国民年金制度の綻び ~ 修正賦課方式を『再修正』するしかない

2014-02-19 16:30:15 | 日記
今日の厚生労働省の発表によると、平成25年12月末現在の国民年金保険料の納付率に係る概要は次のようなもの。

○平成23年度分(過年度 2 年目)の納付率は64.5% (23年度末から+5.9 ポイント)
○平成24年度分(過年度 1 年目)の納付率は62.5% (24年度末から+3.5 ポイント)
○平成25年4月分~平成25年11月分(現年度分)の納付率は58.2% (対前年同期比+1.5%)

国民年金保険料の直近の納付率は下の資料1〔=国民年金保険料の納付率(現年度分)の推移〕の通り。これを見ただけでも、国民年金制度がうまくいっていないことは一目瞭然だろう。国民年金保険料を納付していない人は、その気力がないのか、その能力がないのか等、様々なの理由があろう。いずれにしても、公的制度に必要な公平性の観点からも、国民年金制度は相当に綻んでいる。

国民年金制度は、年金制度全体の中でどのような位置にあるのか。年金制度はとても複雑だが、下の資料2〔=費用負担の仕組み〕と資料3〔=公的年金全体の流れ〕を見ると、国民年金や厚生年金の位置付けがわかる。資料4〔=年金特別会計(平成24年度当初予算)〕を見ると、単年度の年金財政規模がわかるが、その【歳入】の中の「国民年金勘定」のうち「保険料収入(16,245億円)」が上記の納付率を算出する素となる国民年金保険料である。

年金特別会計の全体規模からすると、国民年金保険料収入の割合は数%程度とかなり小さい。元々、賦課方式も修正賦課方式も、年金制度を持続ならしめるものではない。それが顕在化して久しい今、国民年金保険料の納付率が低いことに対して、どのような政策的手立てを講じるべきなのか。それは、国や自治体が納付率向上のための呼び掛けをし続けることなのだろうか。

このような不公平な状況を放置すべきでないという理由も含めて、積立方式に移行すべきとの機運が醸成されるのは必然のことである。人口ピラミッドの形が逆転しつつある時代における年金制度は、現行制度の基本である“世代間扶助”の機能強化ではなく、自己責任原則を基本とする制度へと『再修正』していく改革が必要である。実は、多くの人々は既にこれに気付いているのではないだろうか。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2:費用負担の仕組み>

(出所:厚生労働省資料


<資料3:公的年金全体の流れ>

(出所:厚生労働省資料


<資料4:年金特別会計(平成24年度当初予算)>

(出所:財務省資料

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