こっちゃんポイント ★★★★
鑑賞環境 試写会 上映時間 117分 製作国 日本 公開情報 劇場公開 (アスミック・エース) 初公開年月 2006/01/21 ジャンル ドラマ/ロマンス
元大学教授の数学者(寺尾聰)の家に派遣された家政婦の杏子(深津絵里)は、彼が交通事故の後遺症で80分しか記憶がもたないことを告げられる。戸惑う杏子だが、ある日、彼女の息子(齋藤隆成)と数学者が会い…。(Yahoo!映画より抜粋)
どうしてでしょう?何だか今になってとても泣けてきます。
春の日差しに包まれたこの心優しい映画に、冬の寒さも忘れ、博士の暖かい胸に飛び込んで行きたくなります。
来年の一月中旬以降に公開が予定されているこの映画の試写会にお招きを受けました。当日は小泉監督、主演の寺尾聡さんによる上映後のトークまであり、満たされた想いで家路につきました。
ぼくの記憶は80分しかもたない」
今年最多のテーマともいえる「記憶系」の映画です。
日本、韓国、ハリウッド・・・・今年は様々なお国で「愛」をテーマとした記憶障害の物語が涙を誘いましたね。まるで大きなお鍋に放り込まれた「記憶喪失」という旬な具を争って貪るかのように、実に数々の物語が映画化されていきました。いい加減「もうお鍋の中には美味しい所なんて残ってないのでは?」そんな気すらしていました。
でも決してそうではなかったんですね。この映画は今までの映画とは切り口が違います。もちろん「記憶障害」の悲しい現実はそこにあるのですが、そこばかりを強調した作りにはなっていないんですね。毎日のように繰り返される博士のやさしい言葉や行動には、幸せを何度も呼び起こし、周囲にいる人たちを暖かく包み込んで行く素晴らしさもまたありました。
たぶん皆さんもある程度予告編などを観て、この映画をご想像しているのでしょうが、決して派手な作りではありません。テンポとしては非常に緩やかで、しかも中盤以降やや緩慢に感じてしまう部分もあるかもしれませんね。それでもこの映画は最後まで暖かく、そして優しい。小泉監督という人の性格が実に良く染み込んだ作品のような気がします。
10年前の交通事故により足の自由さを失ってしまった義姉(浅丘ルリ子)と、記憶のつながりを失ってしまった天才数学者の義弟(寺尾聰)。彼の記憶はキッチリ80分でまた元に戻ってしまいます。
そんな二人が住む家に家政婦としてやってきた杏子(深津絵里)は義姉に「今日あなたに会っても明日にはまた忘れてしまいます。」と告げられるのでした。博士のジャケットにはいつも数枚のメモがクリップで留められています。大事なことを忘れないように。そして次の日からそのメモに杏子のコトも書き込まれるようになります。「新しいお手伝いさん」ってね。
これは、そんな博士と過ごした家政婦、そしてその息子である√(ルート)のお話しです。
物語としては、その√(ルート)と呼ばれた男の子が大人になって数学教師となり、新しく授業を受け持つこととなった教室で自分と母、そして博士と過ごした時のことを数式を織り交ぜながら話して行くという流れなんですね。
成長した√(ルート)を吉岡秀隆さん、10歳の子供の頃の√(ルート)を映画初出演の斎藤隆成クンが演じています。この二人、実に顔が似てますね~。結構、子役の場合って「えっ?この人の子供の頃がこの子なの?」って思うことが少なくないんですよね。でも、隆成クンが大きくなったら本当に吉岡さんのようになりそうに見えちゃいますよ。とってもストレートなキャスティングだと思います。
原作はベストセラーですから読んだ方も多いのかもしれませんが、いつもながらこっちゃんは映画で初めてこの作品と出会いました。そして、素直に驚きました。こんなモノの見方や考え方があるのか、と・・・。
物語の中で登場する『数』『記号』『数式』は、博士の言葉によってまるで生きているかのように語られて行きます。
靴のサイズ。誕生日。電話番号・・・・・。
まるで博士の数式に対する愛情は、ありとあらゆる数字に命を吹き込んで行く魔法のよう。
記憶が80分しかもたないために、何を喋って良いか混乱する。そんな時に博士はこの数字の話を持ち出すんですね。
初対面の家政婦に対して「君の靴のサイズはいくつかね?」と問いかける。
「24です。」と答えると、「ほう、実に潔い数字だ。4の階乗だ」とまた返す。
階乗、素数、完全数・・・・・。こんな風に博士はいつも他人とコミュニケーションをとっていくんです。この感覚にはワクワクさせられてしまいました。もし、こんな人に子供の頃出会えていたら人生もきっと変わっていたでしょう。こんな先生に教わったらきっと算数や数学がきっと好きになったハズです。(きっと極端な思い込みですけど)
それにしても、一つの数というものがこんなにも美しいとは思いもしませんでした。
この映画で初めて知った言葉『友愛数』(これは寺尾さんも映画の中で初めて知ったとおっしゃってましたが)を「神の計らいを受けた絆で結ばれた数字なんだ」なんて、素晴らしすぎます!
