東野圭吾さんの『麒麟の翼』を読みました。
加賀刑事という、東野作品で確立されている一人のキャラクターが登場するシリーズの作品です。
事件の舞台は日本の道路の始点になっているという日本橋です。
千葉に住んでいる頃、ここには行ったことがなかったので、ネットで写真を見てみました。
作中にも書かれていますが、すぐ上を首都高速が通っているんですね。
なんとも言えない景色…
以下、ネタばれを含む可能性があるのでご注意を。
日本橋の麒麟の像の下で、胸にナイフが刺さった状態で倒れている一人の男が発見されるところから物語が始まります。
容疑者と思われる人物は意外にあっさり見つかるものの、警官から逃げようとして交通事故にあって意識不明の状態。
被害者と容疑者の関係を調べていくと、容疑者は被害者の会社から派遣切りにあったことがわかります。
動機も明らかになり、事件はそのまま解決するかと思われたのですが、決定的な証拠がありません。
調査を進めるにつれ、容疑者を犯人とするには矛盾した状況が少しずつ明らかになってきます。
はたして、事件の真相は。。。
加賀刑事は非常に鋭い観察力、推理力をもっていますが、その捜査は意外な方向から始まります。
物語の最初のほうでは、一見重要ではなさそうな事実にこだわり、そこを徹底的に探ることによって、思いがけない方向から真相に迫っていきます。
だから、事件の関係者への質問1つとっても、最初は「何故その質問?」と周りが思いたくなるようなものばかり。
でもそれが最後には見事に1つの真実へつながっていくのです。
そして特徴のもう1つが関係者の「想い」を重視する点。
うまく言えないんですけど、決して情に流されるということではありません。
たとえば今回の事件の場合だと、交通事故にあった容疑者が明らかに怪しかったのに、真実を解明できるまでは断定しない。
いや、むしろ無実であることを示すと思われる事実・証拠に早い段階で気付いていたと言えるかもしれません。
そして、真実を明らかにしなければ、容疑者だけでなく被害者や容疑者に関わる人たちが報われない。
そんな想いを胸に、小さな綻びから事件を解決へと導いていきます。
ところで、東野作品を読み終わった後にいろいろ考えさせられることがあります。
今回は報道のあり方とその情報に流される人々が気になりました。
最初は被害者の家族に同情的だった周りの人たちも、派遣切りと関連した労災隠しの事実が明らかになった途端に被害者があたかも加害者的扱いになり、その家族も周りから非難の対象になります。
しかも、被害者が所属していた会社は全ての責任を被害者に押し付けて労災隠しの問題を終わらせようとする始末。
ありそうな問題だけに深い内容を含んでいるなと思いました。
一見、些細な事件なのに、どんどん読み進めたくなるような作品でした。
続きはまた後で、としたいのになかなかやめられない。
そして、読み終わってみて、改めてタイトルの意味深さに納得します。
東野作品のそういうところが好きなんだと思います。
加賀刑事という、東野作品で確立されている一人のキャラクターが登場するシリーズの作品です。
事件の舞台は日本の道路の始点になっているという日本橋です。
千葉に住んでいる頃、ここには行ったことがなかったので、ネットで写真を見てみました。
作中にも書かれていますが、すぐ上を首都高速が通っているんですね。
なんとも言えない景色…
以下、ネタばれを含む可能性があるのでご注意を。
日本橋の麒麟の像の下で、胸にナイフが刺さった状態で倒れている一人の男が発見されるところから物語が始まります。
容疑者と思われる人物は意外にあっさり見つかるものの、警官から逃げようとして交通事故にあって意識不明の状態。
被害者と容疑者の関係を調べていくと、容疑者は被害者の会社から派遣切りにあったことがわかります。
動機も明らかになり、事件はそのまま解決するかと思われたのですが、決定的な証拠がありません。
調査を進めるにつれ、容疑者を犯人とするには矛盾した状況が少しずつ明らかになってきます。
はたして、事件の真相は。。。
加賀刑事は非常に鋭い観察力、推理力をもっていますが、その捜査は意外な方向から始まります。
物語の最初のほうでは、一見重要ではなさそうな事実にこだわり、そこを徹底的に探ることによって、思いがけない方向から真相に迫っていきます。
だから、事件の関係者への質問1つとっても、最初は「何故その質問?」と周りが思いたくなるようなものばかり。
でもそれが最後には見事に1つの真実へつながっていくのです。
そして特徴のもう1つが関係者の「想い」を重視する点。
うまく言えないんですけど、決して情に流されるということではありません。
たとえば今回の事件の場合だと、交通事故にあった容疑者が明らかに怪しかったのに、真実を解明できるまでは断定しない。
いや、むしろ無実であることを示すと思われる事実・証拠に早い段階で気付いていたと言えるかもしれません。
そして、真実を明らかにしなければ、容疑者だけでなく被害者や容疑者に関わる人たちが報われない。
そんな想いを胸に、小さな綻びから事件を解決へと導いていきます。
ところで、東野作品を読み終わった後にいろいろ考えさせられることがあります。
今回は報道のあり方とその情報に流される人々が気になりました。
最初は被害者の家族に同情的だった周りの人たちも、派遣切りと関連した労災隠しの事実が明らかになった途端に被害者があたかも加害者的扱いになり、その家族も周りから非難の対象になります。
しかも、被害者が所属していた会社は全ての責任を被害者に押し付けて労災隠しの問題を終わらせようとする始末。
ありそうな問題だけに深い内容を含んでいるなと思いました。
一見、些細な事件なのに、どんどん読み進めたくなるような作品でした。
続きはまた後で、としたいのになかなかやめられない。
そして、読み終わってみて、改めてタイトルの意味深さに納得します。
東野作品のそういうところが好きなんだと思います。