こっちゃんポイント ★★★★
鑑賞環境 試写会 上映時間 122分 製作国 アメリカ 公開情報 劇場公開 (ギャガ・コミュニケーションズ) 初公開年月 2005/12/17 ジャンル ドラマ/サスペンス/アクション 映倫 R-15
ソビエト連邦崩壊前夜のウクライナに生まれたユーリー・オルロフ(ニコラス・ケイジ)は、少年時代に家族とニューヨークへ渡り、両親が営むレストランを手伝いながら育った。ある日ロシア人ギャングの銃撃戦を目撃したユーリーは、戦場に武器を供給する仕事をしようと決心する。弟のヴィタリー(ジャレット・レト)とパートナーを組んで闇の世界に足を踏み入れたユーリーは、混沌とした世界情勢を追い風に、瞬く間に世界有数の武器商人へと上り詰めていく。だがその動向を嗅ぎつけたインターポールのバレンタイン刑事(イーサン・ホーク)が背後に迫っていた。(goo映画より抜粋)
道路一面を多い尽くす黄金色。もちろん落ち葉ではない。それはおびただしい数の銃弾の薬莢が、地面が見えぬほど散らばっている景色。そして、そんな道の脇に立っている男はこう語りはじめます。
「今、世界には5億5千万丁の銃がある。
ざっと12人に一丁の計算だ。
残る課題は_____1人1丁の世界。」と。
物を売り利益を得る「商売」の世界。欲しいという人に、欲しいものを与える。レストランが客に食事を提供するように「武器」を供給しようと考えた男がこのユーリー・オルロフ。実在の人物です。
この映画の物語は、そんな彼がこの世界に足を踏み入れた頃から始まり、順を追ってこの武器の商売というものの世界を見せてくれます。
愛するべき妻と子を持つ彼は、自分の商売を明かさずに武器を売り続けます。ユーリーは、「車やタバコでだっていっぱい死んでる。銃の方がよっぽど安全だ。」と言うホドの愚かしい人間なのですが、この映画はそんな男を嫌味に見せず、むしろ身近に見せてくれるような不思議な演出。
とにかく、映画に出てくる武器のあまりの数の多さに酔ってしまいそうにもなりますが、これまた映像的にはなかなか刺激的な世界であったりもします。とはいえ、拳銃、マシンガン、手榴弾に始まって、戦車、軍用ヘリに至るまで、戦争好きな人種に供給し続けた彼は、正に「死の商人」と呼ばれて当然の男。正に金で殺しの道具をバラまく死神です。
やがて彼の行動はインターポール(国際刑事警察機構)に睨まれることに。しかし、海上で船の積荷を調べられると情報が入れば、即席で船名を書き直しシラを切る。軍用ヘリを船に積み込み中に、捜査の手が伸びれば捜査員の足止めをかけてまで爆弾を取り外し、「救援用だ」と言い切る。こんなアッケラカンとしたやり口でたくみにその手を意払いのけるのでした。これには思わずクスッとしてしまうのですが、よくよく考えれば、こうして戦場に武器がドンドンと流されて行くのではないか!と我に返りもさせられます。
彼は「法に触れるのが黒、触れないのが白とするなら、自分の好みはグレーだ。」と言い放ち、あらゆる知恵で法の手をも振り払いながら死の道具を売り続けるのでした。大量のマシンガンの量り売りや、戦車の仕入れ「6台で1台オマケ」なんて感覚にはさすがに異常さを感じますねぇ。
「味方に売るが、敵にも売る。あらゆる軍に営業して注文を取る。偏見なき死の商人だ。」
というのが彼のキャッチフレーズみたいなモノ。勝敗がどっちに転ぼうとも彼は儲かるのです。そうです、戦争が続く限りは。もちろん、初めは素人からスタートした彼でしたが、やがて「お前が戦地に行くと戦争が長引いて困る」と同業者に嫌味を言われるほど、あちこちの国に営業を展開して行くのでした。
