視覚障害者きうっちの自立への道

視覚障害者きうっち(S52年生)が気の向くままに日々の生活をツラツラとつづるブログ

点字ってこんなものなんですよ(その1)

2009-10-03 14:11:22 | 視覚障害
 ここまでこのブログの記事の中でもう既に10回以上は点字の訓練の記事を書いてきました。
が、そのほとんどが書いてある内容が抽象的な言葉ばかりで正直何を言っているのか
訳が分からないものばかりだったと思います。そこで今回、この記事で改めて『点字とはこんなものぞや』というような
説明を詳しくしていこうかなと。ただ、これを書いている自分自身がまだ点字を始めて2ヶ月程度の超初心者ですから
これからここに書く内容は本当に点字の初歩の初歩という事をご了承のほどを。ま、それでも軽く点字に触れるくらいならこれでも十分だとは思いますが。

■点字の1マスは6点から
 まず点字の1マスのサイズについて。点字の1マスは左列に3つ、右列に3つ、計6つの点からなっていて、具体的には次のような感じになっています。

・・
・・
・・

これが点字における1マスで、この点がどことどこに打ってあるのか、
いくつ点が打ってあるのかでそのマスに打ってある文字の種類が決まります。ちなみにこの点字のマスにある6点は
左列の上から1の点、2の点、3の点、同じく右列の上から4の点、5の点、6の点と呼び、例えば
『2の点と5の点を打って』と言われれば↓の左側のもののように書くし、
『1の点と4、5、6の点を打って』と言われれば↓右側のように書きます。

   ・・
・・  ・
    ・

これら、点字の6点の呼び方は点字の構造を説明する上で
絶対に必要不可欠なもの。恐らくこの記事のこれから先の部分でも
何度となくこれらの表現が出てくるはずなので、一応頭の片隅にでも覚えておいてもらえるとこれから下に書いてある説明もより分かりやすいかと思います。

■点字では母音を1、2、4の点、子音を3、5、6の点で表す
 小見出しのタイトルの通り、点字では母音を1、2、4の点、
子音を3、5、6の点で表します。例えば母音だけで表す『あ行』を点字で打つと

あ  い  う  え  お 
・  ・  ・・ ・・  ・
   ・     ・  ・ 
              

のような感じで、『あ』は1の点、『い』は1、2の点、『う』は1、4の点『え』は1、2、4の点、『お』は2、4の点を
打って表します。ただ、ここで自分が言っている原則は日本語の、それも50音だけで通用する原則なので
あしからず。これが数字やアルファベット、さらには@や.なんかの数学記号や外国語表記になんかなってくると
また随分違う法則になったりするんですよね。でもまぁ、この記事ではそれらのものはまだ扱うつもりはないので(ずっと扱うつもりがないのもありますけど(苦笑))
とりあえずここでは『そんなもんなのか』程度に認識していてもらえればいいです。

 で、続いて子音について。子音は点字で表すと

か行 さ行 た行 な行 
           
    ・  ・   
 ・  ・ ・  ・ 

は行 ま行 ら行
        
    ・  ・
・・ ・・   

のような感じになります。そして勘のいい方はもう何となく気づいておられるかもしれませんが
これまで紹介してきた母音と子音を組み合わせることによって
点字の50音が成立しているわけです。そういう意味では日本語のローマ字の体系とちょっと似ていますね。

