視覚障害者きうっちの自立への道

視覚障害者きうっち(S52年生)が気の向くままに日々の生活をツラツラとつづるブログ

音声読み上げソフト『AOK Office』ってこんなソフト(全体)

2011-11-12 12:00:00 | 視覚障害
 11月の初旬、8月頃から自分が注目していた音声読み上げソフト、とある販売店から購入していた『AOK Office』がようやく手元に届きました。
ところでこのAOK Officeという音声読み上げソフト、自分自身も事前にあったこのソフトの体験会で実際にソフトを触ってみるまでほとんど実像が分からなかったのですが
とにかくネット上での情報が少ないんですよね。googleなどの検索サイトで検索をかけても、ほとんどその網に引っ掛からない。わずかに拾ってくる情報といえば
AOk Officeが対応しているPCのCPUやソフトなどの、いわゆる『文字で簡単に表せる情報』のものばかりです。

 なのでせっかくこのAOK Officeを手に入れたことですし、全国の視覚障碍者に情報を還元するという意味もこめて(←そんな大げさな(汗))
自分なりにこのAOK Officeというソフトを開設していってみたいと思います。
ま、どこまでこのソフトの機能を説明し切れるのかは分かりませんが…。
なお、解説は以下の項目に沿ってしていきます。

1. ソフトの基本的な概要
2. Word2007やExcel2007なのにメニューバーが使える!?
3. 各種Officeソフトを使った際の読み上げ方を強化
4. テンキーを使ってマウスカーソルを動かせるようになった
5. 10種類もある音声エンジン(サンプル音声あり)
6. 点字ディスプレイをPCと接続した際の機能が強化された…らしい(汗)
7. このあたりはAOK Officeのだめなところかも…
8. 結論

■ソフトの基本的な概要
 まずは、おさらいの意味も込めてこのソフトの基本的な概要の説明から。
↓に記してあるような説明は、恐らく発売前でも様々なサイトに記されていた情報だとは思うのですが、まぁ確認のため一応掲載。

標準価格:\134,400(税込)
複数ライセンスのご購入に際しては、別途ご相談ください。
メーカー:高知システム開発

【概要】

「AOK Office」は、ビジネスユースに適した高知システム開発社製スクリーンリーダーの最高峰モデルです。
複雑なビジネス文書をスピーディーに把握、編集するために新たに採用したクイックビュー機能をはじめ、ダイレクトコマンド、仮想カーソル操作など、Microsoft Officeをより快適に使いこなすための機能を豊富に搭載しています。
さらに発売以来ご好評をいただいているVoiceWorks、BrailleWorksの機能も搭載しているので、豊富な音声エンジンからお好みの音声をお選びいただきご利用いただけることはもちろん、点字ディスプレイ出力にも対応しています。

【主な特徴】
●Microsoft Officeを使いこなす
複雑化するビジネス文書をスムーズに編集できるクイックビューなど、Microsoft Officeをフル活用できる機能を満載しました。マクロ編集(VBA)など、スキルに応じた高度な利用が可能です。
仕事のスキルアップに有効な日商PC検定試験にも対応しています。(Word文書作成)
●ビジネスに最適なパッケージ
AOK Officeは、Microsoft Officeに最適化されたPC-Talker 7、PC-Talker Vista、PC-Talker XP、VoiceWorks、BrailleWorksの5つの商品がセットになった、ビジネスユーザーに最適なパッケージソフトです。
●USB辞書で快適な音声
USBメモリの音声エンジンを利用することで、ハイレスポンスな音声操作を実現しました。ハードディスクへの集中アクセスが無くなり、ビジネスアプリケーションへの負担が軽減、省電力にも優れています。

【動作環境】
●対応OS
・Windows 7 (32bit および 64bit)
・Windows Vista (32bit のみ)
・Windows XP (32bit のみ)
●CPU/メモリ
対象のOSが推奨する環境
●ハードディスク
インストール時に3GB以上の空き容量が必要
●対応Microsoft Office シリーズ
Microsoft Office 2003・2007・2010(32bit/64bit) (Word・Excel・Outlook・PowerPoint)
●製品媒体(メディアの種類)
USBメモリ (16GB USB3.0対応)
※AOK Officeのインストールとご利用にはUSBメモリの装着が必須

