道具の原点

生活道具の盛衰と生活に与える影響

除雪道具使い比べ

2006-01-16 | 除雪道具
昨年末の重い雪が新年の寒波で凍って硬く締まった重い雪になった。色々な除雪道具を動員して除雪に掛かったがプラスチックのスコップやママさんダンプは今度の雪には無理であった。
アルミ製のスコップも歯が立たないことも多く、結局錆びた鉄製のスコップがもっとも活動していた。
除雪道具knyco

板バンバ (除雪用具)

2006-01-08 | 除雪道具
「バンバ」は"おばあちゃん"のことではなく雪国では除雪用具として広く使われてきたもので、気がついたら生活の場から言葉と共に消えてしまっていた。今は民俗博物でしかお目にかかれないアンテイークものです。少し前までは炉辺焼きの店で働いていたようですが。金属製のスコップが普及して出番がなくなった。しかし、茅葺の屋根の雪下ろしには屋根を傷めず、重宝にされているようです。全長180cm程度あり板材の一体構造で無理が利かず折れやすく、雪離れが悪く、ワックスを塗って使った記憶がある。勿論材料の歩留まりも悪く金属スコップには敵わない。したっがって「バンバ」が無くなっても不自由はないが、一つの民俗文化がなくなることに、割り切れない面がある。

消えてゆくのか?スローポット(電気煮込鍋)とスローライフ

2006-01-02 | 道具
 テンポの速い現代社会の変化の中で、もっとゆっくりした生活を取り戻したいという反動かも知れませんが、「ユックリズム」とか「スローライフ」という運動が出て久しくなりました。 その前段には、耐久消費財の買替え促進を意図した陳腐化、矢継ぎ早い新商品開発などがあり、やがて破棄された商品のゴミ処理問題、資源の浪費、環境問題など負の遺産が山と積まれてしまった。  そして今、誰もが意識する、しないに関わらず、反省(反動)を伴いつつ、これからの新しい生活スタイルを模索しなければという社会的な状況を認識していることは確かです。  過日、著名な先生からメールを頂き、スローポット(電気煮込み鍋)に関して、今後、見直されよい商品で、推奨したいという熱烈なメッセージを頂き恐縮しています。 「スローライフ」という運動と台所の中の一商品とを結んで、どのように処理されるのか関心を持っています。  ただ、残念ながら幾つかの理由によって消滅して行く可能性があり、先生の期待とすれ違うことにならないで欲しいと思うだけです。

やかんの底の形はなぜ丸いのか?

2004-11-23 | 商品豆事典
ある質問より・・・・

[Q]中学校で教師をしているものですが、先日、生徒からの質問で「やかんの底の形はなぜ丸いのか?四角い形でもいいのに…」という質問を受けました。確かに、そう思ってやかんを良く見ると、平らな円の底や、少し内側にくぼんだ底のやかんがあったりと、微妙に形が違うように感じます。知り合いの先生に聞いたところ「熱効率の関係で、形が違う(数学の変分法に関係?)のです」と説明を受けましたが、なかなか生徒に伝わりにくいかと思い、直接、やかんを製造している会社さんに聞いたほうがいいと思い、メールをしました。お忙しいとは思いますが、もしよければおしえてもらえますでしょうか。

湯沸し
[A] やかんに限らず家庭用の鍋類は、火で沸かす、煮るための器です。 火は昔は薪や炭ですね。 鍋ややかんはその頃からありますね。極端なことを言えば、太古の縄文時代から火で煮炊きする「つぼ」のような縄文土器を思い出して下さい。どれも丸くて深みのある容器ですね。
 四角でも八角でもかまいませんし、現に卓上の鍋では多角形はデザイン的な面白さから多少ありますが、一般的ではありません。
丸くするのは、作りやすさ、コンロの構造、容積率の良さ(材料が少なくて済む)、強度などの点で長い歴史の中で決まってきた形ですね。
 上のヤカンは「湯沸し」と称呼し、薪火の長い炎の熱を側面からも取り入れできます。現在は炎の短いガス器具のため下のヤカン(ケットルと称呼)のように底が平で底面が大きくなっています。薪からガスへの熱源の進歩の結果ヤカンの底の形が変わりました。
 しかし、熱源は変わっても湯沸し(丸瓶とも言います)は消滅しなかった。その理由は?

 
 後で理屈付けしてみても、理屈に終わるだけで、幾つ羅列してもきりが無いようですが、、、。
 有名な建築家の言葉に「形態は機能に従う」という名言があります。 いろいろ奇抜なデザインを考えても、結局は機能(使い勝手)が最終的に形(形態)を決めてしまう。ということですね。 
 ということは、鍋やヤカンの機能は何か?と問いただすことから始めないと。。。。


ヤカンの機能は・・・・(1)沸かす。(2)注ぐ。(3)運ぶ。(4)お茶柄を漉す。が主な機能です。
(1)は鍋や釜でも可能です。規模の大きい食堂ではヤカンで沸かさない。家庭では電気ポットが普及しヤカンは出番が無い。(2)は食堂やドライブインなどでヤカンが活躍。(3)は食堂などでお茶を配分するのにここでもヤカンが活躍。(4)は最近では無用のものですが、殆どのヤカンに標準装備のように付いています。あの小さい穴が沢山明いている目皿のような部分、洗いにくいので取ったらと思うのですが?盲腸と同じですね。