 で、実際にこれまで紹介してきた母音と子音を組み合わせて
点字の50音表を作ってみると次のような感じになります。

か  き  く  け  こ 
・  ・  ・・ ・・  ・
   ・     ・  ・ 
 ・  ・  ・  ・  ・

さ  し  す  せ  そ 
・  ・  ・・ ・・  ・
 ・ ・・  ・ ・・ ・・
 ・  ・ ・  ・  ・

た  ち  つ  て  と 
・  ・  ・・ ・・  ・
 ・ ・・  ・ ・・ ・・
・  ・  ・  ・  ・ 

な  に  ぬ  ね  の 
・  ・  ・・ ・・  ・
   ・     ・  ・ 
・  ・  ・  ・  ・ 

は  ひ  ふ  へ  ほ 
・  ・  ・・ ・・  ・
   ・     ・  ・ 
・・ ・・ ・・ ・・ ・・

ま  み  む  め  も 
・  ・  ・・ ・・  ・
 ・ ・・  ・ ・・ ・・
・・ ・・ ・・ ・・ ・・

ら  り  る  れ  ろ 
・  ・  ・・ ・・  ・
 ・ ・・  ・ ・・ ・・
              


とまぁこんな感じになるのですが、ここでまたしても勘のいい人は2点ほど気づいたかもしれませんね。
1つは一番最初に点字の1マスはこんな感じで、と紹介した時のものが『めの字』を表している、ということ。
この『め』という文字が点字では全ての基本といってもよく、よく武道の世界では『礼に始まり礼に終わる』なんて事を言いますけど
まさに点字ではこれを『めの字に始まりめの字に終わる』と置き換えてもいいくらいのものなのです。
だから点字を打つ際に一番最初に打つ練習をするのはこの『め』だし、読む時もまずこの『め』から
読む練習を始めるし、点字の1マスがどのくらいの大きさか指に覚えこませる練習をする時もこの『め』を連続して打った1列を
使って練習します。ま、だから点字で『め』というのは本当に基本中の基本なのですよ。
そしてそれは恐らく点字における『め』という文字の形、1マスの6点全部を使うという事からきているようなのですが。

 そしてもう1つ。2つ目は『上の表ではや行とわ行がないじゃないか?』という事。
これにもちゃんとした理由がありまして……実はや行とわ行については
他の50音と点字での文字の体系が少し違うのですよ。さっき上の方では
点字では原則50音は母音の3点と子音の3点を足して-。みたいな事を言っておきながら早速例外が出てきてしまったわけですが(汗)。
でもまぁ、点字というのはこの『例外ありき』みたいなところがあって
だいたい8~9割の基本的な原則と残り1~2割の例外で構成されているルールばかりなんですよ。
そこがこの点字というものの一番厄介な部分ではあるのですが……まぁその『例外』についてはそれが出てくる度にいちいち覚えていくしかないわけで…。
まぁ本格的に点字をやるつもりのない人はそんな必要はちっともないですから、またしても『ま、そんなものなのか』という風に思っておいてもらえればいいです(苦笑)。
というわけでその例外、や行とわ行、そしてついでに(何がついでだと言われそうですが(苦笑))プラスαの例外についても紹介していきたいと思います。

■や行は4の点+どこかの点
 既に上で述べているように、や行はこれまで紹介してきた点字の50音とは少し体系が違っています。
その体系とは具体的に点字の形で表すと

や  ゆ  よ 
 ・  ・  ・
       ・
・  ・・ ・ 

とこんな感じになります。ちなみに自分はや行のこの形を教えられた時は
『4の点+や行の母音(あ、う、お)を下に下げられるだけ下げた形』という風に教えられましたが。
そう言われてみると『や』は4の点と『あ』を下げられるだけ下げた点を足したもの(『あ』下がり)、
『ゆ』は4の点と『う』の字を下げられるだけ下げたもの(『う』下がり)、
そして『よ』は4の点と『お』の字を下げられるだけ下げたもの(『お』下がり)であるという事が
何となく分かるかと思います。この記事の上の方にも点字で打った『あ、い、う、え、お』の形が表にしてあるのでそちらと比較してもらえればなお分かりやすいかと。

■わ行は子音の点のみで打つ
 そしてわ行。実はこのわ行も他の50音の文字とは文字の体系が根本的に違っていて
具体的に点字の形で表すと

わ  を  ん 
        
    ・  ・
・  ・  ・・

とまぁ上のような形になるのですが、小見出しのタイトルのように
それぞれの文字が子音の点(3、5、6の点)のみで撃たれています。
ただそれだけだとちょっと覚えにくいので、自分は頭の中ではこんな感じで整理する事にしています。
…ま、この覚え方が全ての人に必ずしも有効だとは思わないですけどね(苦笑)。

