バランスを欠く過剰反応は戒めよ ロケット？ミサイル？「破壊措置命令」という名の迎撃命令

「航空自衛隊入間基地を出発するＰＡＣ３の発射台を載せた車両＝２７日午後
８時１３分、埼玉県狭山市、関口聡撮影」

　北朝鮮が発射準備を進める長距離弾道ミサイルに備え、政府が初の「弾道ミサイル
破壊措置命令」を出したことを受けて２７日午後８時過ぎ、航空自衛隊入間基地（埼
玉県）など首都圏４カ所に配備されている空自の地対空誘導弾パトリオット３（ＰＡ
Ｃ３）の４個高射隊が、東京・市谷など展開予定地への移動を始めた。同日中に到着
する予定。

　首都圏でＰＡＣ３が展開するのは、陸上自衛隊市ケ谷駐屯地（東京都）と朝霞演習
場（同）、習志野演習場（千葉県）。空自浜松基地（静岡県）の高射隊も近く、秋
田、岩手両県内の計２カ所への移動を始める。海上自衛隊のイージス艦３隻も近く出
航する。（09.3.27朝日新聞）
　
　このように、各社の報道はセンセーショナルです。河村官房長官自らが、「日本の領域に落下する可能性は極めて低い」と言いつつ、市民生活の安心確保のためにと防衛大臣の破壊措置発令を合理化しています。一方、朝鮮戦争休戦の当事者であり、日米安保の「守護者」でもあるアメリカのクリントン国務長官は、「迎撃のつもりはない」とコメントしており、何とも対照的です。ここにも事の素顔が透けて見えるようです。にもかかわらず、自衛隊法の「破壊措置命令」を「迎撃」とイメージさせるような政府の危機煽動と先棒を担ぐようなマスコミの軽薄な報道こそが不安です。
　不思議な現象ではないですか。今宇宙ステーションで実験活動をしている若田さんは、何に乗って宇宙まで行ったのでしょうか。アメリカはじめ世界の主要国が打ち上げた軍事偵察衛星、気象衛星は一体いくつ上空を回っていて、そのたびにいくつのロケットが打ち上げられたことでしょうか。そして周辺国がこんなにも大騒ぎしたのでしたでしょうか。バランスを欠いていませんか。冷静に考えてみましょう。過剰反応はことの本質を見失わせます。進行する既成事実は、当たるも八卦当たらぬも八卦、政府関係者が「当たらない」とつい本音を漏らしたミサイル防衛システムを実戦配備する各地の動きです。因みにアメリカが迎撃実験で成功したとされるのは、発射ミサイルに誘導装置をつけたうちのわずかだけであり、客観的事実として「当たらない」システムなのです。

　これが、共和国の「瀬戸際外交」ならば、こうして、日本の平和勢力を抑圧する方向で、日本の軍需産業や防衛族議員、改憲勢力の好戦的な思惑を利していくのです。こうしたやりかたには賛同できません。