産婆の気持ち

助産師として活動している中で感じること、日々の生活の中での出来事や思うことを書き綴っていこうと思います。

研修会in東京

2008-02-25 22:38:09 | 助産師
先週末、助産師会の研修に参加するために東京に行ってきました。
若い助産師から大ベテランの助産師まで、全国各地からたくさんの助産師が集まりました。

“助産師”というと元気でパワフルな人が多いのですが、今回の研修会でもたくさんのパワフルな助産師と出会うことができ、圧倒されながらもとてもとてもたくさんの元気と知恵をもらって帰ってきました。
同業者ということもあるのか、初めて会う人でも初めてという印象をあまり感じず、「どこかで会ったような・・・」という気持ちになるので不思議です。

久しぶりに大都会の風を感じ、頭の中もちょっと賢くなって、リフレッシュできた週末でした。

○ヶ月から

2008-02-22 10:41:00 | 育児
ベビー用品店や薬局に行くと、数多くの赤ちゃん向けの商品が並んでいます。
1ヶ月からの麦茶。○ヶ月からのお菓子。ベビーフード。果汁。。。

こんな商品の「○ヶ月から」というフレーズを見て、使っているお母さんもいると思います。
「○ヶ月から」というのは、もちろん「○ヶ月から必要なもの」というわけではありません。
でも、「○ヶ月から」と書かれていると「使ってみようかな」と思うのも仕方ないことだと思います。

赤ちゃんの腸が成長して離乳食を欲しがるまで、人の赤ちゃんは母乳・人工乳以外のものは必要ありません。
商品の箱や袋の裏を見てみると、赤ちゃん向けのお菓子にも砂糖は使われています。
子どもの歯を気にして砂糖ではなく、キシリトールなどを使っているお菓子を選んでいるお母さんもいるかもしれませんが、歯科の先生に言わせると「キシリトールであっても子どもに甘味を教えることになるため、そういう意味でキシリトールも勧められない」そうです。

「かわいい我が子と一緒にお菓子を食べたり、ジュースを飲んだりして楽しい時間を過ごしたい」と思うお母さんの気持ちもあると思います。
でも、お菓子やジュースを子どもと一緒に楽しむ時間は近い未来に必ずやってくるので、急ぐことはありません。

ものが豊かに溢れすぎている今、いろんな甘い誘惑や宣伝文句に流されることなくいきたいなと思います。
・・・が、良くないとわかっていても、太るとわかっていても、ついつい甘い誘惑に引き寄せられてしまう自分がいます

赤ちゃんが先生

2008-02-17 22:50:57 | おっぱい
“乳腺炎”の時には、おっぱいに痛みが出たり、しこりができたり、熱が上がったりします。
熱も高熱が出ることも多く、40度くらい出てしまうこともあります。

乳腺炎の時でも、炎症は起こしていなくてもおっぱいが詰まっている時でも、とにかくまめに吸わせることが大事です。
赤ちゃんは下顎がくる方向の腺をよく飲みとってくれます。
だから、気になる方向に赤ちゃんの下顎がくるように、飲ませる向きを変えて授乳すると詰まりもとれやすいのです。

でも残念なことに、世間では「熱が出ている時の母乳は赤ちゃんに良くないから、授乳をやめて搾るように。」と言われてしまうことがあるようです 
おっぱいの調子が悪い時に赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらえないと、ますます悪化してしまいます。
乳腺炎の時でも、乳腺炎以外での発熱の時でも、母乳が赤ちゃんに良くないということはありません。

前回の記事にも書いていますが、お母さんが風邪をひいた時のおっぱいにはその風邪の免疫が出てくるようになっているため、赤ちゃんにうつさないためにも、うつったとしても軽い症状ですむためにも、おっぱいを飲ませてあげた方がいいということになります。

おっぱいの分泌をよくするのにも、おっぱいのトラブルを予防するのにも治すのにも、一番の先生は赤ちゃんです 

女の人の不思議な力

2008-02-15 23:55:12 | おっぱい
人の体から出るもので薬になるものは何か?
それは“胎盤”と“母乳”

