【大分・臼杵市】臼杵石仏(磨崖仏)は1千有余年前に彫像されたが、確たる文献がないため誰が何の目的で造営したのかは分からず、多くの謎に包まれている。
臼杵石仏の由来のひとつに真名長者伝説があり、深田の里で炭焼を営みながら黄金鉱石を探していた百済からの渡来人・炭焼古五郎(真名長者)夫婦の悲運と関わりを持った中国人・蓮城法師が、中国から呼び寄せた建築僧と彫刻僧により紫雲山満月寺(五ヶ院六坊の総称)を建立し、百余体の石仏を刻ませたという。
ホキ石仏第二群から進んでホキ石仏第一群、山王山石仏、古園石仏群をゆっくり拝観した。
ホキ石仏第一群には如来像・菩薩像及び十王像の20数体の磨崖仏が整然と並んでいて壮観だ。
山王山石仏では、中尊の右側に鎮座する薬師如来坐像は、表面のコケ類等の除去のため紫外線が照射されていたが、初めて見る光景で興味深かった。
古園石仏は臼杵石仏の中心的存在....特に中尊の大日如来坐像のお姿は幽玄で神秘的な雰囲気を醸し出していて、時間を忘れるほどに拝観した。 尚、大日如来の仏頭が落ち、長い間仏体下の台座の上に安置されていたが、平成5年、一連の保存修復時に仏頭は昔日のお姿に復位された。
ホキ石仏第一群第3龕(中)と第4龕(右)..左奥は第2龕
ホキ石仏第一群第3龕..臼杵石仏群の中で小さく彫られた3体の如来尊坐像、中尊は大日如来坐像、右は釈迦如来坐像、左は阿弥陀如来坐像
ホキ石仏第一群第3龕..中尊の大日如来坐像は宝冠を頂き智拳印を結んでいる、台座は裳懸座で穴には願文や経文を納めた
ホキ石仏第一群第4龕..中尊に地蔵菩薩半跏像、両脇に地獄の十王像10体/中尊・地蔵菩薩半跏像は左手に宝珠、右手は施無畏印か
右下3体の十王像..冠をつけ道服を着て笏を持つ、しかし忿怒の形相ではなく穏やかな表情だ!
ホキ石仏第一群から山王山石仏に向かう
山王山石仏の覆屋
山王山石仏の3体の如来尊坐像..右の薬師如来坐像は表面のコケ類等の除去のため紫外線を照射中
阿弥陀如来坐像(左) 中尊の釈迦如来坐像 薬師如来坐像(右)..紫外線照射中
中尊釈迦如来坐像は童児のような純真無垢なお顔だ
古園石仏の覆屋/古園磨崖仏手前右手の岩壁に浮き彫りされている金剛杵を持った左手を高く上げた仁王像
中尊の大日如来坐像..両側に如来像、菩薩像、明王像、天像が曼荼羅式に彫られている
古園石仏..中尊の大日如来坐像を含め計13体の磨崖仏が鎮座
中尊の大日如来坐像は幽玄で神秘的な雰囲気を漂わせていて、日本全国の石仏の中でも最高傑作にひとつと言われる
古園石仏は臼杵石仏の中心的的存在で「古園十三仏」と言われる
大日如来坐像左手の6仏 (右から如来坐像2体、菩薩坐像2体、不動明王坐像、増長天立像)
大日如来坐像右手の6仏 (左から如来坐像2体、菩薩坐像2体、降三世明王坐像、多聞天立像)
中尊大日如来坐像の頭部は長い間下に安置されていた/平成5年に仏頭を復位した(掲示写真を拝借)