 …とまぁ、ソフトの概要としてはだいたいこんな感じ(実はこの説明、自分がこのソフトを購入した販売店の説明文からほぼそのまま転載してきているのですが(汗))。
この中で一番目を引くのはやっぱり『ソフトのお値段』でしょうかねぇ。やはりJAWSにも比肩する、13蔓延超のお値段はちと手軽には手を出せない金額です。例え自治体から購入するための助成金が出ていたとしても。

■Word2007やExcel2007なのにメニューバーが使える!?
 ではここからは自分がこの音声読み上げソフトを実際に使ってみての感想。自分が『このあたりがこのソフトのウリかな…』といったあたりの機能を中心に解説していこうと思います。
まずは、上の小見出しのタイトルにもあるようにAOK OfficeではWord2007やExcel2007でもメニューバーを使うことができます。
まぁ正確には、2007以降にあるリボンと同時に、2003までのようなメニューバーも扱うことができる、というもの。
……は?-。パッとこれを聞いただけではたぶん全く意味が分からないと思うので、ちと補足説明。

 見た目上、どうなっているのかわたしが目が見えないので(汗)分からないのですが、少なくとも音声上では
AOK Officeを用いて各種Officeソフトで作業をしている場合、2003以前のメニューバーと2007以降のリボンが並列した形で呼び出されることになります。
まだどういうことなのか分かりにくいと思うので、ここではExcel2010を例にして説明していきます。

 まずExcel2010で無題のbookを起ち上げます。ここでAltキーを押すと『メニュー』という音声が流れます。
さらにこの状態で十字キーの→を押すと『ホーム』という音声が流れます。少し分かりにくいですが、ここがExcel2007以降でのリボンの一番左側にあたります。
また『メニュー』の音声が流れた後に十字キーの↓を押すと、『ファイル』という音声が流れます。これがExcel2003以前にあったメニューバーの一番左側にあたります。
音声では少し分かりにくいのですが、ここまでの説明を一応図で解説しておくと

メニュー(ここで→を押すと一行下のリボンへ、↓を押すと2行下のメニューバーへ)
ホーム→挿入→ページ レイアウト→数式→データ→校閲→表示→Microsoft Office ナビ 2010→リボンの最小化→Microsoft Office のヘルプ→ファイル→(以下一番左へ戻る)
ファイル→読み→編集→表示→書式→データ→挿入→ツール→ウィンドウ→ヘルプ→(以下一番左へ戻る)

ちなみに、リボンの『ホーム』で←を、メニューバーの『ファイル』で↑を押すと
Excel上でAltキーを押した際に一番最初に流れる『メニュー』という音声に戻ります。
つまり、Excel上でAltキーを押した際、2007以降のリボンか、2003以前のメニューバーかを選択できる状態になっており
そこで→を押すとリボンへ、↓を押すとメニューバーに行くようにメニューが枝分かれしているようなイメージと考えてください。
Excelに限らず、AOK Officeでは各種Officeソフトで作業をする際、このようにリボンとメニューバー、好きな方を選んで作業をすることができます。

■各種Officeソフトを使った際の読み上げ方を強化
 AOK Officeでは、全体的に各種Officeソフトの読み上げ方が強化されました。ではどのように強化されたのか?-。
これから以下に、Microsoft Officeの主なアプリケーション5つについて、別添のダウンロード資料『AOK Officeを用いた際のExcelの読み上げ方.xls』と合わせて説明していこうと思います。
また、以下の説明の大前提として、AOK OfficeはOffice2003、Office2007、Office2010に対応しています。

・Word
正直、普通に文書をWordで作成している時はこれまでのPCトーカーとそれほど変わらないような気がします(汗)。
一番読み上げ方が強化されたと思われるのがWordで表を作成した場合。JAWSほどではないですが、表の内容を確認することがだいぶ楽になりました。
まず、Alt+win+tで表の構造を把握することができるようになりました。
また表のセル間をタブキーなどで移動した場合、『1行2列』などカーソルが今、表のどの位置にあるのか、だいぶ分かりやすくなりました。
またこれは旧バージョンのPCトーカーからあった機能なのかもしれませんが、shift+Alt+kで表に引かれている罫線を確認することもできます。

