昔のこと(4)

一人暮らしになり、現実感のない日々が続きだした。

そんな時、男女の若い二人連れが訪問してきた。
玄関先で無言で暗い表情の二人連れだった。
その時の事が今もはっきりと覚えている。
私が「何の御用ですか？」と聞いた。
二人が「手相の勉強をしているので見せてほしい。」
と、手相を見たが
その結果には答えず、気味が悪かった。
そこで
私は、何となくこう言ったのだった。
「私は、今まで自分が不幸だと思った事は無いのですよ 。」
すると、その二人は何も言わず立ち去って行った。
宗教関係の人達のような気がしたのだった。

その後、数人に振り回されたけど
恨む気持ちは、なぜか無い。
きっと、鈍いし
今は、ノー天気で、年齢だけが増えた。

昔のこと（３）

現実の世界から消えてしまいたい。
そんな日々を過ごしていた頃は
なぜか、保険のおばさん達が
家に訪ねてくるようになった。
A社「働きませんか。」
B社「一時払いの養老保健に入ってください。」
何度も断ってもやってきた。

断ってもしつこいのだ。
日本語が通じない人って
いるのだと、実感した。
つづく

昔のこと（２）

７月のどんよりした季節が苦手だ。
現実の世界を生きている感覚が無くなっていた。
夫が出張中に入院し
地元の病院で病死したのだ。

あの日から３０年が過ぎていた。
日記さえ書く気力もなかった。
人に会うのも嫌で，誰とも話したくなかった。
当時、母が体調を崩していたので
甘えることも遠慮していた。

普通にあった生活が消えてしまい
スーパーにもしばらく行けなかった。
家庭の主婦とか、みんな幸せそうで
まぶしかった。
夜中にコンビニに行き、おにぎりを買い
食べた。
体重が減り続けていた。
それでも、外飼いの犬の散歩は、夜中の１時過ぎの
暗い夜道に連れて行った。

私が立ち止まり、後ろ振り返り
「おとうさんかな？」と言うと
２匹とも振り返って座って待つ。
そんな事もあった。

昔のこと(1)

毎年、7月になると昨日の事のように
思い出す。
あれから何年過ぎたのだろうか。

どんよりとした空の時間軸に
紛れ込んだのだろう。
それからは、ドラマの中の自分を見ているようだった。
何もかもが現実ではない。
違う、それは現実だった。

つづく

エアコンフル稼働

庭の雑草が気になるが
毎日の暑さで家に家に引きこもっている。
エアコンで快適に過ごせるが、足が冷え冷えで
風邪気味で体調がイマイチなのに
なぜか靴下を履かないのだ。
自分でもおバカだと思うこの頃。