こっちゃんと映画をみまちょ♪

レビューと呼ぶほど中身なし。しかし中身が無いのも中身のウチよのぅ。・・・なんちって。

春の日は過ぎゆく (2001)

2005年07月22日 | いかすMovie

こっちゃんポイント

鑑賞環境

★★★★

こっちゃんシアター

上映時間 113 分
製作国 韓国/日本/香港
公開情報 松竹
初公開年月 2002/06/22
ジャンル ドラマ/ロマンス

ラジオ番組の素材録りのため、録音技師のサンウ(ユ・ジテ)は、番組のプロデューサー兼DJのウンス(イ・ヨンエ)と小旅行をする。2人の間に恋が芽生えるが、若くストレートに感情を表すサンウに対し、彼より年上で離婚歴のあるウンスは、深い関係に踏み込むのを恐れ、次第にサンウと距離を置き始める・・・。
(作品資料より抜粋)

 

優しい音楽に包まれながら、四季を通して変わり行く
男と女の愛を描いた映画です。

ユ・ジテの恋にまっすぐで自然な青年ぶりと、
イ・ヨンエの仕事に生きる非家庭的な女性のスマートさがとっても良いですね。

ここ最近流行りの韓国映画と一味違って、
ストーリーはとっても緩やかに優しく流れて行く心地良さを持っています。

仕事を通じて仲良くなり、愛し始めたカップルの心の隙間が
季節とともにゆっくりと広がり、やがて終わりを告げる・・・。

二人が出会い愛し始める春、心変わりの夏、
別々の暮らしに戻り心の葛藤に悩む秋、そして心が沈んだ冬を越え、
再び巡ってくる再会の春・・・

時の流れの中で変化を見せる愛が、非常に的確に描かれています。

離婚経験があり、どこか心に傷を持つウンスは
サンウの自然な形の愛すら受け止められず、
彼に対して懐疑的な心境で接してしまいます。
そしてサンウもそんな彼女の本心を理解できず苦しむのでした。

この映画では人の心というものが、繊細に、そしてリアルに描かれています。
恐らく観る人によっても、また男と女でも、
この映画の感想は違ってくるのではないでしょうか?

男から見れば、サンウの苦しみは良く分かります。
同じように、女性はウンスの心の傷を理解できるでしょう。
この映画では、楽しかった恋愛時期はあっという間に終わってしまい、
むしろ、その後の心のうつろう情景に
ピントが当てられたような作りにも見て取れます。

見所は、揺れ動く心境に戸惑いながら
どうして良いか分らなくなっている二人の姿そのもの。

ずっと思い悩んだ彼は、ラストでしっかりとこの恋の答えを出しますが、
そのときの心の内側の描き方が実に見事ですね。

満開の桜並木を歩くサンウとウンスの二人___。
彼は彼女より少し早く歩き、それを彼女が時々小走りに追いかける。
立ち止まりウンスに観葉植物を手渡すサンウ・・・。

場面が変わり、川辺の草むらが風に棚引く音を録りながら
ラストで見せるサンウの表情・・・

余計な着飾った言葉に頼らない繊細な映像による表現は
まるでガラス細工のよう。
オブラートに包んだ言葉ですら、この映画のイメージを壊してしまいそうです。

この映画には、サンウが彼女の新車を傷つけるショッキングな場面があります。
あのときの「ギギギ」という嫌な音は、きっと彼の心の叫びそのものでしょう。

勝手な想像ですが、こんなすれ違いの失恋の想いをした人は
意外と多いのではないでしょうか?

辛く苦しい「失恋」がテーマでありながら、
美しい思い出を胸に残しつつ再び巡ってくる季節に身をゆだねる。
そんな後味の良さをもつ優しい映画です。

傷ついた心も時が癒してくれる。
季節が変われば、悲しい思い出も美しく心に残る。

「バスと女は去ったら追うもんじゃないよ」と、
泣きじゃくるサンウに優しく言ってくれた おばあちゃんの言葉が耳に残ります。

この作品を「退屈な映画」と言う人もいるでしょう。
でも、形の無い「心」というものを映像として映し出すというのは
きっとこういうことのような気がします。

そっと、心の隅にしまっておきたくなる。そんなお話。

《2006.07.13記事内容一部改訂》

 

【作品】春の日は過ぎゆく

 



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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (オグ)
2005-07-22 16:49:19
おお、アップありがとうございます。



これは好きな映画です。

特にラストシーンはいいなあ。

僕は風が大好きなんですよ(笑い)。



ホ・ジノの次の作品はどうなる?



恐縮ですが、TBいただいてきます。
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はまってます。 (はんな)
2005-07-22 19:09:10
恋愛ものは韓国映画がいいな、と思う今日この頃です。
返信する
はいはーい! (【オグさんへ】こっちゃん)
2005-07-22 22:00:45
予告どおり、UPしましたよぉ~。

って移しただけですけど。



風を感じるいい映画ですよねぇ。



こちらも後でトラバに伺いま~~~ス♪

 

   こっちゃん
返信する
肌が合うっていうヤツですね。 (【はんなさんへ】こっちゃん)
2005-07-22 22:02:32
うん。

こっちゃんも落ち着くっていうか、

自然に入っていけるのですよねぇ。



わかります。わかります。はい。

    こっちゃん
返信する
見たいねぇ。 (m52387177)
2005-07-23 00:09:11
見たいねぇ。

でも、オークションに手ごろな値段のものがない!!

みんな出品しておくれ
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これねぇ。 (【mさんへ】こっちゃん)
2005-07-23 09:08:52
つまらないっていう人もいる映画ですけど、

こっちゃんはイメージが好きなんです。

とっても静かな、柔らかな、でも痛くて熱いみたいな

そんな映画です。

ホ・ジノ監督の繊細な描写が生きた作品です。



   こっちゃん
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イ・ヨンエ、大人の色気 (Swan)
2005-10-07 21:17:40
ホ・ジノ監督らしい作品でしたね。

実は眠気と闘いながら見たのであった・・・。

でも、後を引く映画でいろいろ考えさせられちゃった。

TBします
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Swanさんへ (【お返事】こっちゃん)
2005-10-08 09:11:41
心地良くなっちゃいましたか?

眠気が襲うようなゆるやかな感じも

この監督らしさでしょうか(笑)

後に残りますが、あのラストのユジテの笑顔で

救われたような気がしますね
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Unknown (じゅん)
2006-06-06 07:05:25
過去記事に失礼します。

おぉー 今回はこっちゃんさんのポイントも

4つでちょっとホットしてます。

私もこの映画 予想以上によかったです。
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▼じゅんさんへ (【お返事】こっちゃん)
2006-06-06 11:03:15
あ、こんにちわ~

良いんですよ、過去記事でもなんでも。

読んでいただいて嬉しいです♪



この映画は地味ですし、

観方もいろいろあると思うんですけど、

こっちゃんはサンウの気持ちもウンスの葛藤も良くわかり

その痛みが伝わってきたんですよね。



★★★★ですよ
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