・Excel
カーソルをセル移動させた際に読み上げられる、セルの情報が格段に増えました。その詳細については別添のダウンロード資料を参照してください。
ただ、Excelの入力規則を設定した際のコンボボックスの内容を全然読み上げてくれないだとか、表示形式の通貨を選択した時『¥』の記号だけ何故か読み上げてくれなかったりだとか、いくつか気になる点はあるのですが……このあたりは今後のバージョンアップで解決されるのでしょうか…?

・PowerPoint
これまでPCトーカーは、PowerPointの読み上げには基本的に対応していませんでしたが、
AOK Officeではしっかり読み上げに対応しています。ただし『スライドショー』でスライド間の移動をロールアップ、ダウンで行なった際(というかこれしか方法がない)
次(前)のスライドに切り替わった際には『スライド01』『スライド02』のように、スライドをページ数でしか読み上げてくれないので、スライドショーを行う際には、事前に自分の頭の中に作成した各スライドの構造を把握しておくことが必須だと思われます。

・Outlook
これまでPCトーカーは、Outlookの読み上げには基本的に対応していませんでしたが、
AOK Officeではしっかり読み上げに対応しています。正直、それほどAOK officeの読み上げでOutlookを使いこんだわけではないですが
少し使ってみた感じでは、キーボードでカーソルが動かせる場所は全部読み上げてくれるはずです。

・Access
残念ながら、AOK OfficeはAccessには対応していないそうです(涙)。

■テンキーを使ってマウスカーソルを動かせるようになった
 AOK Officeの大きな特徴の一つとして、テンキーを使ってマウスカーソルを操作できることが挙げられます。
そのテンキーでのマウスカーソルの詳しい操作方法は、*以下に記してある、AOKメニューのマニュアルから引っ張ってきた説明文を読んでいただきたいのですが
AOK Officeではテンキーを用いて行う作業モードを3つの中から選ぶことができます。

 まず普通のテンキー入力ができる『テンキー』モード。そしてクリップボードを様々な用途で使用することができる『クリップボード』モード。
最後にマウスカーソルをテンキーで操作できるようにする『マウス』モード。AOK Officeではこれら3つのテンキーのモードを
Alt+Ctrl+Home
で切り替え、選択できるようになっています。

 このテンキーの『マウス』モードを使えば、これまでキーボードのみの操作では押すことができなかったボタンや
今まではフォーカスを当てることさえできなかったウィンドウへカーソルを合わせて色々作業することができたり、これまで全盲の視覚障碍者が操作することが難しいとされていた、
大半のウィルス対策ソフトの操作が、このテンキーの『マウス』モードでできるようになりました。
自分なんかはこれまで、『そこにボタンがあることは分かっているのに』キーボードの操作だけではカーソルをそこに合わせることができない、ボタンを押すことができないなんて歯がゆい思いを散々してきたので
この『マウス』モードの存在は本当にありがたいですね。

 また、同じような機能のある音声読み上げソフト、JAWSとの最大の違いは
キーボードの操作をしながら並行してマウスの操作もできる、というところでしょうか。JAWSではキーボードのカーソルにあたる『PCカーソル』とマウスカーソルにあたる『JAWSカーソル』を
イチイチ切り替えないと、キーボードとマウスを扱うことができませんでした。でもAOK Officeではキーボードの操作はフルキー、マウスの操作はテンキーでとほぼ切り離されているので(ただしテンキーでの数字入力は『マウス』モードではできなくなってしまいますが)
このあたりはAoK OfficeのJAWSに比べてのいいところなのかな、と自分は感じています。また当然といえば当然なのですが
テンキーが存在しない、一部のノートPCではこの機能を使うことができないので、その場合は外付けのデスクトップタイプのキーボードを接続してこの機能を使ってください。