人を愛し、子供を愛した博士は、また同じように数も愛したのですね。
そんな博士の役を寺尾聰さんが演じています。こっちゃんの大好きな俳優さんです。そんな寺尾さんですが、この映画では今までのどの作品よりも優しい眼差しを向けていたように感じました。
家政婦役の深津絵里さんは、ここでは女手ひとつで息子を育てる頑張るお母さん役でしたが、これもとっても自然で良かったですね。吉岡秀隆さんも頭のてっぺんが平らだからと名付けられた√(ルート)君の役がとっても良かったですよ。博士から数学の知識と一緒に優しさも受け継いだ人柄をシッカリと演じてくれていました。
最初の生徒への自己紹介で「ゴメン。寝癖がなかなか取れなくてね・・・」と笑いを誘ったその頭はまさに√記号のように見えました(笑)
「ALWAYS 三丁目の夕日」でも茶川サンで人気を集めた吉岡さんですが、ここでもまたとっても良い役どころでしたよ。
桜の花びらが空から降り注いできそうな春の景色。幸せに包まれた優しい音楽・・・。
これもまた良し悪しを抜きにして「好き」な作品です。公開されたらきっとまた映画館に足を運ぶと思います。
今回寺尾聡さんを、最前列の目と鼻の先でお目にかかることが出来ました。ジーンズ姿ではあるもののこの映画からそのまま抜け出てきたかのような雰囲気でしたが、さすがにただ座っているだけで「俳優」を感じさせる素敵なお方でしたヨ。こっちゃん距離が近すぎてキンチョーしてしまった・・・はは。
そんな寺尾さんが「俳優側から見て才能のある人と思えるただ一人の監督がこの小泉監督」なんだとのこと。寺尾さんは監督の作品を待ちわびていたそうです。また小泉監督からも「自分の映画には欠かせない俳優」と逆にラブコール(?)を贈られていました。
あと、寺尾さんの誕生日に合わせて「息子の√(ルート)君の誕生日を映画では設定を変えてもらったんです。」なんて楽しいお話も聞かせて頂きました。
物静かなイメージのお二人でしたが、今回の上映後のトークで、作り手としての葛藤やご苦労はどんな映画にもあるのだな~と勉強になりました。当たり前ですが、ただそれを観て好き勝手言える立場のこっちゃんには考えもつかないムズカシさがそこにはあるのでしょう。これから心して、でも楽しみながら映画と付き合って行きたいな~ってあらためて思える、そんなとっても貴重な時間を過ごさせて頂きましたヨ。
寺尾さん、小泉監督さん。わざわざ冬の寒い札幌までありがとうございました。
小泉監督は、イベント終了後も会場を後にするみんな一人一人に、「今日はありがとうございます」と廊下で頭をさげてくれるような素晴らしいお方でした。
今となっては「こちらこそ」とワケの分からぬ返事しか返せなかったあの時のこっちゃんが 悔やまれてなりません。
《2006.08.04記事一部改訂》
博士の愛した数式 新潮社 原作。流れる一編の詩のような数式への語り口。愛のある作品です。 |
阿弥陀堂だより 特別版
アスミック
小泉堯史監督の名作です
雨あがる 特別版 角川エンタテインメント 黒澤監督の血がここに受け継がれています |
観たら、またきまーす。
とりあえずTBをお返しさせていただきます。
こんにちは、寺尾かずです。
ほう、生で寺尾さん見ちゃった。
それは羨ましー限りだ。こっちもそんな試写会やってくれないかなぁ~。
流行の記憶喪失系だけど、なにやら良さそうな雰囲気だ。
必見か!?
こっちゃんの記事を読んで絶対に見たいと思います。
楽しみです。
楽しみだなぁ。
なんかいい感じ。
ご贔屓、吉岡君も出てるしね。
こっちゃん、もう観たのね。いいなあ~
寺尾さんと監督、北海道まで行ったんだ~。
いいなあ~
ウチのとこにも来てくれないかな~(ムリだな・・)
あ!トラバありがとー!
深津サンは三蔵さんをやるんですかぁ?
う~ん。
なかなか楽しみですねぇ~それは。
夏目さんを超えるかな?
▼かずろぐさんへ
そーなんれす。
こんなのあるんどすえ。来年だけど。
ぜひ機会があったら観てちょんまげ。
札幌もこんなの滅多にないんですけど
今回はラッキーでした♪えへへ
アンタ、るびーの指輪って(笑)
▼yukiさんへ
あ、yukiさんもチェックしてたんですね。
是非観て下さいね。
気持ちの良い暖かさに包まれますよ。
一足先に春を感じることができますよ、きっと
▼mさんへ
お?そかー。
上陸後に見れるかもね(笑)
ぜひ上陸第一弾でどーですかな?
今までの記憶系とは一味違いますよ。
好き好きだと思うけど、こっちゃんは好きです
▼はんなさんへ
これ吉岡君ファンにもオススメできます。
良かったよ。
優しいんだなぁ語り口が。
泣ける人も泣けない人も暖かさに包まれますよ。
はんなさん向きだと思います
▼Swanさんへ
あー!Swanさんにもオススメしますよ♪
これ良かったです。
最近北海道は恵まれてますね。
こっちゃん幸せです。
今年はいい年でした・・・ってまだちょっと早いネ
私、小学生の時、大大大・・・・好きでした。
(気の多い女よのぉ~)
毎日「ザ・ベストテン」に”ルビーの指輪”の
リクエストはがき(似顔絵入り)書いてました。
今では日に日に お父さんに似てこられますねー!
あっ、映画の話だった。日本映画もがんばって観るようにしようっと。
楽しみな映画になりました。
吉岡くんや深津さん目当てで観に行こうかな。
ところで、タイガースのユニホームを着ているお子たちは?
記憶系の流れはまだまだ続きそうだよねっ♪
やっぱりBSEは脅威だぁ
ってこっちゃん「こちらこそ」って可愛すぎ~っ
でも、そぅ言ったつもりでも寺尾さんには「ワンワンワン!」▼・ェ・▼って聞こえてたカモょ