忘れ物になる前に

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新潟の話 485系の形式解説

2015-02-26 22:25:07 | 485系まとめ
かれこれ5編成ほど新潟車の485系をまとめていますが、そこで少し出てくるのが、方向転換やら少し面倒な部分も出てきます。しかしよくよく考えれば、なぜ方向転換する必要があるのか、という部分も出てきます。編成のページごとに解説しているとその部分の分量も多くなるので、簡単にここで解説しておきます。

新潟の話になるので、新潟に在籍した車両以外の解説は簡略化・省略しています。他のページ同様、思い出したら付け足していくのでたまに増えます。


現在在籍している485系は、300番台,1000番台,1500番台,3000番台,3300番台と700番台の6種類です。過去には0番台,100番台,200番台も在籍しており、こちらのグループの発展系が現在の番台になるので、まずは過去に在籍していた番台を解説していきます。

・481系
485系列最初の形式で、「雷鳥」「しらさぎ」用として登場。以来直流/交流60Hz対応車として北陸・山陽・九州特急として活躍しますが、製造年数が早かったこともあり民営化される前に廃車されています。新潟とは無縁な車両ですが、モーターのないクハなどが485ではなく481を名乗るのはこの形式が原因。形式数を増やさないようにするという当時の方針から、モーターのない付随車は共通形式に、ということで、485系でもモーターのない車両は全て481系になっており、それが現在まで引き継がれています。ちなみに、489系は付随車も碓氷峠で協調運転を行うための栓が通っているため481ではなく489を名乗ります。

・483系
481系に次ぐ形式で、こちらは「ひばり」「やまびこ」用として登場。こちらは直流/交流50Hz対応車として東北特急用に活躍。481系同様老朽化のため民営化直前に全車廃車・保留車となりますが、「ひたち」増発の際車両が不足したためモハ482/483-13~15が運用に復帰しJR東日本が継承。1990年まで活躍した車両もあります。こちらも新潟とは全くの無縁ですが、485系の解説…ということで。481系で述べたように付随車は481を名乗るため、製造数が少なかった483系はモハ482,モハ483の2形式しか存在していなかったのも特徴。そのためモハ482/483が消滅した時点で形式消滅となっています。

・485系0番台/100番台

鉄道博物館保存 クハ481-26

485系0番台の派生形、489系0番台のサシ489-3を改造したスシ24-1。屋根上のクーラーが初期車の面影を残します。
485系では最初のグループで、先頭車はボンネット、中間車はキノコ型クーラーと呼ばれるタイプ(AU12)を搭載した車両のグループ。屋根上機器の都合でモハ484はAU12のクーラーとは別に床置型のクーラー(AU41)を3つ設置し、余剰スペースに車掌室が設置されています。上記の481系と483系もこのグループです。「雷鳥」「ひばり」などの増発を目的とし仙台や京都(当時は向日町。以下同じ)に配属。東日本地区では訓練車として残った写真のクハ481-26を含む編成が訓練車として2007年まで在籍。西日本地区ではクハ481の0番台はJR西日本に継承されなかったもののモハ484/485の0番台は2011年の「雷鳥」廃止まで活躍。九州地区では塗装変更を受けながら1995年まで活躍と、つい最近までその姿を見ることができました。JR東日本の保有するジョイフルトレインの種車として一部車両が改造されいますが、流用は最小限のみほとんど全て新製されているので生きていると定義していいのかは難しいところです…。
新潟に在籍した0番台は、京都で「雷鳥」として活躍した車両の一部が転入。他の番台と共通で使われ「雷鳥」「白鳥」などで活躍し、老朽化と組み替えによる余剰で1999年に全廃となりました。クハ481-27を除き全て「雷鳥」用編成として活躍、クハ481-27のみ途中から「いなほ」「北越」用T20編成へ組み込まれ、勝田からの転入車クハ481-332に置き換えられ離脱しています。いずれも座席のモケット交換と塗装変更。クハ481は運転台上を除いたライトをシールドビームへ交換。タイフォンカバーをHM下へ移設し、晩年は連結器カバーが小型化されていたのが特徴です。

