今回のテーマは第15回 陰虚を改善する生薬・・・西洋人参(せいようにんじん)・麦門冬(ばくもんどう)です。
西洋人参は人参と言っても普通食べられている人参とは科 が違います。食用の人参は英語で carrot(キャロット)
と言いますが西洋人参(アメリカニンジンとも言われます)は ginseng (ジンセン(グ)) と言います。これは中国語
の人参の呼び方からきたものです。
食用人参はセリ科(葉がセリに似てますよね)、西洋人参はウコギ科に属します。
麦門冬は日本のあちこちに見られるもので後の写真を見ると『あっ!これか!』と思われると思います。
それでは
第15回:陰虚を改善する生薬
西洋人参(せいようにんじん)・麦門冬(ばくもんどう)
★ほてりを鎮め身体を潤す
西洋人参(せいようにんじん)は朝鮮人参と同じウコギ科の植物でアメリカや
カナダが原産地です。
ストレスが長期間におよぶと中枢神経が興奮して血圧が上がり、のぼせ・
ほてり・口の渇き・胸苦しいなどの症状が現れるようになります。このような時は、
ストレスによって消耗されたエネルギーを補わなければならないのですが、朝鮮
人参には非常に強力な滋養、作用があるものの、温める性質が強いので熱を
助長してしまう可能性があり使うことができない事があります。
西洋人参はエネルギーだけでなく潤いを補う働きに優れており、しかも体の中にこもった熱を冷まして
くれる働きがあるので、発熱性消耗疾患の回復期や、血圧の高い方やのぼせやすい方でも安心して使
うことができます。
★熱によって消耗した水分を補う
日本ではユリ根を食べる習慣があるところがありますが、これもりっぱな漢方薬です。同じユリ科の
植物の麦門冬(ばくもんどう)は潤いを補う働きにすぐれているところから、中医学では水分の不足し
た状態を治療する場合、よく使われる生薬(しょうやく)です。
麦門冬(ばくもんどう)は現代医学的には解熱・消炎・抗菌・鎮咳・キョ痰・利尿・強心・強壮などの
働きがあるとされています。
中医学的には肺や胃を潤す働きに優れていると考えられており、胸が熱っぽく気持ちが落ちつかな
かったり、カラ咳がでたり、口が渇いて食べたものが胸につかえるような感じがするような場合によく
使用します。
このほか、夏の暑い時に多量に汗をかくと、頻脈・血圧低下などのショック症状や、虚脱の症状が現れ
ることがあります。このような場合、エネルギーを補う人参(にんじん)と、体を引き締め発汗を抑制する
五味子(ごみし)などと合わせることにより、暑気あたりや暑さ負けを予防・治療することができます。
付録:一行生薬百科;
生薬名/基原/薬性/薬味/効能
西洋人参(せいようにんじん)/ウコギ科、アメリカニンジンの根/涼/苦微甘/補気、鎮静
麦門冬(ばくもんどう)/ユリ科、ジャノヒゲの塊根/微寒/甘微苦/解熱、止咳、益気、通便
参考:
キョ痰のキョ
西洋人参(アメリカニンジン):Wikipediaより引用
アメリカニンジン(亜米利加人参・学名Panax quinquefolius)は、ウコギ科の薬用植物。北アメリカ
東部原産。根の部分を薬用として用いる。
北アメリカ原産であり、いまだに当地の野生のものが最上質とされるため、アメリカ国旗(花旗)
に因んで「花旗参」と称する。同様の理由で「西洋人参」とも呼ばれる。広東人参の名称は、広州
や香港を経由して輸出されていたことに因む。
アメリカ合衆国北東部からカナダ南部の森林地帯に分布する。北米先住民は古くから根と葉を
薬草として用いていた。1800年代から、採集された野生の根を清朝の商人が買い付け始めた。
野生の大きな根はとくに高値で取引された。[1] かつてはアパラチア山脈地方と、隣接するペンシ
ルベニア州やニューヨーク州の森林に広く自生していたが、大量に採集されたためにアメリカ合衆国
のほとんどの地域では稀になっている。ウィスコンシン州やミネソタ州では遮光下で栽培されており、
植え付けから3、4年で収穫される。現在では中国でも栽培されている。
アメリカニンジン
ウィスコンシン州のアメリカニンジン畑
麦門冬(ジャノヒゲの塊根):Wikipediaより引用
ジャノヒゲ(蛇の髭、Ophiopogon japonicus Ker-Gawler)はユリ科(APG植物分類体系ではスズラン科)