当然、この商売にはやはり危険が付きもの。ヘタをすると自分の「商品」で命を落すことがある訳ですからね。それを承知で彼は「戦友」である弟と各地を渡るのです。武器を発送した先で停戦になれば、「言ったとおり戦争をしろよな!」と憎まれ口をたたくなんていうのは確かに面白かったりします。彼にとっては停戦こそが損害なのですから。
この映画は、そんな彼を通して、武器が誰のモトへ、どのように流れて行くのかが描かれて行きます。武器を欲しがる者。使う者。それを拒むもの。それによって富を得る者。そして、取り締まる者など、様々な感情がこの物語の中を交差して行きますが、恐ろしいのはこれが全部同じ「人間」であるということ。
それこそが、恐ろしい事実なんですねぇ。あ、でもこの映画は作りが上手いです!こんな重いテーマに対して、誰に肩入れするでもなく、意外なほど淡々と描いて行きます。この映画から押し付けの「反戦」「批判」的な感情は伝わってきません。キャラクターが枠からはみ出しそうな危なっかしさもありませんでした。
監督はあの「ターミナル」「ガタカ」「トゥルーマン・ショー」などのアンドリュー・ニコルなんですねぇ。122分のドラマは全く飽きずに観れました。編集が良いんだと思います。テンションとしてはそんなに高くは無いんですが、所々に差し込まれるショットや台詞に何度かクスッとさせられました。あの、武器ショー(画像上)の雰囲気は何なんでしょう?(笑)ショーガールが戦車の上で軍服コスプレでポーズ取っちゃってます。どこぞのモーターショー的なノリですもんね。
それに、キャストも良かったですね~非常に。ニコラス・ケイジが久々に良かったな。あまりカッコつけてなかったから。あの顔と頭で色男ぶっちゃい過ぎる感じの作品は結構苦手。この映画では、そんなコトはありませんでした。ただ妻役のブリジット・モイナハンは彼にはもったい無い感じもしますが・・・・
弟役のジャレッド・レトも適役だったなぁ。あの人上手いなぁと思いました。色男だし。何をやってもダメだけども最後に良心に目覚めちゃうトコなんか結構見せ場作ってました。
で、今回のヒットはイーサン・ホーク。これまた久々に彼を良いと思いましたね。終始、ぶっちょう面で登場するのですが、これがまた良いんだな。
ねちっこいインターポールの刑事役なんだけど、あのイヤらしい感じは「逃亡者」のトミー・リー・ジョーンズを思い出します。そうそう。ハリソン・フォードが滝の下にダイビングしちゃって、他の刑事が「もう魚のエサになってるよぉ」って言ったら「だったら、その魚を釣り上げろ!」って言っちゃうあのオッサンです(笑)
イーサンは、今回は最後までニコラスを追い回すイヤ~な感じ(って実際はこっちの方が正しい)の役でしたね。最近こんなハマリ役当たってなかったんじゃないでしょうか?これからこの路線で行って下さい。(って誰に言ってんじゃ?)
とにかくこの映画、ド派手ではないけども見どころは結構あります。こっちゃんは楽しめました。
「いかにも反戦的」でもなければ、「赦しを請う宗教的」でもない。そこがまた良かったのかもしれません。ただ、この映画で行き着くところは、やはりある意味ドン底です。殺しの道具で裕福な生活を送っていた彼を待っていたのは、予想通り「ハッピー」とは言えないものでした。
しかも、もっと恐ろしいのはこの映画のラストでユーリーが口にした言葉と、その後のテロップ。この二つによって、深い谷底に突き落とされた気分に___。何とも救われない気持ちになってしまうのです。
この世から武器を無くすのは無理なのですね・・・。
最後にはそう痛感してしまう何ともショッキングな映画です。
※こんなスタイルで電卓をはたくニコラスがお気に入りです。
《2006.08.03記事一部改訂》
「ロード・オブ・ウォー」オリジナル・サウンドトラック
サントラ
インディペンデントレーベル
音楽がこれまたgood!
