絵画との出会いから

絵を始めた動機、作品の思い出、絵の仲間との出会い、支えてくれた家族との思いなどを、絵画作品とともに記録するブログです。

モネ展を観て

2015-11-20 22:41:30 | 日記
かってビジネスをしている頃、提携していただいていた会社が毎年モネの絵のカレンダーを作成されていたので、毎年お願いしてお贈りいただいていたこともあり、印象派の祖であるモネには注目していた。
このたび上野の東京都美術館で12月13日までモネが自ら保存していた作品を寄贈した「マルモッタン・モネ美術館」のコレクション展が開催されている。
11月18日はシルバーデイ(60歳以上無料)ということで、早起きして10時頃着いたが既に40分待ちの行列ができていた。
これまで平日でも連日長蛇の列ができているということを聞いていたが、日本人がいかに印象派の絵画が好きな証拠でもある。
   モネ展パンフレット    サン・ラサール駅

展示室の中は入場制限(コントロール)されていたので思ったよりゆっくり鑑賞することができたが、マイペースでは観られなかった。
今回の展覧会であらためてモネの絵の実物を観て感じたことは、観たものを即、大胆に描く筆致(筆力・筆触)の強烈さと色彩の豊かさに圧倒された。多くの画面にキャンバスが塗られていないで残っている絵があるのをみて、描くときの感覚と情熱を大切にしており、あまり完璧に仕上げることを追求しない(売れる絵を意識していない)からであろうと思った。
      睡蓮とアガパンサツ


今回私が最も感動したのは、モネが80歳を過ぎた晩年に白内障を煩い医師の勧めを断り手術をしないで描き続けたバイタリテイある絵であった。なかでも終の棲家としたジュベルジューの地で自分で作った池や庭園を描くことに没頭して描き続けた「しだれ柳」シリーズと「日本の橋」シリーズと「バラの小道」の絵は、今までの彼の絵とは真逆の抽象的な表現である。話によると白内障で物の輪郭ははっきり見えているが、色がぼやけていたようである。しかしその絵には画家としての最後の魂の躍動を感じた。またこの抽象表現が印象派のあとに起こる抽象表現や象徴主義やキュービズムのきっかけとなったことはモネは知る由もなかった。この筆致はゴッホに生きているように思った。
  しだれ柳(1) しだれ柳(2)                日本の橋
 

バラの小道 (若い頃の絵)     バラの小道(晩年の絵)



今回の展覧会をみて、モネの絵にも個人生活や友情のそれぞれの物語があることをあらためて知り、 モネの画家としての信念や人間性を深く理解できた。やはり印象派はモネから始まったことを実感した一日でした。