kebaneco日記

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あたらしい憲法のはなし 戦争放棄の章

2014年09月06日 | 折々の話題
しまそだちさまがおっしゃっていた、憲法制定時に作成され小学生が副読本として使った「あたらしい憲法のはなし」。

その全文はこちらで読むことが出来る。入力、校正、制作はボランティアの青空文庫で作られたもの。もととなったのは実業教科書株式会社が1947年に発行した「あたらしい憲法のはなし」。著作権が切れているので自由に配布できる。なのでこちらに戦争放棄の章だけでも、と転載することにした。こんなに優しく語りかけるように小学生に説明できる単純なこと、「戦争をするためのものは一切もたない」と「争いごとは穏やかに解決する」に向かって、なぜ終戦直後から比べてこんなにも後退してしまったんだろう。いかに戦後が遠くなろうとも使い続け語り継ぐべきだったこの本は、一体いつから使われなくなってしまったんだろう。今の政権が進める道徳教育の強化・充実、その前にこの本を復活させるべき、と思った。

六 戰爭の放棄

 みなさんの中には、こんどの戰爭に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとう/\おかえりにならなかったでしょうか。また、くうしゅうで、家やうちの人を、なくされた人も多いでしょう。いまやっと戰爭はおわりました。二度とこんなおそろしい、かなしい思いをしたくないと思いませんか。こんな戰爭をして、日本の國はどんな利益があったでしょうか。何もありません。たゞ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか。戰爭は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。だから、こんどの戰爭をしかけた國には、大きな責任があるといわなければなりません。このまえの世界戰爭のあとでも、もう戰爭は二度とやるまいと、多くの國々ではいろ/\考えましたが、またこんな大戰爭をおこしてしまったのは、まことに残念なことではありませんか。

 そこでこんどの憲法では、日本の國が、けっして二度と戰爭をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戰爭をするためのものは、いっさいもたないということです。これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戰力の放棄といいます。「放棄」とは「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。
 もう一つは、よその國と爭いごとがおこったとき、けっして戰爭によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです。おだやかにそうだんをして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの國をほろぼすようなはめになるからです。また、戰爭とまでゆかずとも、國の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです。これを戰爭の放棄というのです。そうしてよその國となかよくして、世界中の國が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の國は、さかえてゆけるのです。

 みなさん、あのおそろしい戰爭が、二度とおこらないように、また戰爭を二度とおこさないようにいたしましょう。

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8 コメント

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そうです、そうです (しまそだち)
2014-09-06 23:52:58
探されたのですね
そうです、
最初の段なんて、心にしみじみ響きました
その番組でのナレーションが、良かったから余計感動しました
「こんな戰爭をして、日本の國はどんな利益があったでしょうか。何もありません。たゞ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか」
それを、忘れた議員さんも居るのでしょう

こんな素敵な文章を書ける人が、居たのが、又、感動してした

私も、改めてじっくり読みました
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しまそだちさま (keba)
2014-09-07 00:32:30
探しました。
当時はまだ馴染みがなかったであろう概念を
平易な言葉で淡々と説明するその一言一言が、
静かに心に染み渡るようなこんな文章には
いままで巡り会ったことがありません。
どうもありがとうございました。

他に先駆けて日本が正しいことをやっているだけだから、武器を捨てても心配要らない。

終戦直後、きっとみんな打ち拉がれていて、ひもじくて貧しかったに違いないのに
背筋をピンと伸ばして真っすぐ前を見る凛とした姿を想像させるこの言葉。
子どもたち、そしてその親たちは、この文章に勇気づけられたに違いありません。

あたし、全部(A4で27ページしかない)印刷しちゃいました。
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さっそく (まろ)
2014-09-07 11:08:24
青空文庫からダウンロードしました。
中一の教科書→副読本→発行なし、となった経緯が興味深いです。
現政権で復活することはありえないですね。
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まろさま (keba)
2014-09-07 11:33:13
そういう流れなんですか、がっかり、ですね。
学校で現代史を教えない教育制度ですからね、しょせん、、、、

謙虚さと進歩って正比例し、傲慢さと退化も正比例する
って言うあたしの勝手な持論を、完璧に立証してる(苦笑)
現政権には、確かに無理ですね。
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Unknown (クラリス)
2014-09-08 10:11:40
>謙虚さと進歩って正比例し、傲慢さと退化も正比例

ほんとうだぁ!!わかりやすいです~~。

人間は、それがいけないとわかっていても楽な方へ流れてきがちな生き物。
でも、今のご時世は楽な方だとは思えない。
なんか不可解な流れがイヤラシくてすっきりしないのが気持ち悪いです。。
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クラリスさま (keba)
2014-09-08 14:41:25
同じ過ちを繰り返さないようにしようって
謙虚に学んだ形跡のない人達が主流を構成する国会。
そこに、みんなが自己規制的に同じスタンスをとる不気味さ。
なんのための三権分立か、言論の自由か、と
いや~な感じ、しますよね、、、
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Unknown (ちらり~ん)
2014-09-08 22:06:59
私もお気に入りバーに全文を登録しました。
折に触れて噛み締めようと思います。
こんなに平易な文章なのに、なんと心に強く響くのでしょう。
子供の頃にこの文章に接していればと思いますが、今からでも遅くないですよね。
つくづく今の政権の乖離していく姿が浮かび上がってきて、恐ろしくなります。

これを教えて下さった「しまそだちさま」そしてkebaさん、ありがとうございます。
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ちらり~んさま (keba)
2014-09-09 00:27:02
でしょ~、感動ものです、この文章、この内容
今からでも遅くない、今だからこそ必要、だと思います。

しまそだちさまには本当に感謝です
こういうのこそがブログの醍醐味ですよね~
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