485系100番台と同一形状のクハ489-1
100番台はクハ481-0のマイナーチェンジ車で、クハ481のみの区分。クハ481のMG容量アップと小型化、タイフォンのHM下への取り付けが行われています(クハ481-101のみタイフォンは後に改造してHM下へ移設)。0番台とは床下の機器配置とHM隣のライトケースの下の通風気の形状が異なるのが相違点。元々は東北特急の15連化に関したMG容量アップでしたが、東北特急へは後に登場する200番台の投入が決まったためわずか4両のみの配置にとどまり、ほとんどが京都へ配属。北陸特急として活躍し、「しらさぎ」に683系が投入された関係で余剰となったクロ481-2000が京都に転属し置き換えられる2004年まで北陸地区でその姿が見られました。489系の製造開始時がちょうど100番台製造時期だったこともあり、初期の先頭車は100番台がモデル。写真のクハ489-1もその1両ですが、タイフォンがHM下への移設が行われなかったのが特徴。JR西日本在籍時代にワイパーが増設されているため、オリジナルとはやや異なります。
新潟へは、京都に在籍していたクハ481-102のみが転属して配置。「雷鳥」用編成に組み込まれ、0番台と共通で使用。内装のモケット変更と塗装変更、連結器カバーの小型化が行われ、新潟車では最後のボンネット営業車として活躍し、1999年に廃車となりました。

・485系200番台

485系200番台の派生形、489系200番台に含まれるクハ489-604
ボンネットタイプの先頭車から一新した貫通型先頭車を含むグループで、489系200番台,600番台もこのグループです。元々は東北特急を2本連結し途中で増結・切り離しを行う多層立て列車として本数を増やせるようにと製造されたグループですが、計画が変更され東北特急の多層立て列車計画は中止に。それでもボンネットタイプよりも定員数が増えるというメリットがあったことから以降製造は100番台から200番台に移行されています。クーラーがそれまでのAU12からAU13E(クハ481、モハ485)とAU71A(モハ484)に変更。前面形状の変更で定員数が増えたクハ481の他に、床置きクーラーが廃止されたモハ484の定員数も増加したため、クハ481とモハ484にが200番台として製造されました。一方で、クーラーが変更された以外に変更のなかったモハ485,サハ481などは0番台のまま製造。モハ485の場合相方のモハ484が200番台にもかかわらず0番台として製造が続けられたため、以降1500番台・1000番台まで番号が一致しなくなります。また、モハ484は床置きクーラー廃止と同時に車掌室も廃止されたため、車掌室のあるグリーン車が編成の端に連結される青森地区では編成中間に車掌室を確保するために0番台ユニットを連結せざるを得ない状況に。このことから車掌室を備えたモハ484-600も誕生します。主に青森・仙台・京都に配属されましたが、転配が進み九州地区にも進出。運転台が狭く貫通路からのすき間風侵入により乗務員からは不評だったこと、すき間風により老朽化が進行。対策としてクハ481-200は貫通路の閉鎖改造が実施されましたが、東日本地区は1999年、西日本地区は183系改造車も含め2013年に全廃。九州地区のDo32編成としての車両が、200番台では唯一の現役車となっています。
新潟には、クハ481-200が3両、モハユニット1組が京都から転属。定員の関係からモハユニットは「いなほ」「北越」編成(T20編成)に組み込まれるものの定員が異なるためか編成組み替えの際に外され2000年に廃車。クハ481-200は「雷鳥」用編成として塗装変更とグレードアップ改造が行われ、「雷鳥」の新潟発着便廃止まで活躍。その後「雷鳥」編成は組成変更が行われましたが、200番台は全車その対象から外され、廃車になっています。

・485系300番台

クハ481-346。K1編成6号車として在籍、数少ない現役車。
運転台のすき間風侵入と運転台の拡大を行い、運転環境を整備したグループ。運転台の貫通路を廃止し前面形状がやや変更になった程度のものなので、所属するのもクハ481のみ。製造年数が200番台よりやや遅いので200番台よりは老朽化が進行していないからか、現在でも数両ながら現役。1000番台と共通で使用されています。