の常緑多年草。リュウノヒゲ(竜の髯)ともいう。日本を含む東アジアの森林に広く分布し、またよく
植え込みに用いられる。
高さ10cmほどで細い葉が多数出る。この葉が竜の髯に似ているので名付けられたといわれる。夏に
総状花序に淡紫色の小さい花をつける。子房は種子を1個含むが、成熟前に破れて種子が露出し、
青く熟す。
根は所々太く紡錘形になり、これを麦門冬(ばくもんどう)と称して鎮咳・強壮などに用いる。日本薬局方
に収録の生薬である。麦門冬は、麦門冬湯(ばくもんどうとう)、清肺湯(せいはいとう)などの漢方方剤
に使われる。
ジャノヒゲ
ジャノヒゲの花
五味子:Wikipediaより引用
チョウセンゴミシ(朝鮮五味子)は、マツブサ科の植物の一種。学名Schisandra chinensis。
北海道、本州北部、中国、朝鮮半島、アムール、樺太に分布する落葉性つる植物。
雌雄異株で6-7月頃に淡黄白色の花を咲かせる。
果実は赤く熟する。この果実は五味子(ゴミシ、朝鮮語でオミジャ)という日本薬局方に収録された
生薬であり、鎮咳去痰作用、強壮作用などがあるとされる。五味子は小青竜湯、清肺湯、人参養
栄湯などの漢方方剤に配合される。また、五味子茶や五味子酒としても利用される。
チョウセンゴミシ
五味子茶
*余談ですが五味子茶は英語で Omija Cha 、これは韓国語読みです。韓国語では五のことを
O(オ)と発音します。呉も日本語読みではゴですが韓国語ではO(オ)です。
<次回以降予定>
第16回:精神活動を安定させる生薬・・1 酸棗仁(さんそうにん)
第17回:精神活動を安定させる生薬・・2 遠志(えんじ)・牛黄(ごおう)
第18回:オ血(おけつ)をとる生薬・・・1 丹参(たんじん)
順次更新していきます。
++++++++++++++++++++++++
開生薬局は日本中医薬研究会会員店です。
健康相談、子宝相談、食養生 なんでも気軽にご相談下さい。
長崎市目覚町4-10
開生薬局 (電話:095-840-9777)
URL : http://www1.cncm.ne.jp/~kaisei-p/toppage.htm
今回のテーマは第14回 血虚を改善する生薬・・・2 枸杞子(くこし)・竜眼肉(りゅうがんにく)です。
枸杞子は日本でもちょっとした料理に使うとか、デザートに一寸加えるとかしますし、竜眼 は最近では
八百屋さんにも果物としておいてますよね。
本文中にも記載していますが、薬膳でも枸杞子は良く使いますね。昨年の秋の薬膳でもスープの中に
ちょっと入れてみました。
それでは
第14回:血虚を改善する生薬・・・2
枸杞子(くこし)・竜眼肉(りゅうがんにく)
★眼精疲労を解消する
枸杞子(くこし)はナス科の植物の実で、ビタミンA・B1・B2・Cやカルシウム、
鉄分などを含み、かすみ目・眼精疲労・ドライアイなどの症状を改善する働き
があり、日本でも薬膳の材料として親しまれている生薬(しょうやく)の一つです。
ストレスのためのぼせて目が赤くなるような場合には、ストレスを改善し炎症を
抑える働きのある菊花(きくか)と合わせることにより効果を高めることができ
ます。
★神経衰弱による諸症状を改善する
竜眼肉(りゅうがんにく)はムクロジ科リュウガンの果肉で、中国では果物としても食べられています。
血液を補う働きに優れ鎮静作用もあることから、不眠・健忘・驚きやすい・動悸などの症状がある場合
によく使われます。
このほか止血作用もあり、虚弱に伴う不正出血・血尿・血便・血痰などにも応用することができます。
付録:一行生薬百科;
生薬名/基原/薬性/薬味/効能
枸杞子(くこし)/ナス科、クコの実/平/甘/滋養強壮、強精、利尿
参考:
枸杞子を使った薬膳の例:
・伝統野菜とふかひれの蒸しスープ
胃腸の機能アップ。コラーゲン豊富なフカヒレスープです。椎茸、クコで体の免疫力アップ、
イライラをとり、肌に潤いを与える、美肌作りにも良い一品です。
唐人菜:甘苦涼 (心、肝、脾胃) 体内にこもった熱を除き、イライラをとる。高血圧の方、便秘にも効果ある。
クコ:甘平 (肝腎) 目の疲れ、筋肉の弱り、体力の無い人に良い。免疫力をつける。
