KIRA KARACHO/唐長の奏でる唐紙の音

唐紙屋「唐長」唐紙師トトアキヒコが奏でる光りと音…「唐長美術館」への軌跡

直感をなぞる

2011-09-27 01:42:00 | 思い


自分を深めてゆくこと
手のなりように自らをゆだねて


自然に任せれば
自然と良いものができるだろう


問われるのは
純粋な直感を感じることができる自分かどうかだ






写真は、
ライオンズ四条烏丸セントマークスにおさめる5メートルほどの唐紙作品「命」の過程の色。











9月27日
唐紙師 トトアキヒコ

なんの為

2011-09-22 03:01:01 | 思い


ひとつずつ積み重ねることが、そこに辿り着くただひとつの道だ。








染め上げた和紙が1枚1枚つみあげられてゆく。
数百回、数千回と繰り返されるこの日常の1枚が大事。
一足飛びには、なんにもすすめられない。
どの過程もとばしたりおざなりにしたりすることはできない。
まぁいいか、はないのだ。
これでいいかな、ではなく、これがいい。

そうでないと辿り着く先がかわってしまう。
それに、お天道様が見てはる。



襖…
壁紙…
パネルや額仕立て…
灯り…
作品の依頼…
お寺さんの落慶にむけた唐紙…
文化財の修復唐紙…
茶室を手がけたり…
屏風…
公共建築におさめる大きな唐紙作品…などなど

この春にサルヤマサロンを一般公開してから半年…毎週、毎月いただく仕事が積み重なり、今や、伝統も今も新旧織り交ぜた種の仕事が同時に順にすすんでゆく有難い日々。

負荷をかければかけるほどに、こころも身体も人は強くなる。
そして、何より大事なこと。


なんの為に強くなろうとしているのかということ。












9月22日
唐紙師 トトアキヒコ

神は細部に宿る

2011-09-14 23:58:03 | 思い


ことばにするのも難しいけど、ぼくにはこだわりがある。
と、いうか目指している唐紙の表情というものがあるのです。
もちろん、それはただ単につくったり、また人によってつくられたりするだけのものなんかではない。


細部に神は宿るという。
だから細部にこころをむける。





日々、いろんな方の家の唐紙相談を受けるのだけど、うまくゆく家づくりの秘訣は、好きが一番。
設計士さんやコーディネーターさんたちと山のようなカタログや見本帳をああでもないこうでもないと、つぎはぎして考えるものではないと思うのです。バラバラにコーディネートすると、それぞれのカタログ内ではベストのチョイスをしたはずのに、できあがってみるとなんか違う気がする…思っていたのと違う…居心地が悪い…なんてことになります。ましてや、設計士さんたちの家でもないわけで、新建材やコーディネートの実験台に使われるなんてまっぴらです。
住む人のための家です。

そうならないためには、好きが一番です。
かけがいのない好きにひとつでもいいから気付くことです。
大好きなコーヒーカップでも、ランプでも、絵画でも、大切にしている椅子でも本棚でも写真立てでも、なんでもいいですが、好きなものを見つけ、そこから連ねて考えること。
もちろん、唐紙でもいいわけです。
大好きな唐長の唐紙を襖にしたい。
それにあう壁や床、天井、床の間、灯り、テーブル、椅子、ドア、隣接する部屋、廊下、階段…ずーとずーと繋げてイメージを家一軒分イメージをひろげてみます。
悩んだときは、いつも基軸の好きなものにもどって、また考える。
ある1点から生まれるひろがりが、その家をフィロソフィーのある家にするのだと、ぼくは思う。
そうやって、日々暮らしの一端を唐紙という世界から担っています。



細部に気をいれていたら、自ずとそれは全体にひろがるもんです。










9月14日
唐紙師 トトアキヒコ

バカと一流

2011-09-07 23:59:48 | 思い


写真は、「星に願いを」のタペストリー作品です。
唐紙をタペストリーにすると海外にも持ってゆきやすく、いろんな国の人々へと伝える幅が、うんと広がる。襖は日本のものですから、世界に伝えるには世界に伝えられるカタチにしてあげる必要があるのです。
この作品は、先週、日本テレビ 「Revalue NIPPON Project 中田英寿 日本をつなぐ」にも紹介されました。


板木蔵の中で中田さんと二人で話したことを思い出す。
世界に通用する一流についていろいろ話をした。


バカで終わるか、バカを貫いて世界に通用する一流となるか


襖や壁紙の従来の伝統的な仕事を継承しつつ、新しく唐紙に芸術という光りをあてた道をもたらすべく獅子奮闘していた頃のことだ。

番組内で、中田英寿さんはアートとしての唐紙作品をとりあげて、ことばを添えてくれた。
応援してくれている気がした。

時を超えて
現代のアートに





バカ貫いてますよ、中田さん。










9月7日
唐紙師 トトアキヒコ

夢中は無心につながる

2011-09-03 10:32:52 | 思い



朝から絵の具をつくり、ずーと染めている。






まだまだ染めるのやけど、干す場所さえなくなってしまい、乾かないことにはどうにも身動きとれず書いてる。
今日の色は、とても曖昧なブルーで儚くうつろう薄青の紫陽花色、ぼくは好き。
お客さんは迷わずこの仕上げを選んでくださった。
しかし、いざ、再びこの塩梅で仕上げるとなると、曖昧さゆえに微妙な加減が難しくもあり、面白くもあり、朝から眉間に皺がよせて楽しんでいる。


和紙を染めていると、だんだん無心になってくる。
なぁんにも、余計なことも煩わしいことも嫌なことも考えずにすむ。
1枚1枚染めるとともに、ぼくの心も浄化されてゆく気さえする。



夢中は無心につながる。



ぼくの、貴重な静かな時間。

夢中になれるものがある。
幸せなこと。


外は時折、強い風が吹く。
これから雨が降るのだろう。

雨もまたいろんなコトを流してくれるだろう。










9月3日
唐紙師 トトアキヒコ