* * * *
◆◆◆ テンキー マウス操作モードコマンド

Windowsの基本概念では、マウスでもキーボードでも、同じような操作ができることが基準となっています。
しかし、画面情報を主体としたWindowsのソフトは、マウス操作を主体としたものとなっています。
そして、キーボードでは操作不可能なボタンの多用など、マウス操作だけを考えたソフトが増加しています。
そこで、PC-Talkerでは、テンキーの操作だけで、ボタンに自動的にマウスカーソルを移動してクリックできる機能を装備しました。
マウスカーソルのガイド音声と共に、Windowsのマウス操作を支援します。

●マウスカーソルの音声ガイド 切替・・・・・・・Ctrl+Alt+_(アンダーライン)
 マウス操作中、マウスカーソルのあたった項目について自動的に音声ガイドします。
 マウス操作モードを使用する場合、この設定を『読む』にしておくと便利です。

●マウスカーソルの移動
 上へ移動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・テンキー8
 下へ移動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・テンキー2
 左へ移動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・テンキー4
 右へ移動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・テンキー6

 移動スピードを速くする
 上へ高速移動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Alt+テンキー8
 下へ高速移動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Alt+テンキー2
 左へ高速移動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Alt+テンキー4
 右へ高速移動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Alt+テンキー6

●マウスカーソルのブロック移動
 現在アクティブなウィンドウの四角形領域を3段3列に9分割したブロックに見立て、それぞれのブロック位置に移動させます。
 左上ブロック(1段目1列)へ移動・・・・・・Ctrl+テンキー7
 上ブロック (1段目2列)へ移動・・・・・・Ctrl+テンキー8
 右上ブロック(1段目3列)へ移動・・・・・・Ctrl+テンキー9
 左ブロック (2段目1列)へ移動・・・・・・Ctrl+テンキー4
 中央ブロック(2段目2列)へ移動・・・・・・Ctrl+テンキー5
 右ブロック (2段目3列)へ移動・・・・・・Ctrl+テンキー6
 左下ブロック(3段目1列)へ移動・・・・・・Ctrl+テンキー1
 下ブロック (3段目2列)へ移動・・・・・・Ctrl+テンキー2
 右下ブロック(3段目3列)へ移動・・・・・・Ctrl+テンキー3

●マウスカーソルの自動移動
 現在アクティブなウィンドウ内にある、ボタンなどのコントロールへ自動的に移動します。
 次のコントロールへ移動・・・・・・・・・・・・・・・・テンキー0
 前のコントロールへ移動・・・・・・・・・・・・・・・・Alt+テンキー0
 ※テンキーモードに関係なく、マウスカーソルを次のコントロールへ移動は Ctrl+Alt+] で実行できます。
  前のコントロールへ移動は Ctrl+Alt+[ で実行できます。

●マウスボタンの操作
 左ボタンのクリック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・テンキー7
 右ボタンのクリック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・テンキー9
 マウスホイールを押す・・・・・・・・・・・・・・・・・・Alt+テンキー7
 マウスホイールを上へ回す・・・・・・・・・・・・・・Alt+テンキー9
 マウスホイールを下へ回す・・・・・・・・・・・・・・Alt+テンキー3
 ※テンキーモードに関係なく、左ボタンのクリックは Ctrl+Alt+@ で実行できます。

●マウスカーソルの位置読み上げ
 マウスカーソルの位置を垂直方向・水平方向の順にドット単位で読み上げます。
 全画面中の位置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・テンキー.(ピリオド)
 現在アクティブなウィンドウ内での位置・・・・Alt+テンキー.(ピリオド)
 ブロック単位を基準とした位置・・・・・・・・・・・・Ctrl+テンキー.(ピリオド)