・『わ』の字はわの母音である『あ』の字を下げられるだけ下げたもの
・『を』の字はをの母音?である『お』の字を下げられるだけ下げたもの
・『ん』の字は子音の点(3、5、6の点)を全て打ったもの

■ついでに『っ』と『ー(長音)』もご紹介
 ついでと言っては何なのですが、『っ』と『―』の形も紹介しておきます。
ついでというのは、実はこの先々紹介しようと思っている
濁音や半濁音、『ちょ』や『じょ』などの拗音と拗濁音、『1』や『+』のような数字や数学記号は
これまで紹介してきた50音のように1マスでは撃てないので、2マス使って打つのですよ。
例えば『が』の字は

   ・ 
 ・   
    ・

のような形で打つのですが、これは最初の1マスに撃たれた『5の点』が濁音、つまりは『゛』を表していて
今後、点字の文字を紹介していこうとするとどうしてもこの『2マス使って』という形になって
しまうんですよね。で、今からここで紹介しようとしている『っ』や『ー』で
1マスで撃てる点字の文字がちょうど終わりそうなので『ついでに』紹介して-。というわけです。
ま、正確に言うと『、』や『。』、『!』や『?』も1マスで表せる文字ではあるのですが、
これらの文字は点字で文章でも書かない限りはまず使わないと思うので、ここでは詳しい説明は割愛という事で。

 で、ここからが本題。まず『っ』の文字なのですが
これは『2の点』だけを打って表します。ま、具体的に点字で打つと

  
・ 
  

上のような感じになるのですが、この文字はハッキリ言って他の文字とは法則性や関連性がまるでない文字なので
正直この形をもう『丸暗記』するしかないですね。ま、幸い文字の形が簡単なので覚えるのはそれほど難しくもないですけど。

 そして『ー』。これは

  
・・
  

のように打つのですが、見ての通り、この文字は点字でも本当に『見たまんま』打ったという感じで
1マスの真ん中、2の点と5の点を打って表します。

 そしてこの『―(長音)』、実は点字の世界では結構『使用頻度』が高くて、例えば
『さいとう』さんや『さとう』さんのような名前の場合は

さ  い  と  う 
・  ・   ・   
 ・ ・  ・・ ・・
 ・    ・    

さ  と  う 
・   ・   
 ・ ・・ ・・
 ・ ・    
のような感じで最後の『とう』の部分を『とー』のように長音を使って打ちます。
この『―』の使い方は点字独特のルールのようなもので、他の場面でも結構当てはまります。
点字で打つ時の文字がこんな感じに変化する見分け方としては色々あると思うのですが、
まぁ自分としてはこんな感じで頭の中で整理するようにしています。

・50音のかな文字をSAITOHやSATOHの一部のように『oh』とアルファベットで書ける部分は点字では『―』を使って打つ

こんな感じの考え方をしていれば、この『―』の法則についてはだいたい問題ないのかな、と。
…ま、でもこの使い方に関しては正直『慣れる』のが一番早いですかね。
とにかく点字の文章を打って打って打ちまくって体にしみこませるしかないというか。
そもそもこんな事を言うと『そんな根も葉もない事を』と突っ込まれてしまいそうですけど(苦笑)。
まぁ街にある点字の文字を何となく読んでみる、くらいの感じなら『そういえばそんなルールもあったよなぁ…』ぐらいの認識でいいと思います、正直言って。

■濁音や数字の書き方などについては別の機会に
 実は点字のルールは先に挙げた濁点とか数字とかアルファベットの書き方とか
まだまだ色々あるのですよ。しかもかなりいっぱい…。
それらのルールをここで全部あげつらっていってもいいのですが、
そうすると今回のこの記事だけで相当の分量になってしまいそうなので(しかもまだこれを書いている自分自身が教えてもらってない文字もあるし(苦笑))、
他のものについてはまたいつかということで。恐らくはどこかの土曜か日曜の記事でUPするとは思いますけど。
ちなみに次回は濁音と半濁音、そして拗音あたりを取り上げる予定です。
…次回、この点字の記事の続きがいつUPされるのかは不明ですけど(汗)。


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