~~っ!というギリギリの状態に、
もう少しで「やめてくれ」と叫びそうでした。

 

特殊効果による怖さ:★★★★★★★★
16歳少女の悪魔憑き度:★★★★★★★★★★★★★★★★
ルーカス神父の怖さ:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
猫とカエルが・・・!!度:★★★★★★★★★★★★
メッセージ性:★★★★★★★★★★

鑑賞後の総合評価:★★★☆

                        
ぼくにとっては、
『エミリー・ローズ』('05)のほうが、心に残っているかも。
                      

以下は余談です。

なぜ、アメリカで悪魔祓いの要望が増えているのか?

2010年11月
市民の高まる要求に応え、
カトリック司教たちが召集された。
その要求とは、“悪魔祓い”である。
「我々は戦いに備える必要がある」  (ニューヨーク・タイムズ紙)


このニューヨーク・タイムズの記事を、
もう少し詳しく読んでみると・・・

「今週末、悪魔祓いの方法を学ぶため、
 アメリカ・ボルチモアに多数のカトリック司祭が集まっている。
 会議の主催者トーマス・J・パプロッキ司教によれば、
 カトリック・プリースト(司祭)は、
 悪魔祓いを行うに必要なスキルを失っている。
 しかし、儀式に対する要求は全国で増している。」と書かれていました。

非公式会議に集まったのは、66人の司祭と56人の司教。
この人数には、パプロッキ司教も驚いたようです。

それだけ、悪魔に憑依されたと訴えるカトリック信者が増えているのでしょうか?
様々な理由が考えられますが、その一端として、
ヒスパニックやアフリカからのカトリック信者が米国に流入してきたこともあると、考えられています。
もともと彼らは、文化的に超自然な経験を受け入れやすく、
そういった信者からの要望が増えていると。

一方、相談を受ける教会側はといえば、 
ハリウッド映画の影響もあり、“悪魔祓い”は冷笑され、
米国内のカトリック信者や司祭でさえ嘲笑して来ました。
実際には、映画のような血みどろになることはないし、
また、悪魔に憑依されるなど稀な異常なことで、
儀式が行われることも稀で、異常なことだと、
司教たちも認識しています。

それでも、信者が相談に来れば、彼らに向き合い、
本当に必要なのが司祭なのか精神科医なのかを判断しなければなりません。
しかし、この判断を下せる司祭が、米国内にはほんのわずか。
そのため、相談に応じ切れていないようなのです。
そこで、非公式ながら会議が行われていて、
最終的には、各教区にひとりずつ、
そのスキルを持った司祭を配したいようです。

では、悪魔の憑依などないのか?

トーマス・J・パプロッキ司教は言います。
「悪魔の普通の仕事は、誘惑です。
 それに対する普通の答えは、注意深く正餐と祈りをおこない、
 良い精神生活を送ることです。」と。

The Devil doesn't normally possess someone who is leading a good spiritual life.
(悪魔は、通常良き精神生活を送る者には憑依しない。)


しかし、最近の日本で、
まるで何かに憑依されているかのようなニュースに触れました。

災害で避難を余儀なくされている地区での空き巣。
金品を盗んでいくもの

彼らの心には、いったい何がとり憑いているのだろうか?



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