●ウィンドウサイズの切り換え・・・・・・・・・・・・・・テンキー1
 現在アクティブなウィンドウのサイズを 大中小 の順に自動的に切り換えます。

■10種類もある音声エンジン
 このAOK Officeのウリとして挙げられるものに、10種類もの中からメインの音声エンジンを選べるというのがあります。
英語音声のものも合わせると、その数は何と13種類-。まぁよくぞ、ここまでの種類の音声エンジンを揃えたという感じです。
一体どのような声質の音声エンジンが搭載されているのか?-。でもそれをここに『文章』の形でつらつらと書いてもまず分からないと思うので
どんな声の種類があるのか、直接音声を聴いてもらった方が早いだろうな、と-。そんなわけで下のリンクから各種音声エンジンのサンプル音声を直接聴けるようにしました。
それぞれのリンク先へアクセスすると、新しいページが開きます。そこでタブキーを10回程度押すと、サンプル音声のファイルをダウンロードするリンクが現れるので(○○.3GPのリンクがそれ)ファイルをダウンロードし、サンプル音声を聴いてみてください。

 また、サンプル音声はケータイからでも聴けるように作成しました。このブログはケータイ電話から読んでくれている人も多いみたいなので
普段ケータイから見てくれている人もぜひ聴いてみてください。まぁ、春先に高知システム開発から発売されていた、ボイスワークスというソフトを既に購入していればおなじみの声ばかりだとは思いますが…。

・メインの音声に設定できる音声エンジン
読み秀君 (ProTALKER)
読み子ちゃん (ProTALKER)
Misaki (VOICE TEXT 女性音)
Show (VOICE TEXT 男性音)
Sayaka (VOICE TEXT 女性音)
Haruka (VOICE TEXT 女性音)
マイ (ボイスソムリエ ネオ 女性音)
タクヤ (ボイスソムリエ ネオ 男性音)
マユミ (ボイスソムリエ ネオ 女性音)
アキラ (ボイスソムリエ ネオ 男性音)

・英語音声の音声エンジン
Kate (VOICE TEXT 英語女性音)
Paul (VOICE TEXT 英語男性音)
Microsoft Anna - English (United States)

■点字ディスプレイをPCと接続した際の機能が強化された…らしい(汗)
 また、AOK Officeでは点字ディスプレイを使用しているPCと接続した際の機能も強化されたらしいです。
……らしい、とここで表現を濁しているのは、わたしきうっちが自身で確認をしていないから(汗)。
これに関しては、自分は製品の仕様書に記してあった機能をそのまま書いているだけなので…。

 自分は点字のヘビーユーザーではないため、手元に点字ディスプレイがありません。
なのでこの機能-。正式名称はブレールワークスというらしいのですが-。は残念ながら実際に使ってみることはできていません。
このあたりはどなたか情報を持っておられる方は、この記事のコメント欄、またはわたし宛てまでブログのトップページからメールを送っていただければ幸いです。

■このあたりはAOK Officeのだめなところかも…
 ここまでこの『AOK Office』について、こんな感じに読み上げ方が強化されました、こんな感じに機能が良くなりました、みたいに良いところばかりを挙げてきました。
ただAOK Officeにももちろん『ダメなところ』というのもいくつかあります。
以下に、自分がこの2週間ほど、AOK Officeを使っていて『これはちょっと何とかならんもんかね』と感じたところを、3つほど紹介しておきます。

1.AOK OfficeのインストーラがUSBメモリに入っているため、全盲の視覚障碍者が一人でソフトをインストールすることが大変困難
2.インターネットを閲覧している際のブラウザを読み上げる際の音声が、これまでのPCトーカー7 ver2やXP ver5とほぼ変わらない
3.AOK Officeをインストールした端末を使う場合には、専用のUSBメモリを常に差し込んでおかなければならない

 まず1について。実はAOK Officeのソフトのインストーラは、普通のパッケージソフトのようにCD-romに入っているのではなく
パッケージ内に付属されている、USBメモリの中に『setup.exe』というファイルの形で入っています。
ここで問題になってくるのが、AOK Officeをインストールしようとする際には、同じメーカー、高知システム開発の音声読み上げソフトがインストールされていてはダメだということ。
つまり、他社から販売されている音声読み上げソフトが自分のPCに入っていない場合、ユーザーは音声の案内無しでソフトのインストール作業をしなければいけないということなのです。
これは正直、全盲のPCユーザーにとっては相当キツイです。当初、自分もこのソフトのインストールをしようとした際には相当困りました。恐らく大半の全盲のユーザーは、目の見えている方のサポート無しではソフトのインストールができないのではないでしょうか?
さすがにこの事実には『目の見えてない人向けの商品のはずなのに、これってどうなのよ?』と思いましたね。
まぁ一応、この項の一番下に記してある※以下のような手段を使って全盲の人でもやってやれないことはないのですが…。
ちなみに自分は、※以下の手段を使い『気合と根性(苦笑)』で自力でソフトをインストールしました。
ところでわたしのPCに載っているOSはWindows 7なので、同じ7ユーザーなら同じような方法でソフトのインストールができるかもしれませんね。もっとも、正直あまりオススメはできませんが(苦笑)。