家庭用やかん・ケットル


肉曳き機の要~回転ナイフと固定プレート

2004-11-02 | 道具
肉曳き機(ミートチョッパー)meat-chopperとは、肉の塊をミンチ状に細かく切り砕く機械で、手動式と電動式があります。肉ひきの原理・機械構造は今も昔も変わっていない。 数十年も前の古い機械も稼動していていて、家庭用の手動式の場合は分解掃除も楽で愛着を持って使用されいる方が多いようです。
肉曳き機の要はナイフ(回転刃)とプレート(固定刃)が一対で肉などを切り刻むことです。
プレート
一頃、狂牛病の問題で、ひき肉に不安を持った方々が素性の分った肉を自分で加工したいとう希望でミートチョッパーを見直してくれた、加工食材の利便性と信頼性(素性の分らない不安)の兼ね合いから派生したものと思いますが。

ミートチョッパーの基本構造は図の通りで肉を押込むねじ状のローラーと、肉を裁断する回転カッター(ナイフ)と大きさ(太さ)を揃える固定刃(プレート)が主要な構成部品です。 実にシンプルで丈夫なため数十年も使えるのでしょう。

ひき肉の原理

 プレートには多数の穴が明けられていますが、穴の大きさがひき肉の粗さを決めるので、何種類か準備され素材や目的に応じて取替えます。プレートの穴はプレート面に鋭く明けることにより切れ味が良くなります。回転刃(ナイフ)の切味と対を成すもので、プレートの穴のエッジが磨耗して丸くなっては切味は悪くなります。
 回転刃(ナイフ)の刃先はプレート表面に軽く当たる状態で使用します。逆にするとミンチにはなりません。 ミートチョッパーは味噌豆引きにも使われています。
機械の基本構造






「焼いも」~栗より美味い十三里(サツマイモ)

2004-10-08 | 商品豆事典
 サツマイモのことを「栗(九里)より(四里)うまい十三里(サツマイモ)」と粋な言い方をしたその裏にサツマイモは庶民的な食べ物で建前上は余り自慢できないが、本音(幾分負け惜しみを込めて)は栗より美味いと言いたい「焼き芋屋」のキャッチフレーズ・看板に利用され「十三里屋」と言ったようですね?
今はこのようなことを言っても通じないようで焼き芋屋の看板(屋号)にも見かけないが。

 おやつと言えば油系スナック菓子類が多く、飽食の原因ともなっている、サツマイモは昔はおやつであったが、手間暇がかかるため、おやつの座から下ろされた、しかし最近は健康食品・自然食品という視野から見直されて、脚光を浴びてきた。
 大手のスーパーチェーンも店頭に焼き芋機を置いたり、市町村のイベントでも採用される傾向があり、この所「焼き芋機」のメーカーは「ほくほく」です。
 「ほかほかの石焼きいも、早く来ないと無くなっちゃうよ!」と住宅団地を巡回販売する焼き芋やさんではないが、需要期になるとメーカー在庫が無くなり肝心な時にヤキモキすることになります。
 戦中・戦後の食糧難時代には主食の代用としてサツマイモに代用食品という暗いイメージをもつ世代もある。その時と比べ味も格段よくなって飽食の反動で再評価され復活した、そういう意味ではサツマイモも蕎麦も本来的に庶民の食品ですが、外食では偏なコダワリを押し付けられ高いものになっている。
やきいもなべ
 自前で作れば非常に安いもので、家庭用でも「いも焼き鍋」が販売されています。アルミホールで包んで焚き火の残り火やストーブの上で30~40分かけてゆっくり焼くだけで美味しい焼き芋が出来ます。石焼いもは鍋に小石をいれ芋が鍋に直接当たらないようにゆっくり焼くだけです、石はホームセンターや建材店で市販されている那智黒石で良い。
2003-10-05

薬研(やげん)

2004-10-01 | 道具
 古くて新しいものは滅びず。薬草を粉砕する薬研(やげん)はまさにそのひとつです。
薬作りの道具として用いられたのが薬研(やげん)と呼ばれる道具で、深くV字にくぼんだフネと木製のハンドルのついた円盤状のローラーから成っています。
フネの中に薬草を入れ、ローラーを前後に転がして薬草を細かく砕いて薬を作っていました。
熱の発生が少なく無駄なく細かくできるところがヤゲンの一番の良いところです。
別名、「くすりおろし」とも言います、中国、唐時代の発明されたもので、中国名は薬碾(やくてん)とか。
また、火縄銃用の黒色火薬や工芸では顔料や金銀を粉末にするのにも、薬研(やげん)を使用していた。薬研は鉄製が一般的であるが、石製、木製のものもある。
なお、 ◆薬研堀・坂 ◆薬研彫などの語源にもなっている道具です。
 すり鉢・乳鉢・薬研