コメちゃんの悪性リンパ腫闘病日記

悪性リンパ腫になってからの生活の様子と病気についての考え方を書いていきます。

糖について考えてみた その2

2017-06-15 10:03:42 | 日記
前回は糖がエネルギー代謝において重要であるということを簡単に述べてみた。
今回は糖が身体を形作ることにおいても重要であるということを述べてみたい。
まず初めに生命誕生のことを考えてみると
生命とはその内部での物質交換と外部との物質のやりとり(代謝)ができて
同じ型の個体の再生産(遺伝と生殖)ができるものということになる。
まず生命は脂質二重層(リン脂質)で出来た細胞膜で周りと隔離して
生命活動を行える独自の空間を確保した。
その中の化学反応を触媒する酵素をタンパク質で作り
そのタンパク質を作る設計図として
或いは個体の再生産をするための設計図としてDNAを持った。
そのDNAを構成する基本分子であるヌクレオチドは
核酸塩基(アミノ酸他で作られる)とリボース(5炭糖)とリン酸でできている。
ここでも糖(ペントースリン酸経路で作られる)が使われている。
初期の生物である細菌のような微生物は
リン脂質でできた細胞膜の他に細胞壁を持っており
例えば真正細菌の細胞壁は
糖鎖とペプチドの化合物であるペプチドグリカンでできている。
糖鎖のグリカン鎖はN-アセチルグルコサミンとN-アセチルムラミン酸が
交互にβ(1→4)結合している糖鎖で
その糖鎖と糖鎖の間を
テトラペプチド(4つのアミノ酸がペプチド結合したもの)で架橋している。
このように外界と隔離する為の構造物にも糖が使われている。
ちなみに細菌を死滅させる抗生剤の多くは
この細菌の細胞壁の合成を阻害することでその作用を発揮する。
細胞壁がなければ、細菌の細胞内に水が流入してくるようになり
その結果、細胞が膨張して破裂し、細菌が死滅するという仕組みだ。
また我々がよく目にするグラム染色も細胞壁が関係する。
グラム染色性の違いは細菌の細胞壁の構造の違いによる。
グラム陽性菌の細胞壁が
一層の厚いペプチドグリカン層から構成されているのに対し
グラム陰性菌では
何層かの薄いペプチドグリカン層の外側を
外膜と呼ばれる、リポ多糖(LPS)を含んだ脂質二重膜が覆う形となっている。
このため、アルコールなどで処理すると
グラム陰性菌の外膜は容易に壊れ
また内部のペプチドグリカン層が薄いために
細胞質内部の不溶化した色素が容易に漏出して脱色される。
グラム陽性菌では
脱色されないまま色素が残るので青く(クリスタルバイオレットの青)見えて
グラム陰性菌では脱色されるので赤く(サフラニンの赤)見える。
また糖鎖の大事な役割として
細胞膜にタンパク質と結合した糖タンパク質として埋め込まれている糖鎖は
細胞の顔とも言えるもので
細胞膜の外側にアンテナのように突き出していて
その先端が触れることで様々な情報を細胞内に取り入れ
細胞の増殖や発生と分化、炎症、免疫など様々なことに関わっている。
ちなみにヒトの血液型は
赤血球表面にある糖鎖の末端のわずかな違いによって分類されており
ある基本となる糖鎖に修飾がされてなければO型
N- アセチルガラクトサミンが修飾されているのがA型
ガラクトースが修飾されているのがB型
両方の型を持っているのがAB型となる。
生命の体を形作る構成材料としての糖は
植物細胞の細胞壁および植物繊維の主成分であるセルロースがよく知られている。
セルロースはベータグルカンの一種で
β-グルコースがβ1→4結合で重合したものである。
体を形作っている糖(炭水化物)の成分比率を見ると
動物は0.4%だが植物では23.8%と大きな差がある。
セルロースは天然の植物質の1/3を占めるので
地球上で最も多く存在する炭水化物となっている。
他にも糖由来の大事な生体物質について言えば
解毒に関係するグルクロン酸や
タンパク質を強くしたり抗酸化の働きをするビタミンCのアスコルビン酸は
グルコースから作られる(霊長類はできない)。
このように糖はエネルギーを作る元になるだけではなく
身体を形作ったり、身体の色々な所で使われる大事な栄養素ということになります。
糖化反応を起こすからというだけで毛嫌いするのではなくて
糖の大事さを分かった上で
身体に良い糖の摂り方をもっと考えるべきだと思います。


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