どんこ椎茸:甘平 (肝、脾、肺) 胃腸を養って元気をつけ体にこもった熱を取る。高血圧の予防(コレステロール
の抑制)、多糖体が含まれていて抗がん効果がある。
*料理に使う前に30分でよいから陽に当てることで効果を増す。
フカヒレ:甘平 (腎胃) 益気開胃、食欲アップ、コンドロイチン硫酸(コラーゲン)で体に潤いを与える。
鶏肉:甘平 (脾胃) 胃腸の機能アップ
枸杞子:Wikipediaより
クコ(枸杞、学名:Lycium chinense)は、中国原産のナス科の落葉低木。食用や薬用に利用
される。日本や朝鮮半島、台湾などにも移入され、分布を広げている外来種でもある。
クコ(写真はWikipediaより)
果実は酒に漬けこんでクコ酒にする他、生食やドライフルーツでも利用される。
また、柔らかい若葉も食用にされる。
クコのドライフルーツ
クコの果実、根皮、葉は、それぞれ枸杞子(くこし)、地骨皮(じこっぴ)、枸杞葉(くこよう)
という生薬である。ナガバクコ(学名Lycium barbarum)も同様に生薬にされる。 月経促進や
人工中絶薬の作用をする成分(ベタイン)が含有されている為、「妊婦あるいは授乳中の
摂取は避けたほうがよい」との情報がある。 ワルファリンとの相互作用が報告されている。
枸杞子
血圧や血糖の低下作用、抗脂肪肝作用などがある。
精神が萎えているのを強壮する作用もある。また、視力減退によい、抗がん剤や放射線
の副作用を抑制すると言われている。が、科学的に十分な情報は不足している。
地骨皮
抗炎症作用、解熱作用などがある。清心蓮子飲(せいしんれんしいん)、滋陰至宝湯
(じいんしほうとう)などの漢方方剤に配合される。
枸杞葉
血圧の低下作用などがある。クコ茶にする。
クコの葉
竜眼:南の方の人は良く食べます。
2cmほどの丸く茶褐色の果実をブドウの房のように一度に多く実らせる。果肉(仮種皮)
はブドウに似た白く果汁の多いゼリー状で、中央に中に大きな種子がある。この種を
竜の目に例えて竜眼の名が付けられた。果実は同じムクロジ科のライチに似ているが、
ライチと比べリュウガンの実は小さく種が大きいため可食部は少ない。独特な香りと味
があり好みが分かれる。多量に摂取すると鼻血が出るという俗説がある。
果実は生食だけでなく、乾燥したものも広く利用される。中華料理では乾燥させたものを
佛跳牆などのスープなどに使用する。漢方ではこの果肉を乾燥したものを利用する。
ジュース、缶詰、アイスクリームの材料としても利用される。
リュウガン
<次回以降予定>
第15回:陰虚を改善する生薬・・・ 西洋人参・麦門冬(ばくもんどう)
第16回:精神活動を安定させる生薬・・1 酸棗仁(さんそうにん)
第17回:精神活動を安定させる生薬・・2 遠志(えんじ)・牛黄(ごおう)
順次更新していきます。
++++++++++++++++++++++++
開生薬局は日本中医薬研究会会員店です。
健康相談、子宝相談、食養生 なんでも気軽にご相談下さい。
長崎市目覚町4-10
開生薬局 (電話:095-840-9777)
URL : http://www1.cncm.ne.jp/~kaisei-p/toppage.htm
当帰は「女性の宝、美容の女王」といわれており、あらゆる血(けつ)の症状に
重要な役割をする生薬です。
講座:女性を美しくする生薬 第2回『当帰』も併せてご参照下さい。
それでは
第13回:血虚を改善する生薬・・・1 当帰(とうき)
★婦人の宝、当帰(とうき)
当帰(とうき)はセリ科の植物の根で血液を補うだけでなく、血行を促進
する働きがあります。婦人病をまとめて『血の道』ということがありますが、
これは女性の病気は血液不足あるいは血行不良による物が多いという
ことをあらわしています。生理中や、閉経を迎える頃になり生理が安定しなくなるとあらわれる
、気分が沈む・不安感・少しのことが気になるなどの精神的な症状や、手足や足腰の冷え・
頭痛・肩こり・習慣性便秘・手あれ・肌あれなども改善して女性の悩みを解消できることから、
当帰(とうき)は古くから婦人病の良薬として使われて来ました。
最近の研究では、当帰(とうき)には女性ホルモンを調節する働きがあるということもわかり、
