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■独身税

2005年01月27日 | 巷の話題
もう古紙回収で処分してしまった人が多いでしょうが、今年の元旦の日経新聞の特集に「少子化と家族」という塩野七生さんのへのインタビュー記事が掲載されていました。 塩野さんが語るからには、「ローマ人」が出てくるわけで、古代ローマも少子化に悩んだ…という副題、我々日本人は歴史から何が学べるか、 ”塩野節” を力説していらっしゃいました。 その中で女性についてのくだりを少々。
豊かになると、少子化はどうにも避けようがない現象だ。ライフスタイルが多様化し、子どもを持たないという個人の選択が社会現象になる。古代ローマも同様だ。…(中略)…
少子化を懸念した初代皇帝アウグストゥスは未婚の女性にいわば 『独身税』 を課したり、能力が同じなら、子どもが多い男性を優先的に公職に採用したりして結婚と出産を奨励した。 まだ、少子化がそれほど深刻でなかったにもかかわらず手をうったのです。 結果的にこの制度は三百年近く続き、抑止力として相当な成果をあげた。
まあ、ここまでは古代ローマのお話ですから構わないんです。 「手遅れかもしれない日本が、いまからできることはなにか?」という記者の問いかけに、
少子化問題に本気で取り組むなら、子どもを持つ家庭に徹底的な経済支援をすべきだ。…(中略)…
そしてアウグストゥスにならって、キャリア面でも子持ちの人が得をする制度をつくる。 子育て家庭に手厚い経済的援助をしている欧州でも、職場での優遇策まではやっていないでしょう。 日本はまもなく総人口が減り始める事態に立ち至っているのだから、先べんをつければいい。 『カネで買えないものはない』 なんて威勢のいい経営者もいるようだ。 浅はかなことをいうよりも、私企業が率先して、『子どもが二人以上いる社員は終身雇用を保証する』 と宣言したらいい。 女性は男性よりもっと仕事と子育ての両立がたいへん。 だから子どもが二人以上いれば、それだけで一階級昇進させる。 動物を見れば一目瞭然だけど、たくさんの子どもを育てられる親は能力があって、仕事もできると私は思う。
ちょっと過激なご発言だわね。 私はここのくだりをお正月に読んで、いっぺんで御屠蘇気分が抜けました。 岡本編集長の言を借りるなら、《塩野ローマ史は、政財界のお歴々に圧倒的に支持されている》そうですね。 そのお歴々が子育て家庭への経済的支援を打ち出してくださるのは結構なことですが、 くれぐれも動物社会に倣ってなんて考えないで頂きたいですね。

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