KIRA KARACHO/唐長の奏でる唐紙の音

唐紙屋「唐長」唐紙師トトアキヒコが奏でる光りと音…「唐長美術館」への軌跡

護王神社奉納唐紙「イノチノヒカリ」

2011-03-25 09:25:31 | 美術館への道


青に染まり
愛に染まる
青はとこしえ

この世は儚く朧げで…
たとえ、人生は瞬き散り往く刹那としても
このひと雫にイノチが宿る
放たれしヒカリは消えることなく
伝えし思いが消えることなどない
光も音も風をまとい
イノチの気配は
とこしえの道をつくる

たかくたかく
青い空、煌めく天空
青は、いつもぼくたちの世界をつなぐイノチノヒカリ

唐紙を通じて世界が平和で人々が幸せでありますように…

トト アキヒコ
千田 愛子




チャンスは逃したらあかんで
逃したら次はないと思わなあかん
あんたに今吹いてる風なんやからあんたにしかつかめへん
あんたは誰に躊躇することなくすすむべき
チャンスは逃したらあかん
はよ帰って、ええ仕事しいや


これが最後に話したことばでした
本当の最期は話せなかったから

悲しみにうちひしがれ立ち止まることを望んではなかったと思ったぼくは、翌日から再び制作にかかりました。
悲しくないわけないです。
ただ、のりこえて歩みをすすめること、身を以て教えてくれた人がいたからです。
護王神社の宮司さんからも、あなたは人の幸せを願っててがけておられることだから、とどまることなくすすんだほうが良い。その方の示してくださった導きと思いなさい、と。

また、ひとつ尊い祈りの場に数万回の祈りをこめて指染めした唐紙が生まれました。
イノチノヒカリ

ぼくは、この作品をてがける中、たくさんのことにきづきました。
光りは消えない…
音は消えない…
見ようとせぬだけ
聞こうとせぬだけ
光りの文化であり、音なき音をあらわしたこの唐紙には、幸せと感謝、とこしえの祈りがこめられております。

時同じくして、多くの人が悲しみと困難に立ち向かわれていることと思います。
心の平穏と一日も早き復興を心よりお祈りいたします。
ぼくは、さらなる精進を積み、唐紙を通じて世界が平和で人々が幸せであることを願い唐紙をつくり続けたいと思うのです。


人生は短い
唐紙は長い
思いはとこしえ


目覚めることをあたりまえとせず
一日一日を感謝し、ちゃんと生きる



3月25日
トト

唐紙のブックカバー

2011-03-05 23:56:10 | 文様


先日、ある学校の先生と会った。

卒業する生徒さんたちに本をプレゼントしたい。
そして、その本に、唐長の唐紙でブックカバーをつくって一緒に贈りたいとのこと。

なんて素敵な話だろうと、快諾。
一緒に先生と文様を選び、色を選んだ。

おすすめしたのは、死生観を表すエネルギーの螺旋文様。

今は、わからなくても、いつかこの本に書かれていることや唐紙の意味や良さがわかる日が来るかもしれない。
少し照れたように話す素敵な先生でした。
こんな方が学校にいるなら、良い生徒さんたちの心がきっと育まれるのだろうな…と嬉しく思い手がけた唐紙。

いつか、その先生のことばを思い出し、本棚にしまってあったその本を手にとるでしょう。
そして、唐紙にふれた時、この渦にこめられた思いの螺旋は彼ら彼女らの心に宿り、つづいてゆくことでしょう。







3月5日
トト

イノチと命の唐紙

2011-03-03 23:17:32 | 思い


数百倍数千倍の手間と工程をふむということは、
数百数千倍の精神と身体をついやしているということ。



一日おえると、気が放出されて、ほんとに心身ともぐったり。
あまりの疲れに、読書する時間がなくなり、ちょっと悲しくもある今日この頃。


今日も朝から染めている中、外は雪景色。
ひたすら降り積る色景色…
もうすぐお披露目。

この春、神社に唐紙作品が奉納されます。
もちろん、作品は発表しつづけてきた点描たらし込みによる表現のシリーズです。


2009年、おさめたMIHO MUSEUM「inochi」
2010年、おさめた養源院「星に願いを」
につづき
2011年、神社におさめる作品は「イノチ」です。

神社には、「イノチ」
もうひとつ、手がけているマンションのエントランスロビーには「命」

今年、京都に、二つのいのちの唐紙が生まれるのです。


いただいた桜の見事な枝ぶりをじっと見る。
幹から離れても、ひた向きに生きようとする。
すごいな…
きれいな緑が息吹いてる。






3月3日
トト