多くの婦人病の治療薬には当帰(とうき)が配合されているという理由も科学的に証明されま
した。
もちろん直接女性ホルモンが含まれているわけではありませんので、男性でも血液不足
あるいは血行不良という状態があるのならば、安心して使うことができます。
付録:一行生薬百科;
生薬名/基原/薬性/薬味/効能
当帰(とうき)/セリ科、トウキの根/温/甘辛/補血、養血、活血、止痛、通便
参考:
当帰:
トウキ(当帰 学名Angelica acutiloba)は、セリ科シシウド属の多年草。漢方薬
として用いられる。
本州中部以北の山地に自生する。寒さに強く、高さ60~90cm。茎は赤く、葉は複葉
で縁にぎざぎざがある。夏から秋、白い小花を散形につける。全草に強いセロリに
似た芳香を持つ。
根は血液循環を高める作用があり、充血によって生じる痛みの緩和に有効。膿を
出し、肉芽形成作用があるとされている。日本薬局方では「生薬トウキ」の基原植物
は、トウキ及びホッカイトウキ(A. acutiloba var. sugiyamae)とされる。中国原産の
カラトウキ(A. sinensis)とは別種である。 当帰芍薬散、補中益気湯、紫雲膏などの
漢方方剤に使われえる。
Wikipediaより引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%AD
トウキ
中医薬:
当帰を用いた代表的な中医薬に
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)があります。イスクラ産業が販売しており日本中医薬研究会会員店
の薬局で入手できます。
■効能・効果 更年期障害による下記疾患: 頭痛、肩こり、貧血、腰痛、腹痛、めまい、のぼせ、耳鳴り、生理不順、生理痛、冷え性 |
■特徴 「婦宝当帰膠」は、トウキを初め、センキュウ、オウギなどを加えた処方でこれら9種類の生薬を原料とするシロップ剤です。更年期障害の方の頭痛、肩こり、貧血、腰痛、腹痛、めまい、のぼせ、耳鳴り、生理不順、生理痛、冷え性などの改善を目的としています。 |
<次回以降予定>
第14回:血虚を改善する生薬・・2 枸杞子(くこし)・竜眼肉(りゅうがんにく)
第15回:陰虚を改善する生薬・・・ 西洋人参・麦門冬(ばくもんどう)
第16回:精神活動を安定させる生薬・・1 酸棗仁(さんそうにん)
順次更新していきます。
++++++++++++++++++++++++
開生薬局は日本中医薬研究会会員店です。
健康相談、子宝相談、食養生 なんでも気軽にご相談下さい。
長崎市目覚町4-10
開生薬局 (電話:095-840-9777)
URL : http://www1.cncm.ne.jp/~kaisei-p/toppage.htm
今回のテーマは「気虚を改善する生薬・・2 白朮(びゃくじゅつ)・黄耆(おうぎ)です。
白朮はオケラとも言い京都八坂神社では正月元旦の早朝白朮祭(おけらさい)が行われます。
全国各社で、年の変わり目に改めた火を、「御神燈」として、年中絶やさない風習がありますが、
八坂神社で、この改めたばかりの火をお裾分けしてもらい、正月の台所に火を入れる、というのが
京都の風習として残っています。
黄耆は後述していますが薬膳料理のスパイス的にも使用します。
それでは
第12回:気虚を改善する生薬
白朮(びゃくじゅつ)・黄耆(おうぎ)
★伝統的な補気薬(ほきやく)で胃腸機能を高める
白朮(びゃくじゅつ)はキク科の植物で胃腸の働きを高めるとともに水分
代謝を促進する働きがあることから、多くの胃腸薬に配合されています。
食欲不振・食後お腹が張ってもたれやすい・慢性の下痢・体がむくみやす
いなどの症状がある場合には、茯苓(ぶくりょう)・甘草(かんぞう)・党参
(とうじん)などの補気薬(ほきやく)と合わせて使用します。
★何でもおまかせ働き者
黄耆(おうぎ)の作用は多方面に及び、胃腸機能を促進するだけでなく、発汗を抑えカゼをひきに
くくしたり、血液の生成を促したり、なかなか傷口が治らない場合は修復を促進したり、身体を引き
締めて胃下垂・脱肛・子宮脱を治したり、排尿を促進してむくみを治したりすることができます。
