身近な自然となかよくblog (旧「菊名エコクラブblog」)

自然環境と調和した持続可能な社会を!

by NACS-J認定 自然観察指導員 松田 照之

菊名池の自然環境の変遷<概要>

2010年08月23日 17時36分52秒 | 2-4.菊名池
2008年3月28日の記事でもふれましたが、1990年代まで、菊名池は市街地にありながらも大変良好な自然環境を有してきました。
それがブラックバスやブルーギルなどの外来魚、そしてハスなどが人々によって投入されたため、菊名池の生態系を支えてきたヒメガマの茂みが消失。昔から菊名池に生息していた小型魚介類も絶滅してしまったようなのです。

私はこのことが大変残念でならず、菊名池の自然環境の変遷についてまとめることにしました。
菊名池の近所に在住していることや、10年ほど自然環境調査や自然環境保全の仕事をしていたことなどがあり、菊名池の自然観察データなども個人で持っているからです。

過去に記録した菊名池の自然観察データや集めた資料を探しているうちに、押入れから菊名池についての古いパンフレットが出てきました。
それは、昭和61年に当時の横浜市緑政局と㈶緑の協会によって作成された菊名池公園案内のパンフレットです。

これは菊名池の変遷について公式に記述された資料として貴重なものですし、菊名池がどんな池かという重要な部分が簡潔にまとめられています。
菊名池の自然環境の変遷<概要>として、このパンフレットから抜粋します。



以下、パンフレットからの抜粋・・・・・・・・・・・・

 この「菊名池」には千三百年余の昔より大竜神が鎮座し、里人は菊名池大明神とあがめたてまつったと伝えられています。また最近までは灌漑用水として、付近の農民の生活に寄与していた村有の池でもありました。

 ところが昭和30年代からの周辺の急速な宅地開発に伴い、池の汚染が進んだことから、地域の人々の要望もあり、池の一部を埋め立てて、こどもの遊び場や周辺園路を造り、昭和33年に公開されました。

 しかし、雨水と湧水で保たれていた池の水も、後背地の急激な開発による湧水の減少と、大量の生活廃水の流入等で、汚濁が進み、悪臭が発生するようになりました。
 
そこで、池を埋め立てて、①大プールとこどもの遊び場とする。②野球場と小プールとする。③池を1/3残し、他は大プールとする。の3案が地域ぐるみで検討され、③案が採用されることとなりました。それに基づき整備が進められ、48年度に完成。現在の姿となったのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「菊名池公園 公園のあゆみ」
(昭和61年(1986年3月 ㈶横浜市緑の協会)
 より、菊名池に関する部分のみ抜粋
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冬の渡り鳥キンクロハジロが菊名池で繁殖

2010年08月22日 17時14分21秒 | 2-4.菊名池
毎年冬鳥(冬の渡り鳥)として菊名池に飛来するキンクロハジロが、この夏、その菊名池で繁殖したようです。
私は知人の野鳥の会の会員から19日に連絡があり、昨日行ってみました。

オスとメスの成鳥が1羽ずつ、そして雛が1羽確認できました。

キンクロハジロはカモ目カモ科。水中に潜ってエサを採る海ガモ類です。
日本で見られるほとんどのカモの種類は冬鳥(冬の渡り鳥)です。

菊名池のキンクロハジロも同様で、毎年10月に群れで飛来し4月ごろまで過ごします。
といっても、その数はこの期間中変動します。当然、秋に飛来しはじめる頃は数は少なく、2月ごろにピークになり、それ以降は次第に数が減っていきます。

これまで、羽根を痛めて飛べなくなったような個体が菊名池に残るということは何度かありましたが、繁殖したのは初めてです。

珍しいことではあります。
でも、喜ばしいことがどうかは慎重になる必要があると思います。
生息環境を人工的にしたり、野生生物にエサを与えるということは、自然環境や野生生物にとって良くないことです。
こうしたルールが都市公園ではなかなか守られず、野生生物たちに悪い影響が出始めてるのかもしれません。

今年は国際生物多様性年で、地域地域で多様な自然を保全していくことが環境省によりアピールされています。
また、今日はさきほどNHKで「ちょっと変だぞ日本の自然」という番組をやっていました。やはり地域地域で郷土の自然環境と共存していく必要があるという内容でした。

これらの出来事を機に、このブログでもしばらく菊名池の自然環境の変遷などについて取り扱っていきたいと思います。



菊名池で繁殖したキンクロハジロ
オス成鳥、メス成鳥、そして雛が確認できました。


カルガモも雛をかえしていて、3羽の雛を確認できました。
カルガモは冬鳥(冬の渡り鳥)ではなく、留鳥といって一年中菊名池や近辺に生息しているカモです。


菊名池の東岸からの全景です。

以前の菊名池の記事でも少しお話ししてきましたが、菊名池はここ十年ほどで、大きく自然環境が変わってしまいました。
かつてはカマ(ヒメガマ)の茂みがあり、それが菊名池の生態系を支えていました。
しかし人々がブラックバスやブルーギル、そしてハスを入れたりしたため、ガマの茂みはなくなり、昔から住み続けていたテナガエビも菊名池から絶滅してしまったようです。
毎年子育てをしていたバンも姿を消してしまいました。

しかし、こうして池が残っていること。そしてこのように生きものたちが何かと話題を投げかけてくれること。
これらのことを思うと、まだ希望は持てるかもしれません。

コメント (2)
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次回の活動は8月14日(土)です。

2010年08月11日 06時55分12秒 | 1-1.菊名エコクラブの町なか自然教室


次回の活動の詳細が決まりましたので、お知らせいたします。

8月14日の土曜日、午後2時半から、篠原公園内の篠原池で「篠原池で生物保護区のエコアップそしよう!」を行ないます。

生物保護区域は生物保護のため、普段は立ち入り禁止になっています。
この区域の中には水を電動ポンプで循環させた人工の川があるのですが、夜にはポンプが止められて、川に水がなくなってしまいます。
そのため、この川には水生生物が住んでいません(住めません)。
そこで石を積み上げて関を作り、夜にも水がたまっている環境をつくることが、今回の活動の目的です。

後日、主催者の私たちで、ちゃんと水がたまっているかどうかを確かめ、たまっていないようでしたら、またの作業で修正します。
また、水がたまっているのを確かめることができたら、次の段階の活動で、水草(ノハナショウブ、ショウブ、セリなど)を植える計画です。

持ち物などの詳細はポスターをご覧ください。
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