黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『木暮荘物語』三浦しをん(祥伝社)

2010-11-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
フラワーショップさえきで働く坂田繭は、学生時代からずっと同じ、古いアパート・木暮荘に暮らしている。
そんな彼女には、半年前から付き合い始めた恋人・伊藤晃生がいるが、そこへ突然、三年前になにも言わずに姿を消していた元恋人・瀬戸並木が現れた。
行く場所がない彼を、しばらく繭の部屋におくことになってしまい……『シンプリーヘブン』、
余命幾ばくもない旧くからの友人・後藤の見舞いに行った木暮は、彼からセックスがしたいという欲望を打ち明けられる。
その後、亡くなった後藤の言葉に触発されたように、無性にセックスしたくなった木暮。娘夫婦が家に転がり込んできたのを機に、だいぶ前に建てた木暮荘に移って一人暮らしを始める。何とかその欲望を叶えたいと考えるが、なかなか相手が見つからない。
隣室に住む女子大生の存在が気になりつつも、住人の恋人である伊藤に相談。高齢者専門のデリヘルに頼んでは、と提案されて……『心身』、
いつも通りかかる、木暮荘に飼われている犬が気になってたまらない峰岸美禰は、“トリミングハウス プティ・キャン”で働くトリマー。
そんなある日、通勤に使う小田急線の世田谷代田駅の柱に、奇妙な突起があることに気づいた美禰。それは徐々に大きさを増していくが、どうやら他の人には見えてない様子。やがてそれはある物の形になり、戸惑う美禰。
そんな中、駅で出会った、いかにもカタギではないオーラをまとった強面の男・前田五郎にも、それが見えているらしいことが判り……『柱の実り』、
フラワーショップさえきに併設されている喫茶さえきのマスターは、佐伯の夫。彼の入れるコーヒーが、ここ二ヶ月ほど泥の味がすると思うようになっていたが、それを夫に言うことができずにいた。そんな夫が、夜な夜な家を抜け出していることを知っている佐伯。
ある日、いつも火曜日にシンプリーヘブンというバラを五本買いにくる女から、佐伯がコーヒーに感じたのと同じことを言われ……『黒い飲み物』、
木暮荘の二階に住む神崎。会社を辞めて、税理士資格取得に向けて独学中。
ある時、空室である隣室との薄い壁を破ってから、盗み聞きをする生活を始めた。
その後、その真下に住む女子大生の様子を、節穴を通して覗くようになり……『穴』、
卵巣が卵を作りにくい体質の光子は、奔放な性生活を両親に咎められ、気まずくなったことをきっかけに田舎を出、大学に進学の為上京し、木暮荘に住み始めた。
そんな光子の友人・亜季が恋人・ヨシフミとの子供を生むが、その赤ん坊を置いてどこかに行ってしまった。どうやら逃げ出した恋人を追いかけていったらしく、その間赤ん坊の面倒を見ることに……『ピース』、
繭の働く店に様子を見に、たびたび出かけていた並木。
ある火曜日、それを店の客である北原虹子に見つかり、なりゆきで彼女のマンションに世話になることになった。無職ながら、悠々自適な生活をする彼女は、人がついた嘘を味で見分けることができるという……『嘘の味』の7編収録。

世田谷代田駅から徒歩五分の古アパート・木暮荘に住む人々とその周辺を描いた連作。
珍しく性を扱ったものがほとんどなのですが、エロティックというよりも、どこか滑稽というかおかしみを感じるお話でした。

<10/11/26,27>


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