私のコンピュータ人生の始まりは、電機メーカーの「電子計算機導入準備室」だった。電卓もない、コピーはジアゾ式の1枚コピーするのに分単位でかかる、という時代。会社の業務処理を膨大なフローチャートに描き、そこに電子計算機を割り込ませて仕事の分担をさせ、新しい、効率の良い業務の流れを設計することから始まった。コードという概念も無かったので、顧客マスターや製品マスター、部品マスター、人事マスターなどのコード体系とそこに持たせる項目の設計なども行った。そしてシステムを作り、販売管理、購買管理、生産管理、給与計算、会計などのサブシステムを、企業全体の業務処理を把握しながら開発し運用に漕ぎつけた。運用に入ってからは、自分が作ったシステムは自分がオペレーターになって担当した。伝票をキーパンチャーに回して、カードリーダーから読ませ、エラーは現場に返して直してもらい、処理をやり直したり、アウトプット帳票を仕訳して社内便のボックスに入れたり、帳票の設計も印刷会社への発注も在庫管理も全部自分でやった。
そして、開発が一段落したとき、このままこの会社で一生やっていくのだろうかと、ふと思って、当時ようやく現れた独立系ソフトウェア会社に転職した。
私は入社して愕然とした。ソフトウェア会社の人間と、ユーザの間に横たわるギャップの大きさについてだ。その会社(CAC)は日本一のソフト会社だと思う。しかし、私がやってきた「どのようなシステムを作るか」ということに関してはほとんどやったことはなく、ユーザのシステム部門が、現場とさんざん試行錯誤してきた結果を受けて、基本設計と称してまとめているだけだった。こんなんでいいのだろうかと思ったが、口には出さなかった。会社の名誉のために言っておくが、もちろんCACはユーザからの評判も良く、仕事が終わって、顧客から請われて、会社対会社合意の上でユーザに転職する人も出るような会社で、私も信託銀行の仕事を終わったとき誘われたくらいだから、心底顧客のために働くSEのいる、ほんとうにいい会社だった(多分今でも)。
しかし、しかしである。会社の基幹業務をどうしたらいいかを外部のシステムインテグレータに任せることはできないというのが、今でも私の思っていることだ。とても無理だ。先日長年ユーザ企業の情報システム部長をされていた佐々木典夫氏の話を伺った。佐々木さんはITベンダーに対して、せめて「稟議書に書いてある目的を共有して欲しい」。なぜこのシステムを作るのか、稟議書にそれが書いてあり、それで何億円もの投資が決まったのだから、末端の1プログラマーに至るまで、そのシステムの稟議書に書かれている目的を共有して欲しいと言うのだ。「見積金額の範囲内で納期どおり収まったからよしとされたのでは、とても一緒に仕事はできません」という。
2008年10月15日号の日経コンピュータの「システム内製化再び!」は、時機を得た企画だと思う。そしてソフトウェア会社にとってもまたとないチャンスだ。システムを内製化するとしても社員だけでシステムが作れるほど人材は豊富なはずはない。ITの専門家として、こういう心あるユーザに入り込んで、一緒に仕事をさせてもらうのだ。常駐型で2,3年どっぷり浸かれば一生のノウハウが手に入ると思う。
ITは単なる道具です。その道具を使ってユーザ企業の業績を格段に向上させたという経験は、ITで生きていくための、その後の人生に、大いに自信を与えるはずです。
宣伝させていただくと、Biz/Browserはそのためにあります。
そして、開発が一段落したとき、このままこの会社で一生やっていくのだろうかと、ふと思って、当時ようやく現れた独立系ソフトウェア会社に転職した。
私は入社して愕然とした。ソフトウェア会社の人間と、ユーザの間に横たわるギャップの大きさについてだ。その会社(CAC)は日本一のソフト会社だと思う。しかし、私がやってきた「どのようなシステムを作るか」ということに関してはほとんどやったことはなく、ユーザのシステム部門が、現場とさんざん試行錯誤してきた結果を受けて、基本設計と称してまとめているだけだった。こんなんでいいのだろうかと思ったが、口には出さなかった。会社の名誉のために言っておくが、もちろんCACはユーザからの評判も良く、仕事が終わって、顧客から請われて、会社対会社合意の上でユーザに転職する人も出るような会社で、私も信託銀行の仕事を終わったとき誘われたくらいだから、心底顧客のために働くSEのいる、ほんとうにいい会社だった(多分今でも)。
しかし、しかしである。会社の基幹業務をどうしたらいいかを外部のシステムインテグレータに任せることはできないというのが、今でも私の思っていることだ。とても無理だ。先日長年ユーザ企業の情報システム部長をされていた佐々木典夫氏の話を伺った。佐々木さんはITベンダーに対して、せめて「稟議書に書いてある目的を共有して欲しい」。なぜこのシステムを作るのか、稟議書にそれが書いてあり、それで何億円もの投資が決まったのだから、末端の1プログラマーに至るまで、そのシステムの稟議書に書かれている目的を共有して欲しいと言うのだ。「見積金額の範囲内で納期どおり収まったからよしとされたのでは、とても一緒に仕事はできません」という。
2008年10月15日号の日経コンピュータの「システム内製化再び!」は、時機を得た企画だと思う。そしてソフトウェア会社にとってもまたとないチャンスだ。システムを内製化するとしても社員だけでシステムが作れるほど人材は豊富なはずはない。ITの専門家として、こういう心あるユーザに入り込んで、一緒に仕事をさせてもらうのだ。常駐型で2,3年どっぷり浸かれば一生のノウハウが手に入ると思う。
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