・485系1500番台

クハ481-1508。T18編成6号車に在籍、原形車としては最後の車両。
北海道地区で特急列車を運転する計画が持ち上がった際、製造実績のある485系で運転することとなり製造されたグループ。北海道で「いしかり」として活躍したものの、北海道の雪に対応しきれず役目を781系に譲り青森へ転属(この時、1500番台転属により捻出された200番台が九州へ転属。481系の置き換えが行われています)。北海道在籍時代は床下・台車が異なっていましたが、本州に戻った際に1000番台と同じものへ変更。その後青森・秋田で活躍しましたが、最終的に全車両が新潟へ転属。モハユニットの1500番台はグリーン車の連結を想定していないため車掌室を備えたモハ484-600をベースに製造、「雷鳥」用編成として塗装変更とグレードアップ改造を行い、「雷鳥」の新潟発着便廃止まで活躍。こちらはクハ481-200同様、組成変更時に外され廃車に。クハ481-1500は1000番台同様幅広い活躍を見せ、8両のクハ481-1500のうち、1両がクロハ481、1両が3000番台、5両がグレードアップ改造を施工。最終的に3両が余剰廃車、1両が事故廃車、2両がジョイフルトレインへ改造。1両は3000番台、1両は原形車として最後の活躍を見せています。

・485系1000番台

クハ481-1017。仙台A2編成6号車に在籍。クハ481-1000のままの数少ない原形車。
183系1000番台で成功した3MG化(客室用電源であるMGを3つ装備したもの)を485系でも取り入れ、耐雪装備を強化した、485系の最終製造グループ。1500番台同様モハ484は車掌室を備えたモハ484-600をベースに製造。クハ481もモハ484,485も耐雪装備のために床下機器が若干変更されています。また、モハ484-1025以降はクーラーがAU71Bへ変更、モハ484/485-1025以降には手すりが取り付けられています。そして最大の特徴は、3MG化のための栓(KE76)が設けられていることで、先頭車の方向が固定されている片渡り構造であること。他の番台は489系を除き先頭車の向きは固定されていませんが、1000番台では3MG対策のための栓を設けた関係で先頭車の向きが固定(番号が奇数車は奇数、偶数車は偶数向きに固定)されいるため、先頭車の向きを変える際は改造が必要になります(T18のクロハ,R21のクハなど、方向転換のために改造をするのはこのため)。先頭から見るとジャンパ栓の本数が3本(他のボンネットを除いた番台は4本。ボンネットは栓なし)なのが相違点で、奇数車と偶数車では3本のジャンパ栓の配置が異なります。現役車はほとんどが3000番台へ改造されていることから原形車は数が少なく、新潟からはT13編成が廃車されたことにより原形の1000番台は消滅。残る車両も間もなく終焉を迎えようとしています。

モハ484-1016。屋根上のクーラーとパンタ周りがやや異なり、こちらはモハ484-200,600,1500のスタイル。

モハ484-1052。屋根上の形状が先程のものとは異なり、現在生き残っている485系としてはこちらが標準ですが、485系列で見ると少数派です。

ここまでが新製車になります。そして残る3つの番台と、1つの改造形式を。

・クロハ481形

クロハ481-1023。現在は廃車になった、T17編成の1号車。
クハ481-1000を主な種車として、運転台側にグリーン車を設置した改造車。1両すべてをグリーン車にするほど需要は見込めないものの、グリーン車を最低限連結しなければいけない列車に連結するためのもので、元々は秋田で「たざわ」、青森で「はつかり」として改造したもの。改造種車のクハ481-1000は奇数向き・偶数向きの判別を車番で行っていましたが、クロハ481形は種車に関係なく改造順に番号が付けられているため、ぱっと見ではどちらが奇数向き・偶数向きかの判別ができなくなっています。1001~1009までが「たざわ」用で偶数向き(グリーン席定員12名)、1010~1020、後に増備した1021と1028~1030が「はつかり」用奇数向き(グリーン席定員16名)、1022~1027が「いなほ」用で偶数向き(グリーン席定員16名)と区別がされており、全て青森方を向くように改造されています。青森・秋田に配置されていましたが、一部余剰車が新潟へ転属。その際車両の向き・グリーン席の定員が変わった車両もあり、その都度改造が行われた結果、改造時の法則は成り立たなくなっています。外観はグリーン車マークが貼り付けられた程度であまり差はないですが、新潟車は一部編成のグリーン車部分のみクーラーをAU112に交換しています。一部車両は3000番台へ改造されています。