 そして2について。AOK Officeでは、残念ながらインターネットを閲覧する際のブラウザについては、特に読み上げ方を強化しているような感じは見受けられませんでした。
PCトーカー7 ver2やXP ver5を既に使っている人は、それらとほぼ同じような読み上げ方と考えていいと思います。
個人的にはテーブルタグの構造を全く読み上げてくれないのが一番痛いかな……このあたりは、同じような値段のJAWSと比べてマイナスポイントなのかなと感じました。

 そして最後の3について。AOK Officeという音声読み上げソフトは、ソフトのインストールをした後も
常に専用のUSBメモリをPCに差し込んでおかないといけないんです。これはAOK Officeをインストールした際のPC側の負担を軽くするためのメーカー側の処置らしいのですが…。
ただその場合、AOK OfficeがインストールされたPCで作業をする場合は、常にUSBのポートを1つ埋められた状態にしてなければいけないので、
これは、人によっては意外とわずらわしいと感じるかもしれません。まぁ確かに、これだけ高機能のソフトが常駐されている状態にも関わらず、JAWSと比べてPCの動きは非常に軽快なのですが……もっとも、このあたりはある程度割り切ればいいのかなとも思いますけどね。
高機能の音声案内を、非常にPCの負担が少ない形で実現している。その代わりPCのUSBのポートが1つ犠牲になっている-。と、こんな風に考えてもいいのかなと最近自分は思うようにしています。

※ 音声の案内無しでのソフトのインストール方法の一例
まずPCを起ち上げたら2分ほど待つ。
そしてWindowsボタンを押し、十字キーの↓を3回、←を1回、続いて↓を4回押しEnterキーを押す。
これでWindowsの『コンピュータ』が開くので、ロールダウンキーを押す。するとカーソルがUSBメモリにあたる『リムーバブルディスク』にいくのでEnterキーを押す。
するとAOK OfficeのインストーラがあるUSBメモリの中に入れるので、そこで 
a
Enter
s
Enter
の順番でキーを押す。
これでsetup.exeを開くことができるので、あとはしばらくするとAOK Officeのインストーラが音声付でめでたく起ち上がります。

■結論
 ここまで様々な角度から長々とAOK Officeを分析・解説してきました。
そしてもし、このAOK Officeという音声読み上げソフトの購入を考えているのであれば

1.とにかく長い間、PCトーカーに慣れている
2.これからPowerPointやOutlookを用いて、色々と作業をしたい
3.正直、これまで使っていた音声読み上げソフトには物足りなさを感じている。でもJAWSのあの読み上げ方はどうも好きになれない
4.現在、それなりに高機能のPCを持っている
5.今後、MS-DOS プロンプトで一切作業をするつもりがない(←これの意味することが分からない人は、つまりこの条件に当てはまっているということです(笑))
6.標準価格13万円超という値段はあまり気にならない
7.たくさんの女の子の声を聴きながらPCの作業をしたい(笑)

という条件に当てはまる人は、このソフトの購入を考えてもいいのかなと思っています。…まぁ正直7の条件は大概の人にとってはどうでもいいことだと思いますが(笑)。
AOK Officeは全体的に高機能の音声読み上げソフトだと思いますし、ソフトをインストールしたPCで作業をしている感覚はJAWSよりずっと動きが軽いです。個人的な感触では、これまで使っていたPCトーカーと動きはほぼ遜色はないですね。

