乾くるみさんの『リピート』を読みました。
以前読んだ乾さんの『カラット探偵事務所の事件簿』がわりと自分にはまった感じがしたので、機会があれば別の作品も読んでみようと思っていました。
なぜこの作品にしたかというと、、、また帯です。
「タイムトラベル小説の傑作『リプレイ』とミステリーの名作『そして誰もいなくなった』のあわせ技」
「あまりの驚きに、読了後、必ずもう一度読み返したくなります」
この文言に魅かれてしまいました。
帯であまりに期待しすぎると、せっかく面白くても期待が大きすぎた分いま一つに感じて失敗することはよくある話。
それでも読んでみようと思いました。
『リプレイ』という小説は読んだことないのですが、『そして誰もいなくなった』はアガサ・クリスティの名作中の名作で、推理小説を読み始めるようになったきっかけと言っても過言ではありません。
だから、どういう風に話が組み合わさっていくのかなぁと気になって仕方がなく、手に取った次第です。
ストーリーは、、、
現在の記憶はそのままに、10ヵ月前に戻れる「リピート」を体験することができるなら。。。
突然かかってきた電話で選ばれた10人の男女が、この夢のような話に疑いを抱きつつも実際に体験することになりました。
せっかく記憶を持ったまま「リピート」できた10人の男女は、以前の人生の10ヵ月と同じ過ちを繰り返さず、より良い方向へ人生を導こうと、それぞれの思いを胸に新たな10ヵ月をスタートしました。
うまく事が運ぶと思われた新たな10ヵ月。
しかし、以前の10ヵ月では起きていなかったような事件や事故が起こるたび、「リピーター」が一人ずつ死を迎えるという不可解な状況に陥ります。
もはや偶然では片付けられないこの状況。
一見ランダムに選ばれた「リピーター」に、「リピーター」以外の共通点があるのだろうか?
生き残っている「リピーター」が真相を探っているうちに、思いがけない真実に出くわす…
そんな話です。
今の記憶を持ったまま過去へ戻るというのは誰もが一度は考えるような話ですよね。
そして、そういう場合は良い方向へ想像が膨らみます。
分かりやすいところでは「入試問題がわかるんだから、しっかり勉強して良い大学に入って、一流企業へ就職したい」とか「一生遊んで暮らせるお金を結果がわかっている競馬で稼ぎたい」などなど。
現在の記憶はそのままに、というのが良いわけですが、この小説では10ヵ月前にしか戻れないというのがミソ。
はたして、10ヵ月戻るだけでどれぐらいのことを変えられるか。
どの時点での10ヵ月かということも重要です。
たとえば入試を跨いでいるのか、あるいは就活中だったのか、あるいは定年を迎える間際なのか。
(今から10ヵ月前、何をしていただろうか…)
そしてもう一つ、この手の話で考えること。
それはこの小説にも書かれていますが、本当に戻る前と同じ出来事が確実に起こるのかということ。
「リピーター」は10ヵ月間の出来事(たとえば入試の問題や競馬の結果など、覚えておくと役立ちそうなこと)をできるだけ記憶してから10ヵ月前に戻ります。
(紙に書いたもの、資料などは持っていくことができず、頼れるのは自分の記憶のみ、という設定です)
確かに、自分と関係ない大きな出来事などはそのまま起きるかもしれません。
でも、身の回りに起きたことで記憶しているちょっとしたことは以前と1つ行動を変えることで大きく変わってきてしまうのではないか、そして一度歯車がずれるともう記憶してきたことは役に立たないほど未来は変わってしまうのではないか。
いわゆる「バタフライ・エフェクト」です。
入試などは良い例で、本来入るはずのなかった大学に入学するとその時点から先は未知の領域になるはずで、「リピーター」としての特権はほぼなくなってしまうでしょう。
ただ、それが一番の目的なら、それでも良いということになります。
だから「リピート」するならどの時点で選択肢を変えるか、目的をはっきりさせておくことが非常に重要になってきます。
そう考えると、良い想像ばかりしてしまう「リピート」が本当により良い人生を導くのかどうか、という点に一抹の不安を覚えます。
もしかしたら、その選択は悪い方向へつながってしまうかもしれませんから。。。
というわけで、この小説を読んで思ったこと。
それは、一度きりの人生、今まで歩んできた道が一番良いのだろうということ。
後戻りできないからこそ、今を懸命に生きることが大切なんだろうということ。
うまく言えませんが、そんなことを感じました。
…本題から逸れてしまいました。
物語は最後のほうで確かに衝撃の真実が明らかになります。
「なるほど~そういうことかぁ」と納得。
ただ、中盤以降までの自分の中での盛り上がりに反して、終わり方が少し残念でした。
なんかこう、帯を見たときから、最後の最後での「どんでん返し」を期待していましたから。
(もはやこの読書の仕方はおかしいと思いますが)
それともこの結末が「どんでん返し」なのかな。
ちょっと惜しい気はしましたが、楽しかったのも事実。
