こっちゃんポイント
鑑賞環境
★★★★
こっちゃんシアター
上映時間 113 分 製作国 韓国/日本/香港 公開情報 松竹 初公開年月 2002/06/22 ジャンル ドラマ/ロマンス
ラジオ番組の素材録りのため、録音技師のサンウ(ユ・ジテ)は、番組のプロデューサー兼DJのウンス(イ・ヨンエ)と小旅行をする。2人の間に恋が芽生えるが、若くストレートに感情を表すサンウに対し、彼より年上で離婚歴のあるウンスは、深い関係に踏み込むのを恐れ、次第にサンウと距離を置き始める・・・。
(作品資料より抜粋)
優しい音楽に包まれながら、四季を通して変わり行く
男と女の愛を描いた映画です。
ユ・ジテの恋にまっすぐで自然な青年ぶりと、
イ・ヨンエの仕事に生きる非家庭的な女性のスマートさがとっても良いですね。
ここ最近流行りの韓国映画と一味違って、
ストーリーはとっても緩やかに優しく流れて行く心地良さを持っています。
仕事を通じて仲良くなり、愛し始めたカップルの心の隙間が
季節とともにゆっくりと広がり、やがて終わりを告げる・・・。
二人が出会い愛し始める春、心変わりの夏、
別々の暮らしに戻り心の葛藤に悩む秋、そして心が沈んだ冬を越え、
再び巡ってくる再会の春・・・
時の流れの中で変化を見せる愛が、非常に的確に描かれています。
離婚経験があり、どこか心に傷を持つウンスは
サンウの自然な形の愛すら受け止められず、
彼に対して懐疑的な心境で接してしまいます。
そしてサンウもそんな彼女の本心を理解できず苦しむのでした。
この映画では人の心というものが、繊細に、そしてリアルに描かれています。
恐らく観る人によっても、また男と女でも、
この映画の感想は違ってくるのではないでしょうか?
男から見れば、サンウの苦しみは良く分かります。
同じように、女性はウンスの心の傷を理解できるでしょう。
この映画では、楽しかった恋愛時期はあっという間に終わってしまい、
むしろ、その後の心のうつろう情景に
ピントが当てられたような作りにも見て取れます。
見所は、揺れ動く心境に戸惑いながら
どうして良いか分らなくなっている二人の姿そのもの。
ずっと思い悩んだ彼は、ラストでしっかりとこの恋の答えを出しますが、
そのときの心の内側の描き方が実に見事ですね。
満開の桜並木を歩くサンウとウンスの二人___。
彼は彼女より少し早く歩き、それを彼女が時々小走りに追いかける。
立ち止まりウンスに観葉植物を手渡すサンウ・・・。
場面が変わり、川辺の草むらが風に棚引く音を録りながら
ラストで見せるサンウの表情・・・
余計な着飾った言葉に頼らない繊細な映像による表現は
まるでガラス細工のよう。
オブラートに包んだ言葉ですら、この映画のイメージを壊してしまいそうです。
この映画には、サンウが彼女の新車を傷つけるショッキングな場面があります。
あのときの「ギギギ」という嫌な音は、きっと彼の心の叫びそのものでしょう。
勝手な想像ですが、こんなすれ違いの失恋の想いをした人は
意外と多いのではないでしょうか?
辛く苦しい「失恋」がテーマでありながら、
美しい思い出を胸に残しつつ再び巡ってくる季節に身をゆだねる。
そんな後味の良さをもつ優しい映画です。
傷ついた心も時が癒してくれる。
季節が変われば、悲しい思い出も美しく心に残る。
「バスと女は去ったら追うもんじゃないよ」と、
泣きじゃくるサンウに優しく言ってくれた おばあちゃんの言葉が耳に残ります。
この作品を「退屈な映画」と言う人もいるでしょう。
でも、形の無い「心」というものを映像として映し出すというのは
きっとこういうことのような気がします。
そっと、心の隅にしまっておきたくなる。そんなお話。
《2006.07.13記事内容一部改訂》
【作品】春の日は過ぎゆく
これは好きな映画です。
特にラストシーンはいいなあ。
僕は風が大好きなんですよ(笑い)。
ホ・ジノの次の作品はどうなる?
恐縮ですが、TBいただいてきます。
って移しただけですけど。
風を感じるいい映画ですよねぇ。
こちらも後でトラバに伺いま~~~ス♪
こっちゃん
こっちゃんも落ち着くっていうか、
自然に入っていけるのですよねぇ。
わかります。わかります。はい。
こっちゃん
でも、オークションに手ごろな値段のものがない!!
みんな出品しておくれ
こっちゃんはイメージが好きなんです。
とっても静かな、柔らかな、でも痛くて熱いみたいな
そんな映画です。
ホ・ジノ監督の繊細な描写が生きた作品です。
こっちゃん
実は眠気と闘いながら見たのであった・・・。
でも、後を引く映画でいろいろ考えさせられちゃった。
TBします
眠気が襲うようなゆるやかな感じも
この監督らしさでしょうか(笑)
後に残りますが、あのラストのユジテの笑顔で
救われたような気がしますね
おぉー 今回はこっちゃんさんのポイントも
4つでちょっとホットしてます。
私もこの映画 予想以上によかったです。
良いんですよ、過去記事でもなんでも。
読んでいただいて嬉しいです♪
この映画は地味ですし、
観方もいろいろあると思うんですけど、
こっちゃんはサンウの気持ちもウンスの葛藤も良くわかり
その痛みが伝わってきたんですよね。
★★★★ですよ