仮名日記

ネタと雑感

やすいはなし(それが、せんせい)

2008年02月08日 | 社会
 たまたま2月2日に神保町を訪れたところ、10台ほどのウヨクの街宣車がシュプレヒコールをやっているのに出くわした。付近の日本教育会館で日教組の教育研究全国集会(教研集会)の分科会をやっていたのだろう。
 会館の前の道路は警察が通行止めをしていたが、その前で街宣車の群れがしばらくたむろして「アカの日教組を粉砕せよ」云々とスピーカーを使い大音量で連呼。一人はテレビの音声係のようなマイク、一人は音量測定の機器、一人は騒音禁止の警告の書かれたプラカードを持った警察官3人組が車の間を巡り、マイクでスピーカーの音量を測っては、プラカードを車内に示す。1台が警告を受けると、別の街宣車がコールをするという段取りになっているようだ。音を出す街宣車が変わるごとに、その車へ向かおうと警察官3人組が右往左往する。何やらおざなりで滑稽な様子だった。
 この騒動のさなか、専大前交差点でバイクが一台、前の車にぶつかって派手に転倒した。すかさず事故処理にわらわらと向かう警察官たち。騒ぎに気を取られたのだろうが、よりにもよって警察官が群れを成している目の前で事故を起こすとは。世の中には間の悪い人がいるものかな。


日教組の教研集会が閉会 文科次官も「司法尊重を」

 グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)の会場使用拒否で、初めて全体集会の開催が中止に追い込まれるという異例の事態となった日教組の教育研究全国集会が3日間の日程を終えて4日、閉会した。
 日教組は閉会に当たりアピール文を発表。「憲法で保障された集会の自由にかかわる重要な問題」と指摘した上で「憲法の理想を実現するため、学校現場からの教育改革を目指す」と強調した。
 文部科学省の銭谷真美事務次官も同日の定例会見で「会場の理由で全体集会を中止せざるを得なかったのは残念。一般論として、法治国家である以上、司法決定は尊重されるべきだ」と述べた。
 今回の教研集会では、全体集会の会場となっていたプリンスホテルが一方的に契約を破棄、施設使用を命じる裁判所の仮処分決定の後も使用を拒否したため、都内各会場で教育格差や学力問題などを討議する分科会のみが開かれた。(2008年2月4日:共同通信)


 プリンスホテル側が、裁判所の仮処分決定をものともせず会場の使用を拒否した一因として、多くの人々は日教組ではなく、自分たちに味方するという目論見があったのではないか。つまり、ウヨクの街宣よりも日教組の集会の方が迷惑行為と見られているから、どんな扱いをしてもホテルのイメージが悪くなることはない、と裁判所も含めて高をくくられたのだ。それほどに一般から遊離してしまい支持・共感を失っているということを、日教組は自覚するべきではないか。
 ごく単純に考えれば、この問題では日教組側もホテル側もともにウヨクの恒常的な活動の被害者であり、日教組の本来の敵は教研集会を妨げるウヨクだったはずだ。にもかかわらず、「日教組vsプリンスホテル」の構図に日教組みずから持ち込んでしまったところに間違いがあったと思う。ホテル側の対応が腹に据えかねたのかも知れないが、私企業であるホテルに「毅然として暴力と戦え」と負担を求めて争うよりも、客商売のため危険を避けたいという言い分に一定の理解を示した方がましだっただろう。
 ホテル側が頑なに会場使用を拒んだ真意は判らないが「無力なホテル側はウヨクが来ると聞いただけで怯えきってしまった、なんて可哀そうな人たちなんだ、こうなってしまったのは社会の安寧を脅かすウヨクの暴力的行為が野放しにされているためであり、ウヨクこそが諸悪の根元なのだ」という情報操作ができたかも知れない。そして、街宣活動のような愚かしい方法を選ぶ人々の主張は、その実質もまた愚かしいのだ、と説くこともできたかも知れない。
 しかし実際には、裁判所の決定を盾にとってホテル側の責任ばかりを追及することにより、日教組は無用な敵を作り自らの印象をさらに悪くしてしまった。一方で、最大の問題であるウヨクの妨害行為についてはほったらかしも同然で、ほとんどクローズアップしないままだ。
 事の本質を完全に見失っているとしか思えないこの対応のまずさは、偏に、我是正義也という日教組の独善的な思い込みの成せる業だろう。この思い込みが、自らの立場を人々に理解させようという発想を遠ざけ、押し付けがましい(一面ではウヨクと大差のない)態度で見当違いの相手に「集会の自由」なる正義を主張するという短絡的で実りのない行為につながったのだと思う。こうして日教組はますます人々からの支持・共感を失っていくが、おそらく日教組の現状認識の中では、その原因を正義である自分たちを理解しない外部に求め、さらに独善の度合いを強めることになるだろう。悪循環そのものだ。


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