乾くるみ作品はもう何冊か読んでみましょう。
以前読んだ乾さんの『カラット探偵事務所の事件簿』がわりと自分にはまった感じがしたので、機会があれば別の作品も読んでみようと思っていました。
なぜこの作品にしたかというと、、、また帯です。
「タイムトラベル小説の傑作『リプレイ』とミステリーの名作『そして誰もいなくなった』のあわせ技」
「あまりの驚きに、読了後、必ずもう一度読み返したくなります」
この文言に魅かれてしまいました。
帯であまりに期待しすぎると、せっかく面白くても期待が大きすぎた分いま一つに感じて失敗することはよくある話。
それでも読んでみようと思いました。
『リプレイ』という小説は読んだことないのですが、『そして誰もいなくなった』はアガサ・クリスティの名作中の名作で、推理小説を読み始めるようになったきっかけと言っても過言ではありません。
だから、どういう風に話が組み合わさっていくのかなぁと気になって仕方がなく、手に取った次第です。
ストーリーは、、、
現在の記憶はそのままに、10ヵ月前に戻れる「リピート」を体験することができるなら。。。
突然かかってきた電話で選ばれた10人の男女が、この夢のような話に疑いを抱きつつも実際に体験することになりました。
せっかく記憶を持ったまま「リピート」できた10人の男女は、以前の人生の10ヵ月と同じ過ちを繰り返さず、より良い方向へ人生を導こうと、それぞれの思いを胸に新たな10ヵ月をスタートしました。
うまく事が運ぶと思われた新たな10ヵ月。
しかし、以前の10ヵ月では起きていなかったような事件や事故が起こるたび、「リピーター」が一人ずつ死を迎えるという不可解な状況に陥ります。
もはや偶然では片付けられないこの状況。
一見ランダムに選ばれた「リピーター」に、「リピーター」以外の共通点があるのだろうか?
生き残っている「リピーター」が真相を探っているうちに、思いがけない真実に出くわす…
そんな話です。
今の記憶を持ったまま過去へ戻るというのは誰もが一度は考えるような話ですよね。
そして、そういう場合は良い方向へ想像が膨らみます。
分かりやすいところでは「入試問題がわかるんだから、しっかり勉強して良い大学に入って、一流企業へ就職したい」とか「一生遊んで暮らせるお金を結果がわかっている競馬で稼ぎたい」などなど。
現在の記憶はそのままに、というのが良いわけですが、この小説では10ヵ月前にしか戻れないというのがミソ。
はたして、10ヵ月戻るだけでどれぐらいのことを変えられるか。
どの時点での10ヵ月かということも重要です。
たとえば入試を跨いでいるのか、あるいは就活中だったのか、あるいは定年を迎える間際なのか。
(今から10ヵ月前、何をしていただろうか…)
そしてもう一つ、この手の話で考えること。
それはこの小説にも書かれていますが、本当に戻る前と同じ出来事が確実に起こるのかということ。
「リピーター」は10ヵ月間の出来事(たとえば入試の問題や競馬の結果など、覚えておくと役立ちそうなこと)をできるだけ記憶してから10ヵ月前に戻ります。
(紙に書いたもの、資料などは持っていくことができず、頼れるのは自分の記憶のみ、という設定です)
確かに、自分と関係ない大きな出来事などはそのまま起きるかもしれません。
でも、身の回りに起きたことで記憶しているちょっとしたことは以前と1つ行動を変えることで大きく変わってきてしまうのではないか、そして一度歯車がずれるともう記憶してきたことは役に立たないほど未来は変わってしまうのではないか。
いわゆる「バタフライ・エフェクト」です。
入試などは良い例で、本来入るはずのなかった大学に入学するとその時点から先は未知の領域になるはずで、「リピーター」としての特権はほぼなくなってしまうでしょう。
ただ、それが一番の目的なら、それでも良いということになります。
だから「リピート」するならどの時点で選択肢を変えるか、目的をはっきりさせておくことが非常に重要になってきます。
そう考えると、良い想像ばかりしてしまう「リピート」が本当により良い人生を導くのかどうか、という点に一抹の不安を覚えます。
もしかしたら、その選択は悪い方向へつながってしまうかもしれませんから。。。
というわけで、この小説を読んで思ったこと。
それは、一度きりの人生、今まで歩んできた道が一番良いのだろうということ。
後戻りできないからこそ、今を懸命に生きることが大切なんだろうということ。
うまく言えませんが、そんなことを感じました。
…本題から逸れてしまいました。
物語は最後のほうで確かに衝撃の真実が明らかになります。
「なるほど~そういうことかぁ」と納得。
ただ、中盤以降までの自分の中での盛り上がりに反して、終わり方が少し残念でした。
なんかこう、帯を見たときから、最後の最後での「どんでん返し」を期待していましたから。
(もはやこの読書の仕方はおかしいと思いますが)
それともこの結末が「どんでん返し」なのかな。
ちょっと惜しい気はしましたが、楽しかったのも事実。
乾くるみ作品はもう何冊か読んでみましょう。