翌日、街にやってきたザンギは
そこで思いもよらぬ顔を見ることになる。
「リュウ……!」
薄汚い胴着、赤い帯、そして何が入っているのか分からないバッグ。
泥臭く、すす汚れていて、何も変わっていない。
「どうしてここへ?」
リュウは真っ直ぐ、ザンギの目を見詰めて言う。
「お前に会いに来た」
とまどうザンギに、リュウはもう一度いう。
「俺と戦ってくれ」
ザンギは持っていた大きな大きなバッグを地面に置いた。
リュウも然り。
二人の周りの空気が一変する。
もともと目立つ容姿、格好の二人。
遠巻きに見ていた人々がある一定の距離を保って集まりだしていた。
「……いつ始める?」
リュウが笑った。
「もう始まっている」
踏み込むリュウ。
コートを脱ぎ捨てたザンギの顔に、
リュウのパンチがヒットする。
容赦も遠慮もないその攻撃に、自分を慰めにきたのでは? という疑念が
払拭される。
満面の笑みでボディブローを返すザンギ。
「ぐっ……! やるな」
リュウも心底嬉しそうにしている。
ザンギは心の底から喜んだ。
これだ! 私が求めていたものはこれなのだ!
(中略)
戦いの最中、
かつてケンと話したことを思い出すザンギ。
ケン
『あいつ……きっと、気付いてないんだろうなぁ』
ザンギ
『?』
ケン
『自分より強い奴に会いに行く、だなんて言ってるけどよ。
自分が、相手を強くしちまってるんだ、ってコトさ』
その時は分からなかった言葉の意味が、
今のザンギエフにはハッキリ分かる。
私は誇りに思う。
お前と出会えたこと、
お前と戦えることを!
「波動……拳ッッ!!」
「ぬぅぅう~~ッ……ンンッ!!」
バニシングフラットで掻き消し、砂煙の中、
互いの距離を感じる。
リュウを掴んだザンギエフ、
空中に舞い上がる。
スクリュー……ッッッ!!!
回転、きりもみ、
下降、
加速……!
パイルドライバー!!
地面にたたきつけられ、跳ねるリュウの身体。
「こらーっ!
何をやっている!!」
警察がやってくるが、
二人の姿を見て立ち止まる。
「な……っ、なんだアイツらは」
勝利を確信したザンギエフが勝ち名乗りをあげようと
手を挙げた瞬間。
地面に突き刺さっていたはずのリュウから、
おびただしい殺気を感じる。
その場にいる誰もが死を予感する程の殺気。
凄まじい勢いで地面から吹き上がる拳。
回転しながら突き上がり、ザンギエフを空中へ舞い上げる。
昇!
竜!
拳……ッ!!
「ぐ……ッ、あああっ」
ダウンしたザンギ。
昇竜拳を放ったリュウも、そのまま倒れ掛かり、
身体を片手で地面にそえる形で前屈みになって荒い息をついている。
「はぁ、はっ……あぶない、ところ、だった……!」
「い、今のは一体……なんだ?」
起き上がるザンギエフ。
二人が歩み寄る姿を見た観衆が、
盛大な拍手を送る。
「こ、これは……?」
「さあな。お前のファンじゃないか? なにせ、ここはお前の国だから」
「私の……?」
周りを見渡すザンギ。
リュウが朗らかな笑顔で観衆を見やる。
その時だった。
観衆の間を抜けて警察官が入ってきたのは。
「こらお前らーっ!! 何をして……」
雷鳴が轟いた。
警察官の身体が見えなくなる。
リュウとザンギエフは本能的にそれをかわしていた。
滅殺!!
空中から強襲する一つの影に吹き飛ばされ、
意識を失う警察官たち。
「ヌルい……ッ、ヌルいワッ!!」
「お前は!!」
拳を握るリュウ。
「殺意の波動……なぜ抑えこむッ!
貴様ならば、あるいは……あるいはッ!!」
独特の構えで立つ豪鬼。
黒い炎に包まれた男の体の中で、赤い目だけが爛々と光っている。
「俺は、俺の道を往く!
お前が行けなかった道を……!!」
「笑止ッ!!」
リュウのそれとは違う、嵐のような竜巻旋風脚。
周りにある人、物、全てに影響を与え、
分け隔てなく殺意を振りまく。
「うわああああッ!!」
「きゃあああ~!!」
巻き込まれる人々に駆け寄ろうとするザンギが、
背後からの悲鳴に立ち止まる。
「ぐ……ッ、ああああ…………ッ!?」
深々と突き刺さるようにリュウの腹に入った豪鬼の拳。
滅ッ……殺!!
豪! 昇!! 竜っ!!
巻き起こる竜巻。
まっすぐに下に落ちてきて、ボロ雑巾のように転がるリュウ。
「拳とは相手を屠るためにあるものッ!
勝てずして理を語ろうなど……!!」
起き上がろうとするリュウの脚を踏み砕く豪鬼。
「~~ッッッッ……!!」
豪鬼の瞳がザンギを見据えた。
「まだおったか……雑魚がッ!」
「ザン、ギエフ……逃げろ。こい、つは……ぐ、うぅっ」
逃げる?
ザンギエフの心臓がバク、バクと高鳴る。
この私が、逃げる?
噴ッ……豪波動拳!
きゃあああ!!!!!!
ぬあああ!?
