胎の名前

過ぎにし胎はただ名前のみ、虚しきその名が今に残れり。 (ウンベルト・エーコ先生とは関係ありません…)

「SHERLOCK3エピソード0:Many happy returns」(BBC)

2014-05-12 03:14:53 | テレビ番組

本当は本編放送後にまとめて振り返りたかったのだが、NHKが字幕付き版をウェブで公開したので居てもたってもいられなくなりエントリすることにした。

21世紀の名探偵が不在のロンドンで、残された人々が色々な形で彼を思い出していく、
その様を切り出した挿話。7分強しかありません。

その出来がやはり当然というか余りにも良くて、そしてネタもとい萌えポイントがふんだんにちりばめられていたのだった!

以下全力でネタバレいたしますので、読まれたくない方はここで立ち去っていただければ。






1)こんな短編なのに原作トレースが楽しい!Part2.1
・シャーロックがロンドンに近づいてくるルート。
正典ではチベット→ペルシャ→スーダン→フランス南部→ロンドン。
ダライラマと対面したなんて記述さえある。
今作はチベット→インド→ドイツ(→多分アムステルダム→フランス北東部=アンダーソンが指している地図につけられたバツ印から)。
19世紀末は陸路と海路しか移動手段がないため大回りしたんでしょうが、21世紀には飛行機があるからインドからドイツなんてひとっ跳びですよね。
もっとも、シャーロックがどうやって旅券を手にしているかは謎。どうせマイクロフト兄さんが一晩で全部やってくれたんでしょうけれども。
・「溶けたアイスクリームに落ち込んだチョコの深さ」で事件が解決したというニューデリーの刑事。「溶けたバターに落ち込んだパセリの深さから事件を解決した」という語られていない事件にまつわる記述が正典にもある。
・一転有罪判決が出たトレポフ氏、これも語られていない事件の一つだったような。どこかで見た気がしますが記憶が曖昧。すいません。
・シャーロック思い出箱(?)に入っている黄色いプラスチックの仮面、正典の「黄色い顔」の真相から来ているのでしょう。

2)「OK」
・シーズン2のラストと同じ言葉=「死んでるのを止めろ」を呟いたジョン。恐らくもはや呪文のように日々口にしてきたんでしょう。返事がくることはなく、シャーロックが生き返ることもないわけですが。でもDVDの中のシャーロックだけが答えてくれました。
・古風でベタな演出ではあるのですが、ジョンの表情の変化が素晴らしくて何度見ても泣けます。
・「(忙しくて席を外すけれど)すぐ戻るよ」と話すシャーロック。我々はシーズン3があることが分かっていながらこれを聞くからドキドキワクワクするわけですが、ジョンにとってはシャーロックが2度と戻っては来ないという事実が身に沁みた一言だったはず。そのギャップに思いを馳せると何度でも泣けます。
・ついでに言えば、ジョンのお誕生日会をシャーロックが欠席したのは、自分が居ると場が荒れてお祝いムードを壊してしまいジョンを不快にさせてしまう、と分かっているからではないでしょうか。ある意味、欠席こそがシャーロックのプレゼントだったんだと考えるだけで何度でも泣(以下略
・シャーロックのウインク。初対面の際のウインクが攻撃的だったのと比べ、何と愛情に満ち溢れたウインクだったことか。たとえ「ウケがいい」から演じているだけだったにしても、シャーロックとジョンの過ごした時間の長さ・濃さがあの一瞬からうかがい知れて何度(略


そんな小隕石をシーズン3本編放送前に投じられて、平穏でいられるわけがありませんよ!
あと2週間、海外放送&BD/DVD視聴組が投下しているネタバレに触れないまま、
妄想を繋ぎながらしのいでいく所存ですが、番宣CMの映像だけで脳内回線が既にショート気味……

正典ではホームズ不在の3年間、マイクロフトがベーカー街221Bを原状保存しており、
ワトソンも奥さんと離別もしくは死別して独り身になってしまい、
ホームズは時間を巻き戻したように元の共同生活に戻ることができました。
ですが、シーズン2ラストでハドソン夫人は「遺物をどうやって処分するか」話していたし、
予告を見るとジョンは婚約者が居るらしい。
21世紀のロンドン、シャーロックが元通りの生活に戻るのにどれ程の苦労をするのか。
怖くもあり、ある意味楽しみでさえもあります。

だってジョンを偽装の死であれだけ苦しめたんだからシャーロックも相応に苦しんでもらわないとな!<鬼か

ああ待ちきれない……


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