 ただ正直『色々とできるようになったし色々読み上げてくれるようになった』といっても、それはこれまでのJAWS以外の音声読み上げソフトと比べて、という話。
そのJAWSと比べると正直なところ、読み上げてくれないツールも結構あったりします。
上にも挙げていますが一つの例として、MS-DOS プロンプトは一切読み上げてくれませんしね。

 この『AOK Office』という音声読み上げソフト、比較対象になるのはやはり同じような値段の音声読み上げソフト『JAWS』だと思うのですが
このJAWSというソフト、自分は幸運なことに今年7月まで職業訓練をしてきた国立職業リハビリテーションセンターで散々使わせてもらうことができました。
なので、自分はこの『JAWS』というソフトのいいところも悪いところもそれなりに分かっているつもりです。
で、今回この『AOK Office』も2週間ばかりですが、それなりに使ってみていいところ、悪いところがだいたい把握できたつもりです。
その自分が2つの音声読み上げソフトを比べてみて感じた、個人的な印象を一言で表すと↓のような感じになりますかね。

・他の音声読み上げソフトと比べると少しクセがあり使いこなすのは少々難しいけど、使えば使いこむほど色々なことができるようになるのがJAWS
・確かに操作するのは簡単だしそれなりに色々とできるようになったし読み上げてくれるようになったけど、本当に『それなり』のことまでしかできないのがaOK Office

 そして、何よりソフトの値段が値段(13万4400円)なので、やはり購入する際には慎重を期した方がいいと思います。
できることなら、やはり体験会や誰かに直接触らせてもらうのがベストだと思いますね。
ただ、大半の人は恐らくそういう機会には恵まれないと思うので、今回先に購入した自分がこのような資料を作ってみました。
冒頭にも述べたように、このAOK Officeについては正直公開されている情報があまりにも少ないです。
今後、このソフトの購入を考えている方たちに、自分が作成したこの拙い資料が少しでもお役に立てるのであれば幸いです。
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 単身生活47日目 | トップ | 点字ディスプレイをPCと接... »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
興味深いレポートありがとうございます (平瀬 徹)
2011-12-03 09:24:25
パワーポイントのスライドショーでは、せめてタイトルだけでもしゃべってくれるといいですね。
スライドショー実行中は、カーソルキーやCtrl+カーソルキーで確認できるようです。
返信する
返信 (きうっち)
2011-12-03 11:27:09
>平瀬 徹さん
こちらこそコメントどうもありがとうございます。こんな出来の悪いレポートが、ほ
んの少しでもみなさんのお役に立ってくれるのであればうれしいですね。

それと、PowerPointについてはAOK Officeが搭載されているPCでまだそれほど触っ
たわけではないんです、実は(汗)。
まぁこれから、おいおいボチボチと使い込んでいこうと思います。そうしていけば、
また新しい発見があるかもしれないですし。
返信する
Unknown (たつはる父ちゃん)
2011-12-03 23:16:58
高知システム開発のホームページから「AOK Office」を知り、きうっちさんのブログへたどり着きました。
私は広島で音声パソコンの設定・指導の派遣ボランティアをしております。

大変参考になりました。
ありがとうございました。
ブログにも紹介させていただきました。
たくさん音声エンジンが増えても、私はみさきちゃん派です(笑)
返信する
返信 (きうっち)
2011-12-04 08:23:42
>たつはる父ちゃんさん
コメントどうもありがとうございます。しかもこのような感想もいただけるなんて…
それなりに力入れてこの記事を作った甲斐があったというものです。
それとたつはる父ちゃんさんのブログの記事中にもこちらの記事を紹介していただい
てありがとうございました。m(_ _)m
ところでたつはる父ちゃんさんのブログの記事中に『音声読み上げソフトはWordやEx
celが少し苦手』とありましたが、実はそうでもないですよ。
まぁ確かに『慣れ』が必要ではありますが、WordもExcelも『画像』を表示させるよ
うなもの以外での作業であれば(例えばグラフ)、意外と大丈夫ですね。
わたしなんかもExcelでオリジナルの家計簿やカレンダー風の年間予定表を作ったり
していますし。
返信する

視覚障害」カテゴリの最新記事