「ふしゅうううッッ!!」
スチームのように蒸気を吐き出し、ザンギエフがゆらり……と立っている。
背後にいる観衆がザンギエフの巨体を盾にして、震えて座っている。
いや、動けないのだ。
「ざ、ざんぎ……えふ」
「!?」
腰を抜かした少女が、涙を目に一杯溜めて、見上げている。
「たす、た……助けてぇ……!」
「任せろ」
そこで思いもよらぬ顔を見ることになる。
「リュウ……!」
薄汚い胴着、赤い帯、そして何が入っているのか分からないバッグ。
泥臭く、すす汚れていて、何も変わっていない。
「どうしてここへ?」
リュウは真っ直ぐ、ザンギの目を見詰めて言う。
「お前に会いに来た」
とまどうザンギに、リュウはもう一度いう。
「俺と戦ってくれ」
ザンギは持っていた大きな大きなバッグを地面に置いた。
リュウも然り。
二人の周りの空気が一変する。
もともと目立つ容姿、格好の二人。
遠巻きに見ていた人々がある一定の距離を保って集まりだしていた。
「……いつ始める?」
リュウが笑った。
「もう始まっている」
踏み込むリュウ。
コートを脱ぎ捨てたザンギの顔に、
リュウのパンチがヒットする。
容赦も遠慮もないその攻撃に、自分を慰めにきたのでは? という疑念が
払拭される。
満面の笑みでボディブローを返すザンギ。
「ぐっ……! やるな」
リュウも心底嬉しそうにしている。
ザンギは心の底から喜んだ。
これだ! 私が求めていたものはこれなのだ!
(中略)
戦いの最中、
かつてケンと話したことを思い出すザンギ。
ケン
『あいつ……きっと、気付いてないんだろうなぁ』
ザンギ
『?』
ケン
『自分より強い奴に会いに行く、だなんて言ってるけどよ。
自分が、相手を強くしちまってるんだ、ってコトさ』
その時は分からなかった言葉の意味が、
今のザンギエフにはハッキリ分かる。
私は誇りに思う。
お前と出会えたこと、
お前と戦えることを!
「波動……拳ッッ!!」
「ぬぅぅう~~ッ……ンンッ!!」
バニシングフラットで掻き消し、砂煙の中、
互いの距離を感じる。
リュウを掴んだザンギエフ、
空中に舞い上がる。
スクリュー……ッッッ!!!
回転、きりもみ、
下降、
加速……!
パイルドライバー!!
地面にたたきつけられ、跳ねるリュウの身体。
「こらーっ!
何をやっている!!」
警察がやってくるが、
二人の姿を見て立ち止まる。
「な……っ、なんだアイツらは」
勝利を確信したザンギエフが勝ち名乗りをあげようと
手を挙げた瞬間。
地面に突き刺さっていたはずのリュウから、
おびただしい殺気を感じる。
その場にいる誰もが死を予感する程の殺気。
凄まじい勢いで地面から吹き上がる拳。
回転しながら突き上がり、ザンギエフを空中へ舞い上げる。
昇!
竜!
拳……ッ!!
「ぐ……ッ、あああっ」
ダウンしたザンギ。
昇竜拳を放ったリュウも、そのまま倒れ掛かり、
身体を片手で地面にそえる形で前屈みになって荒い息をついている。
「はぁ、はっ……あぶない、ところ、だった……!」
「い、今のは一体……なんだ?」
起き上がるザンギエフ。
二人が歩み寄る姿を見た観衆が、
盛大な拍手を送る。
「こ、これは……?」
「さあな。お前のファンじゃないか? なにせ、ここはお前の国だから」
「私の……?」
周りを見渡すザンギ。
リュウが朗らかな笑顔で観衆を見やる。
その時だった。
観衆の間を抜けて警察官が入ってきたのは。
「こらお前らーっ!! 何をして……」
雷鳴が轟いた。
警察官の身体が見えなくなる。
リュウとザンギエフは本能的にそれをかわしていた。
滅殺!!
空中から強襲する一つの影に吹き飛ばされ、
意識を失う警察官たち。
「ヌルい……ッ、ヌルいワッ!!」
「お前は!!」
拳を握るリュウ。
「殺意の波動……なぜ抑えこむッ!
貴様ならば、あるいは……あるいはッ!!」
独特の構えで立つ豪鬼。
黒い炎に包まれた男の体の中で、赤い目だけが爛々と光っている。
「俺は、俺の道を往く!
お前が行けなかった道を……!!」
「笑止ッ!!」
リュウのそれとは違う、嵐のような竜巻旋風脚。
周りにある人、物、全てに影響を与え、
分け隔てなく殺意を振りまく。
「うわああああッ!!」
「きゃあああ~!!」
巻き込まれる人々に駆け寄ろうとするザンギが、
背後からの悲鳴に立ち止まる。
「ぐ……ッ、ああああ…………ッ!?」
深々と突き刺さるようにリュウの腹に入った豪鬼の拳。
滅ッ……殺!!
豪! 昇!! 竜っ!!
巻き起こる竜巻。
まっすぐに下に落ちてきて、ボロ雑巾のように転がるリュウ。
「拳とは相手を屠るためにあるものッ!
勝てずして理を語ろうなど……!!」
起き上がろうとするリュウの脚を踏み砕く豪鬼。
「~~ッッッッ……!!」
豪鬼の瞳がザンギを見据えた。
「まだおったか……雑魚がッ!」
「ザン、ギエフ……逃げろ。こい、つは……ぐ、うぅっ」
逃げる?
ザンギエフの心臓がバク、バクと高鳴る。
この私が、逃げる?
噴ッ……豪波動拳!
きゃあああ!!!!!!
ぬあああ!?
「ふしゅうううッッ!!」
スチームのように蒸気を吐き出し、ザンギエフがゆらり……と立っている。
背後にいる観衆がザンギエフの巨体を盾にして、震えて座っている。
いや、動けないのだ。
「ざ、ざんぎ……えふ」
「!?」
腰を抜かした少女が、涙を目に一杯溜めて、見上げている。
「たす、た……助けてぇ……!」
「任せろ」
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