精神科医山内の心の相談室

日常の臨床経験から得た心の悩みに役にたつことをわかりやすく説明します

恋すること

2014-12-13 | 日記
過去ブログで、愛することと働くこと、を書きました。
本日、恋すること、で説明してみます。

人が恋の感情を持つときは、まず相手は、特定の具体的な人物です。
その人が好きだから、その人の前では緊張もするし、動悸もする。
だからといって避けたりはしないでしょう。
好きだから、近くにいたいと思うでしょうし、
約束の時間には何とか間に合いたいと思うでしょう。

この逆のことが、強迫的な不安うつ状態のときには、起こるのです。
つまり、相手の前では、不安、緊張を理由に、避けたくなる、
約束、時間には、間に合わせないといけないがまず出てきて、そのプレッシャーで断ってしまう。
強迫、不安うつ状態のときには、相手が恋する対象とは違い、
怒られる、怒られない、の親との関係に重ねて相手をみていることが多いです。
大体、職場の人間関係、上司などは、親と重ねてみやすいものです。

特定の上司のことで頭が一杯というとき、大抵、その上司は嫌いだと、言われます。
これは、嫌いな上司にご執心であり、そのため好きな上司や仕事内容を見逃しやすくなっていることなのです。
思考の優先順位は大事です。
嫌なものは嫌、まず好きな相手を具体的にみるほうが力が出ます。
親は嫌でも好きでもどちらでもいい、嫌いな上司もどちらでもいい。
(上司だから、自分にないものはある、それは学びたい、
怒られたと、とるより、良いものもらったと、とるのが良いです)
まず具体的な恋する相手は誰で、その人とどうなりたいかが大事です。
恋する気持ちは、大事です。
仕事もそうです。好きなことは何で、どうなりたいか、具体的な好きなことで、
仕事を選びたい、そう思うことは大事です。

好きなことばかりで仕事はできませんよ、は親の言い分です。
我慢が先は、親がまず子に教えることで、それはしつけでした、
だから強迫的(過去ブログで書きましたように)になります。
恋する相手には、言いたいこと言ってわかってもらいたいが先です。
仕事もしたいこと言って、何とかならないかは、意欲として、職場に伝わります。
仕事のさせられ体験はストレスです。我慢して続けても職場は真面目だとだけ伝わります。

恋する相手とうまくいかないことは辛いことですが、
どうしても駄目なら、その経験を活かし、次の相手です。
仕事もそうです。させられ体験で逃げたい、辞めたいの流れは、自信になりません。
この仕事が好きで、学びたい、それでその職場環境がどうしても駄目なら、
その職場のそれまでの経験を活かして、次の職場への方向なら、
それは逃げではない、ステップアップになります。

嫌な上司がどうしても気になるときは、
それ以上にどうしても、好きな上司はいないのか、ああなりたい同業者はいないのかに、
目を向けてみることが大事です。
ああなりたい相手、好きな相手がいないと思うときは、
恋する相手がいないと、決めてみてしまってるだけ、
恋する相手は、自分にも、当然ある、と思うのが健康的です。