じつはオンライン試写会に応募してたんだけど、そこのシステムの不備で中止になっちゃったよ。
まぁ、代わりに鑑賞券をくれるけどね。
4つなら期待大だー
やっぱりこっちゃんのレビュー読んだら絶対に観に行くぞ~と決めました!
ただ、暮の忙しいときに公開なんだよね。
時間をひねり出すのに苦労しそう・・・
あたしも応募したんだけどなぁ~。
鑑賞券もらったのかな?いいなぁー
あんまり試写会当たらないんだけど、先週は鑑賞券、今週は招待券でしたっ♪
でも鑑賞券は観た映画のなんだよぉ
ってこの映画あたしもたくさん試写会応募したんだよっ!
かなり観たいのよねぇ。
予告もいい感じだし、ニックは次回作の「The Weather Man」も面白そうだしね。
一般の人に聞けば、100人に聞いたら100人が悪だとおもう闇の武器商人がどんな感じに描かれているか楽しみです。
↑これではクイズ100人に聞きました。こたえはひとつってなっちゃうね(笑)
ニコラスの作品みたーい!
試写状こーい
私も観て来ました
戦地へ電卓とスーツで行く姿はなんともいえない思いでした。。。
私も戦争はんたーい!
実際にスターリンやレーニンの像が転がってるのを、何回も見てます。
でしょー。
だと思ったよ。
これはかずろぐさん好みだよね、完全に。
もしかしてスカ?と思って行ったんだけど、
これがなかなか良かったんだ。
変に押し付けがましくなかったのが良かったなぁ~。
これで「めちゃ反戦的」だった評価は変ったと思うけど
おお、鑑賞券ゲット!ですか?
ぜひ観てくだされ~
▼choroさんへ
そーなんですよ。
暮れの忙しい時が迫っての公開ですもんね~。
なかなか、これを観ようと思うのは大変だと思いますよ。
キングコングも来るし、大和もくるし・・・ああ!忙しッ!
▼miyuさんへ
うわ~ん、そりゃショックだね~。
観た映画の鑑賞券かぁ。
オークションに出して、他のチケットゲットしよ!なんちゃって。
ニコラスの次回作ももう決まってるのね。
へぇ~チェックしとこ。
駄作だったらまたハゲラス呼ばわりしちゃうぞッ!
▼mさんへ
このニコラスのスタイルはなかなかユニークです。
ってべつにコスプレするわけじゃないけど、
武器商人ってこんなカンジ?って思っちゃう楽しさはありますね。
ニコラス好きならぜひご覧を。
こーゆーニコラスならこっちゃんは好きっ!
▼やっぱり邦画好き・・・さんへ
試写会当たってるんですよ、最近。
でも、やたら忙しいです(笑)
嬉しいことなんですけど。
今晩も1本映画試写あるんです。
またもやクリスマスらしいヤツです
▼海さんへ
ああ!お久しぶりですッ!
ご覧になったのですね。
これはなんとも言えぬぐぐっ!と来る感じがございましたね。
あのニコラスのスタイルはある意味新鮮に映りました。
思ったより映画としては良かった。
でも戦争は本当にイヤです。
こっちゃんは武器商人にはなれません
▼はんなさんへ
これ、なかなか適度に重くて良かったです。
こんな形でも考えさせられるものですね。
「こうだ!」と押し付けられず
「各自で考えなさい」を宿題を持たされた感じのする映画でした。
でも、こっちゃんの答えどおりには、世の中は動いてくれないんでしょうね。
悲しくなる映画ですよ、そういう意味で
ちょっとテーマが重かったですよね。特にアフリカでの部分は。
TBもさせて頂きました。よろしくお願いします。
あの目の前の人たちが殺されるのを知ってて
それでも「関係ない」と割り切り武器を売る姿って
さすがにどどーん!と来ますね。
なんとも考えてしまう映画でした。
トラバありがとね~