『黄金の国ジパングに生まれて』 黄金島 光丸/作

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『神様はどこにいるの』つづき

2001年06月24日 | 小話
もっと時代が進み、暮らしは豊かになった。
テレビやパソコン、携帯電話の画面からは溢れるほどの情報が流され続けた。


ある日、少年は母親にたずねた。
「ねぇ、神様はどこにいるの?」

母親は言った。
「誰でも心の中に神様はいるの。
いつでもあなたを見ているから、まじめに生きるのよ」


少年は聞き返した。
「誰でも?僕や母さんの中にも?」

「そうよ。一人づつの中に神様はちゃんといるの。
夜も遅いから、もう寝なさい」
母親は子供をベットに連れて行った。

ベットの中で少年は、嬉しそうに母親の言葉を繰り返した。
その日の夜は、とてもいい夢を見た。



大人になった少年は純粋に神様を信じ続けていた。
母親の言葉を信じ、自分なりにまじめに生きていた。






テレビのニュースはいつものように事件を伝えていた。


「ついに連続殺人事件の犯人が逮捕されました。
300人以上の人間を無差別にバラバラにした男が本日、逮捕されました。

この異常といえる事件の動機について男は

“神様に会ってみたかった”

と意味不明な言動を繰り返しています。
真相の究明が急がれます」



この凶悪事件はしばらく人々の話題の中心となった。
が、しだいに忘れ去られた。


今日もニュースは人々の興味を引こうと次々と新しい事件を流し続けていた。


<おしまい>


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