何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

壷阪寺-(1) (高市)

2017年07月14日 | 寺社巡り-奈良

【奈良・高市郡】白鳳時代の大宝三年(703)、元興寺の僧弁基(紀)によって創建されたと伝わり、境内から出土する白鳳期の瓦が所伝の創建時期を裏付ける。
壷阪寺の名称は、弁基上人が高取山の霊峰にひかれて山中で修行中、秘蔵の水晶の壷中に観世音菩薩を感得したのでその壷を坂の上に安置して供養し、壷阪観音を模刻して本尊としたことに由来する。 第44代元正天皇(女帝)の時に勅願時となり、その折に「南法華寺」の寺号を賜った。 南法華寺が壷阪寺の正式寺号である。
平安時代の承和十四年(885)に定額寺に列せられ、永観年中(983~985)に興福寺から小嶋寺に入った真興が壷阪寺の経営にも当たり、壷阪寺は全盛期を迎え、金堂、五大堂、灌頂堂等を含め36堂、60余坊の大伽藍が造営された。 真言宗で、本尊は十一面千手観世音菩薩像。 西国33ヶ所観音霊場第六番札所。

入山受付で拝観料を払っている時、首から下げたカメラを見た受付の方から「ご本尊の十一面千手観世音像をぜひ撮影してください」と言われて吃驚した。 飛鳥寺に続いて、ご本尊や諸仏像の撮影ができることに心が躍った。 受付から高取山を見上げると、中腹に立ち並ぶ古色を帯びた堂塔と巨大な仏像などの石造物などが渾然一体となった光景はまさに霊場を強く感じさせる。
境内を進むと右手に朱塗りの大講堂、左手に「慈母園」という養護盲老人ホームがある。 大講堂には、内陣の中央上段に金剛界及び胎蔵界曼陀羅に挟まれて五鈷杵を持つ本尊の弘法大師坐像が、大師像前や左右には諸仏像がずらりと鎮座していて壮観だ。
寺号標石が立つ朱塗りの仁王門に着く。 組み立てたロボットのような木造の阿形・吽形の仁王像が迎えてくれるが、阿形像は右手を失っていて気の毒なお姿だ。 仁王門が建つ境内には、平安時代作の大日如来像を安置した多宝塔、室町時代作の十一面千手観音菩薩像を安置した灌頂堂、天竺渡来の巨大な大釈迦如来石像が鎮座、そして薬師如来像が鎮座する手水舎がある。 手水舎の傍には宝篋印塔、百度石、輪廻塔そして数体の石仏などの石造物が立つ。
右手の石段上には重層造りの慈眼堂が建ち、上層に阿弥陀如来像、下層には夫婦観音像分身のほか涅槃仏や十世紀インド仏像や仏頭など珍しい仏像を安置....というより展示している。

壷阪寺は傾斜地に雛壇状に境内がある..手前右が大講堂、左が慈母園(養護盲老人ホーム)、奥の段上に多宝塔や八角円堂・三重塔等の堂宇が建つ

入母屋造本瓦葺の朱塗りの大講堂..平成の造営で、本尊は弘法大師像(鎌倉時代作)

大講堂に鎮座する諸仏像..中央上段に五鈷杵を持つ弘法大師坐像が鎮座
 
増長天像と薬師如来坐像                 不動明王像と多聞天像

二段目境内に建つ入母屋造本瓦葺の仁王門..鎌倉時代建暦二年(1212)建立

「西國六番観音霊場壷阪寺」と刻まれた寺号標石越しに眺めた仁王門
  
木造と思われる阿形吽形の仁王尊像..像高一丈一尺、阿形像は右手を欠損/仁王門石段下に鎮座する聖観世音菩薩像

三段目の境内に建つ多宝塔と左手に灌頂堂
 
本瓦葺の多宝塔..平成十四年(2002)落慶で平安時代作の大日如来像を安置

入母屋造本瓦葺の灌頂堂..平成十七年(2005)落慶で室町時代作の十一面観音菩薩像を安置
 
灌頂堂脇に佇む初層軸部に四方仏像を半肉彫りした十三重石塔/灌頂堂内陣に鎮座する十一面観音菩薩像

灌頂堂和様式建築で板扉、連子窓、柱間に間斗束、脇障子など

本堂の八角円堂に向かって鎮座する天竺渡来の十一面観音菩薩像(夫婦観音)

多宝塔越しに眺めた天竺渡来の大釈迦如来石像

平成十九年(2007)開眼の天竺渡来の大釈迦如来石像と諸仏群..後方高い境内に慈眼堂と三重塔が立つ
 
整然と鎮座する巨大な釈迦如来像、十一面千手観音菩薩像、普賢菩薩像、文殊菩薩像/身丈10mの釈迦如来像は壷阪大仏と呼ばれる
  
御前立の十一面千手観音菩薩像(身丈3.3m)..前は四天王の広目天(手前)と多聞天/御前立の像に乗る普賢菩薩像と獅子に乗る文殊菩薩像(奥)(両者身丈3m)..平成十九年(2007)開眼/普賢菩薩像と文殊菩薩像の前に鎮座する四天王の増長天(手前)と持国天

露盤宝珠を乗せた宝形造銅板葺の手水舎..手水鉢の上に鎮座する薬師如来像
  
文化十四年(1817)造立の「百度石」と昭和九年(1934)造立の「輪廻塔」/脇侍の二童子を従えた薄肉彫りの不動三尊石仏/手水舎の左手に立つ宝篋印塔..塔身の月輪に種子、蓮華座上の基礎に竹彫りの大きな種子を刻む

石段途中から眺めた多宝塔境内..左奥は仁王門
 
石段上に建つ露盤宝珠を乗せた重層造りで宝形造桟瓦葺の慈眼堂..上層に阿弥陀如来像、初層には夫婦観音像分身を安置

平成十八年(2006)再建だが創建は宝暦元年(1751)..江戸時代~大正時代の主要御堂、本尊は阿弥陀如来像や時代により観音菩薩像が祀られた
 
慈眼堂に展示されている涅槃仏や十世紀インド仏像や仏頭など/壁際に布団に包まってうたた寝しているような涅槃仏が..
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