KIRA KARACHO/唐長の奏でる唐紙の音

唐紙屋「唐長」唐紙師トトアキヒコが奏でる光りと音…「唐長美術館」への軌跡

唐長文様「太渦」

2008-11-27 23:53:17 | 文様
これは、太古より伝わる文様で、日本では縄文時代から土器や銅鐸にも見られる。
一方では、西の果てケルト文化においては、死生観を表し、生と死、発生と終焉という相反するものの象徴であり、宇宙の神秘力に同化させる形象であった。西と東の極みにおける文様の旅を感じさせる壮大なスケールが潜んでいるのが、余白の美を際立たせる。

ほれぼれするほど美しい板木。
しかも、なんと!この板木の裏書きには、ぼくの誕生日と同じ日付が記載されている。

同じ星の下に誕生した板木である…






11月27日
トト

星に願いを

2008-11-23 03:12:44 | 思い


今宵も青と向き合う。

青、赤、黄色に墨と胡粉を加え生み出す青。
12月14日からの唐長サルヤマサロン企画展 「384枚/祈りの青」展に向けての準備と、もうひとつ取り組んでいるものとして、「星に願いを」と云う新しい額のシリーズを発表しようとしています。
今日の写真は、その途中の姿で、ここからさらに手を加え変化してゆきます…また仕上がればお伝えいたしますが、12月中にはココン烏丸の唐長四条烏丸にて発表したいと考えています。

「星に願いを」は、この混沌とした今の世の中に、一隅の光を感じてもらいたい願いを込めて、1000年以上も前の歴史を背負って今もぼくたちの目の前に煌めく美しい星たち九曜紋の祈りのカタチを届けられるように、考えたものです。
ぼくは、この唐長に伝わる九曜紋には、特別なチカラがあると信じています。願いが叶うとはいいませんが、自分に希望のチカラが漲ってくるパワーを感じますから、結果として願いを叶えるチカラにも繋がっているんだと思います。

全てのモノは、つかう人に捧げられるべきです。
もちろん、唐紙も、つかっていただく方のために、あります。
そして、忘れてはならないのは、使い手が、大切に思いを吹き込んでつかっていただくことによって、本来のものより1歩も…2歩も前進するものだとも思います。

今宵ぼくは、東京のある人たちのことを思い、板木から九曜紋を静かに写しとりました。
POLLY GIBBONSを聞きながら…素敵な出会いに感謝をこめて…

この方には、このことばが思い浮かぶ。
What is essential is invisible to the eye



11月22日
トト

唐長サルヤマサロン企画展 「384枚/祈りの青」展 

2008-11-15 23:16:03 | 美術館への道


美の息づかい 唐長のある暮らしをテーマに唐長サルヤマサロンがおこなってきた企画展の第5回を開催します。
「384枚/祈りの青」
展会期は2008年12月14日から12月23日まで。
唐長サルヤマサロン友の会の方には、来週案内が届くと思います。


1624年に創業し続いてきた日本に唯一現存する唐紙屋「唐長」。
2008年現在にて384年もの時を経てきました。
連綿と続く唐長の伝統を、1年、また1年と続けてゆけることに感謝と祈りをこめてトトアキヒコと千田愛子が思い思いの384枚の青の空を描きました。
二人のこころの祈り…青の世界をご覧ください。

今回は、エコプロデューサーであり写真家の岡部達平氏がライフワークとしてピンホールカメラで撮り続けた空の写真の展示があります。
期間中、12月14日に、岡部達平氏による談話やワークショップ、11代目夫妻である千田堅吉と千田郁子の創業からこれまでの談話があります。
12月21日には、今年の締めくくりとして、千田聖二とトトアキヒコがこれからの唐長について談話します。



11月15日
トト

初冬の触れあい

2008-11-12 23:58:53 | 思い



ココン烏丸の四条店にて、何人かのお客さんと話した。
今日、一番こころに残ったのは、
祖母と母と小さな娘さんの3人。
KIRA額を選びに来ていただいたのだが、1枚のピンクの桜はすぐ決まった。
そして、青の双葉葵。
3枚目は、聚落壁に飾りたいとのことで、おすすめした焦茶地に金の瓢箪。
祖母や母から、疲れているんだろうし座って待ってていいよ…と言われても座らず店内をうろうろしている。

ぼくは、そんな娘さんに、声をかけた。
この葵の文様はね、清少納言も好きだよ、枕草子読んだ?と、聞いたら、恥ずかしそうに首を振る。
葵のいとちひさき。
なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし。
そういうことばがあるよ、と。

母の後ろに隠れた娘さん。
今なら、源氏物語の方が目にする機会も多いかもしれませんね。
と、母と話していたら、
娘さんが、ぼそぼそ…と。
春はあけぼの…

そう!それだよ、よく知っているね。
と、母とぼく。

恥ずかしそうに笑う小さい娘さんを見て微笑む母。

幸せの光景だな、と感じた。

初冬の触れあい…あの娘さんの記憶のどこかで、唐長のこと生き続けるんだろうと思う。
そして、いつか、会える日を楽しみにしている。



11月12日
トト

散る散る

2008-11-11 23:46:11 | 思い

今年の唐長「紅葉」展。
11代目のつくった青いモミジ。

散る散る…
じーっと見ていると動きが見えてくる…
その動きにあわせてシャッターをきると、このように影がつき舞い上がるモミジとなる。
実物の唐紙とは違うのだが、ぼくのこころの風景としてはこう見えた。

風の音が聞こえてくる素晴らしい唐紙を見た。





11月11日
トト

山梨へ…こころの旅…

2008-11-08 23:02:11 | 散歩や美術鑑賞など


山梨の旅にて。
1枚の葉が、黄金色の山々の景色を彩っている。
目に映る木々の景色と空気が京都とは、ひと味もふた味も違い楽しい。


高い空から見下ろす俯瞰の目と原寸大をじっと見つめる目とがいったりきたりする。
着地点とその先…
最大を知り、最小を知る。
目標を図り、現実を捉える。
大切なことは、ものごとの本質をみること。


今回の旅では多くを得た。
とても大切なこころの旅をしたとも言える。

この旅の意義は、何年、何十年先にこそ、わかるんだと思う。
例えば、キラキラとゆらめくすすきを見るたびに思い出す何かがあるだろう…
落ち葉を見るたび、拾うたびに思い出す何かがあるだろう…
寒空の星を見上げるたびに思い出すなにかがあるだろう…


旅先で、言われたことば。
これからのあなたの人生が晴れ渡りますように…



11月8日
トト

唐長11代目当主千田堅吉のことば

2008-11-02 04:06:42 | 思い


静かな夜。
色をつくる…
1年ほど前の、11代目のことばを思いだす。
空気を色に…
気分も色に…
音も色に…


絵の具をふるいから板木にのせ和紙にうつしとる。
近ごろ、11代目が言われたことばを思い出す。
水の中から見たような…浮かんでいるような、ことばにするのは難しいねんけど、透明感のあるなんかそんな感じの唐紙がキレイと思うねん最近…


夢中になって、こんな時間。
できあがりを見て、11代目のことばをしみじみ感じる。
唐紙は、和紙に薄化粧をほどこすようなもの…


そして、今宵、食事したときに11代目は、
山は麓にたっていたら山全体は見えない
自分が高みに登らないと山は見えてこない
という話をぼくにしてくれた。

まだまだ、山は高い。



11月1日
トト