これは、韓国ドラマ『宮廷女官 チャングムの誓い』の中で言われていたものです。
冬ソナの次に、私が“はまって”しまった韓国ドラマで、王様に仕えるひとりの女官の苦難に満ちた、しかし、その時代、身分の低い扱いをされていた医女でありながら王様の主治医にまで昇りつめた、歴史に名を残した女性の実話に基づいた話です。

胎盤は今も薬を作るのに使われています。
動物はお産の後に胎盤を食べ、産後の滋養(おそらく・・・)としています。
母乳は、ちょっと昔の時代まで(今でも使っている人は使っていると思いますが・・・)薬として目や鼻や耳に入れて使っていました。
抗生物質のような働きを期待して目や鼻や耳に使うだけでなく、母乳には免疫を作り出す作用もあります。
IgA抗体と言って、鼻や喉や腸などの粘膜上に広がって、外部から体内にばい菌が侵入するのを防いでくれたり、風邪などの症状を引き起こすウィルスなどに対しての免疫を作り出し、赤ちゃんに予防注射や薬のように作用してくれることもわかっています。
この風邪などに対する免疫は、お母さんが風邪をひいた時はもちろんですが、お母さんはまだ罹っておらず赤ちゃんが先に風邪をひいたときでも、赤ちゃんの風邪のウィルスをお母さんの体が感知して同じように免疫を作り出してくれます。

本当に母乳の力はすごいと思います。
この他にも、まだ明らかになっていない母乳の偉大な力がきっとたくさんあるのではないかと思います。
胎盤と母乳、どちらも女性でなければ作ることができないものです。
痛み・苦しみに耐え抜いて新しい命をこの世に産み出す“女”という性。
本当にすごいのひと言です。

心打たれるスピーチ

2008-02-12 23:25:05 | 日々のできごと
寝太郎先生のブログで紹介されていた12歳の少女のスピーチです。

1992年の6月11日、ブラジルのリオで、国連の地球環境サミットが開かれました。そこで、カナダ人の12歳の少女セヴァン・スズキが、世界各国から集まったリーダーたちを前にして、6分間のスピーチをしました。

このスピーチをまだ聴いたことのない方は、ぜひご覧下さい。
感想を述べることも恥ずかしくなるほどの、素晴らしいスピーチです。

生まれて来たい時

2008-02-12 22:51:48 | お産
しばらくの間、更新が滞ってしまいました。
お産をされたお母さんと赤ちゃんのお世話に専念させてもらっていました。

先週の新月の大潮の初日に、お産の時はやってきました。
予定日から1週間遅れての出産でした。
出産予定日はあくまでも“予定”であって、“絶対のもの”ではありません。
予定日ぴったりに生まれてくる赤ちゃんは、わずか4%と言われています。
正期産(早すぎず、遅すぎず、適当な時期に生まれる出産)は、妊娠37週0日から妊娠41週6日の間の出産のことを言います。
なので、1週間遅れるくらいは全く問題となることではないのですが、助産院で取り扱える出産は正期産に限られます。
まだまだ未熟な産婆である私は、予定日を過ぎてくるとちょっとそわそわしてきてしまいます。

正期産の時期を過ぎてくると、胎盤の働きが衰えてきやすく、胎盤の働きが衰えてくると赤ちゃんも元気がなくなって陣痛に耐えられない状態になることもあります。
そのところを確認しながら自然に陣痛がやってくるのを待つのですが、お産になった時は「やっと生まれてきてくれたー」「よくぞ生まれてきてくれたー」という気持ちでいっぱいでした。

病院などでは、予定日を過ぎると「赤ちゃんが大きくなりすぎるから」とか「胎盤の機能が落ちてくるから」という理由などで、「そうなる前に・・・」と陣痛を起こす薬が使われることもあります。
でもお母さんと赤ちゃんに特別なお産を急ぐ理由がなければ、赤ちゃんが生まれて来たい時を待つことが、お母さんと赤ちゃんに無理のないお産になると思います。

お産に立ち会わせていただく時は、いつもお母さんと赤ちゃんふたつの命を任されているという責任を感じながら緊張の中でお産の時を迎えるのですが、今回はその重みをさらに増して感じ、また、生まれてくる赤ちゃんの力と産むお母さんの力を信じて生まれるべき時を待つことの大切さを改めて教えてもらいました。

またひとつの命の誕生の時を一緒に過ごさせてもらえたことに感謝です。