・485系3000番台

クハ481-3018。R21編成6号車に連結される、標準タイプの3000番台。
485系1000番台を中心に、内外装共にリニューアルを施した車両。新車並みにリニューアルを施した改造車で、デッキ・座席などを総取り換えし、トイレの改修・撤去を行っていま。車いす対応トイレと多目的室を設置した車両もあり、その車両のみ種車の1000番台とは定員数が異なります。側面窓の大きさも拡大し乗降ドア、車内ドアの更新をも行っています。屋根周りは、モハ484に空気遮断機が増設された程度で、床下はクハ・クロハの空気圧縮機を三相誘導電動駆動のものに交換し床下に移設、MGが静止型SIVに変更された程度(このため運転台下のルーバーが廃止)で他は種車の485系1000番台のままになっています。そのため床下と屋根周りは種車を引き継いでいるため、1000番台の1024までの車両と1025以降の車両の違いは3000番台でも表れています。番号は種車のものに+2000をしているだけで、反対に3000番台の車番から-2000をすると種車が分かります。青森と新潟で改造され、新潟車のみクーラーをAU112へ総取り換え(一部車両はクーラーを更新せずにAU13Eのままの車両も存在)し、青森車は雪対策として運転台周りとドア回りに雪覆いをつけているほか、余剰車が盛岡へ転属し「ジパング」としても活躍。現在在籍してる485系の大半は3000番台ですが老朽化も進んでおり、廃車も進行中。こちらも終焉が近いと思われます。

モハ484-3074。車いす対応トイレ・多目的室を追加改造で設置しており、その分座席定員が減っています。

モハ484-3022。種車の1000番台と大きな変更点はないので、屋根周りの違いが3000番台にも表れています。

・485系3300番台

クハ481-3342。R22編成6号車に在籍。先程のクハ481-3018とはわずかながら差があります。
485系3000番台に属するグループで、3000番台との違いは種車が300番台か1000番台の違いのみ。外観の床下が300番台のものを引き継いでいるため3000番台と異なるといった違いだけです。内装は編成単位で3000番台改造を行ったことから3000番台と同一で、種車の300番台は両渡り構造のため先頭車にジャンパ栓が4本ありますが、3300番台へ改造すると同時に3本へ改造され、実質クハ481-3000と同等の仕様になっています。番号は種車のものに+3000で、編成全体で3000に揃えるようになっています。
ちなみに、485系1500番台から改造された車両もあり、同じように床下が異なるため番号が分けられており、3500番台を名乗っていましたが、1両しかない区分であり、唯一属していたR24編成のクハ481-3506が廃車となったため、形式消滅しています。ただ、3000番台改造を受ける前にクロハ481へ改造されたクハ481-1501は、クロハ481の番号、クロハ481-1020で3000番台化されたため、3500番台ではないものの、現在唯一の元1500番台車の3000番台として活躍しています。

・485系700番台
波動編成として在籍するNODOKA、きらきらうえつ編成が名乗る番台区分。従来車とは内外装共に全く異なるために番台区分が分けられたのみで、車体は新製のため種車の面影はありません。こちらはここではなく、各編成のページで解説していけたらと思います。


ざっとこんな感じですが、追加があればまた書き足していきます。

以下の書籍を参考にさせていただきました。より細かい内容を知りたい方はこちらも参照ください。
・形式485系 イカロス出版様
・鉄道ピクトリアル 2014年11月号 485・489系電車(Ⅰ) 株機器会社電気車研究会様
・鉄道ピクトリアル 2014年12月号 485・489系電車(Ⅱ) 株機器会社電気車研究会様