映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ワレサ 連帯の男(2013年)

2014-05-14 | 【わ】

★★★★★★☆☆☆☆

 映画友に誘われ、GW中、岩波ホールへ・・・。外は快晴の行楽日和だってぇのに、映画鑑賞。しかも、アンジェイ・ワイダにワレサ。映画友が「やっぱ、アタシたちって、マジョリティとは言い難いよね・・・」。確かに。

 正直、ポーランドの歴史なんて、ほとんど「無知」のレベルと言っていい私であるが、ワレサの名前くらいは当然知っていた。でも、何をした人なのか、何でノーベル賞もらったのか、よく知らんかった。本作を見る前に予習をすべく、「ワレサとの対話 連帯と反抗の17日間」(ユーレ ガッター・クレンク著)という古い本を図書館で漁ってきたのだが、最初の数ページで、あまりのつまらなさに挫折。結局、ネット情報程度しか見ないで本作を鑑賞することに。チンプンカンプンになるのでは、という一抹の不安が・・・。

 ハッキリ言って杞憂でした。私は、アンジェイ・ワイダの作品を見るのはこれが初めて(実は、『灰とダイヤモンド』を見たと思うのだが、まるで記憶に残っていない)で、何となく“難解”というイメージを勝手に持っていたので、良い意味で見事に裏切られました。

 ワレサが、どうして連帯でリーダーとなり得たのか、そして、そこから民主化運動を推し進めていったのかが、かなり分かりやすく描かれています。基本的には、妻ダヌタとの夫婦の話を軸に展開していくので、彼の社会的な活動は背景なのですが、それでいて語り口は丁寧です。

 感じたことは2つ。まず、彼が人を束ねていくことができたのは、彼が頭が良かったからでも、策士だったからでもなく、単純に“話が上手かった”からではなかろうか、ということ。まだ連帯の一メンバーだった頃の話として、エリートたちがハンストをしているところへワレサが乗り込んで行ってハンストを辞めさせる、というシーンがあります。ここで、彼よりよほど学のあるであろう、見た目も知的で線の細い男たちは、あっさり、赤ら顔の野暮ったいおっさんであるワレサに説得されるのです。「ハンストなんかしたって、お前たちが死ぬだけだ」って、至極当たり前のことを言われて。ただ、この言い方が、ある意味、素晴らしい。誤解を恐れずに言えば「可愛い」のです。人懐こい表情と話し方が、相手の頑なな心を一瞬で氷解させるという、この彼独特の才能が、彼がリーダーになり得た最大の理由のような気がしましたね。

 もう1つは、妻の存在の大きさです。夫婦を軸に描いているから、まあ、妻の存在を大きく取り上げるのは当たり前なんだけれども、ワレサは、ダヌタ以外の女性が伴侶であったら、もしかしたら、別の人生を歩んでいたのではないかと思いましたね。彼女は、とにかく柔軟です。決して意思のない流されるだけの女性ではなく、夫を支えることに徹するのです。それが彼女の人生哲学なんでしょう。置かれた状況で夫が一番活きるように立ち回るのです。ワレサが投獄されているときも、不安を抱えながらも揺らがない。ワレサも夫として、やはり「可愛い」のです。一生懸命子育てするし、ほかの女性にチラッと興味をそそられもするけれど、妻が一番だと自覚しているし、まあ、世話は焼けるけど憎めないヤツな訳です。

 つまるところ、ワレサがポーランド史上にどんな足跡を残したにせよ、一男性としては、「愛嬌たっぷりのおっさん」でありました、という作品だったと思います。そしてスピーチ上手。スピーチの能力って、政治家には絶対的要素だと改めて思いました。スピーチさえ上手ければ、ブレーンを超優秀な人材で固めれば良い、そんな気がします。オバマもそんな感じですしね。つーか、オバマもスピーチだけで大統領になった男、と言われていましたっけね。

 ま、飽きずに最後まで面白く見られた作品でございました。

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