しかも組み合わせによっては一緒に使った生薬(しょうやく)の機能を高める働きもあり、ストレスで
全身機能が低下した人には使いやすい生薬(しょうやく)です。
参考:
白朮:Wikipediaより引用
本種またはオオバナオケラの根茎は白朮(ビャクジュツ)と称する生薬である(日本薬局方による定義)。
基原により白朮を区別する場合は、本種のものを和白朮、オオバナオケラのものを唐白朮という。
白朮は芳香性の精油を含み、健胃用などに用いられる。四君子湯、健脾湯などの漢方方剤に使われる。
また屠蘇散にも白朮が用いられる。
なお、古くはホソバオケラなどの根茎(現在の蒼朮(ソウジュツ))の皮を剥いだものを白朮とも称しており、
漢方古典でいう「白朮」と現在の白朮とは別のもののことがある。
オケラ
おけら-まつり: をけら― 【白朮祭】:大辞林 第二版 (三省堂)
京都八坂神社の大晦日から元日にかけての行事。神前で焚かれるオケラを加えた
かがり火を参詣人が縄に受け、浄火として元日の雑煮を煮る火種とする。[季]新年。
黄耆:Wikipediaより引用
キバナオウギ(黄花黄耆)とはマメ科ゲンゲ属の多年生の高山植物。学名Astragalus
membranaceus。別名タイツリオウギ。本州中部以北と北海道、中国、朝鮮半島の
亜高山帯から高山帯にかけての草地・砂礫地に分布する。花期は7~8月頃で淡黄色
の蝶形花を咲かせる。中国、朝鮮半島では、生薬として使用される。
本種または同属のナイモウオウギ(A. mongholicus)の根は黄耆(オウギ)という生薬で
ある(日本薬局方に収録)。
本薬中の有効成分はフラボノイド・サポニン・γ-アミノ酪酸(ギャバ、GABA)など。
黄耆には止汗、強壮、利尿作用、血圧降下等の作用がある。黄耆を含む漢方方剤は
防已黄耆湯、桂枝加黄耆湯、黄耆建中湯などがある。
キバナオウギ
黄耆は薬膳の材料としても使われます。使用例を示します。本料理は平成21年2月に開催された
長崎さるく「冬の薬膳」で供された物です。
・牛肉の中華風ステーキ青菜添え
美味しい和牛ロースには胃腸を元気にする働きがあります。そこに赤ワイン、黄耆(オウギ)
でシロップづけしているステーキです。黄耆は漢方薬に処方される生薬ですが、体の表面
を外から浸入しようとするバイ菌やウイルスなどから守ってくれる働きがあります。花粉症
に対しても、しっかりバリアを築いてくれます。これが薬になって花粉症やインフルエンザに
対抗できる免疫力をつける薬にもなっています。季節先取りで秋頃から皮膚、粘膜に抵抗
力をつけて、花粉症に備えると効果的です。美味しいステーキを色取り良く添えられた野菜
と一緒に召し上がってください。
<次回以降予定>
第13回:血虚を改善する生薬・・1 当帰(とうき)
第14回:血虚を改善する生薬・・2 枸杞子(くこし)・竜眼肉(りゅうがんにく)
第15回:陰虚を改善する生薬・・・ 西洋人参・麦門冬(ばくもんどう)
順次更新していきます。
++++++++++++++++++++++++
開生薬局は日本中医薬研究会会員店です。
健康相談、子宝相談、食養生 なんでも気軽にご相談下さい。
長崎市目覚町4-10
開生薬局 (電話:095-840-9777)
URL : http://www1.cncm.ne.jp/~kaisei-p/toppage.htm
今回も主人のレポートです。
********************************
フォーはベトナム料理を代表する米粉の麺です。私はベトナムに行くと毎朝フォーを食べます。
今回初めてハノイ(フォーの発祥の地と言われる)に行きましたのでレポートします。
一般に、本場とされるハノイのフォーは肉の他はネギを入れる程度のシンプルな盛りつけが多い
ように思います。他方、南部ホーチミンのフォーは、たっぷりのバジル、コリアンダー、青唐辛子な
どのハーブや生のモヤシなどをトッピングして食べるようです。トッピング自体もテーブルの上に
置いてあって無料で好きなだけ投入できる店が多いです。
多くの場合、鶏や牛から出汁を取った透明なあっさりしたスープにコシのない米麺を入れ、鶏肉
や牛の薄切り肉、肉団子などが典型的な具材としてのる。生卵を追加できる店もあります。最後
にライムの絞り汁や、チリソース、ニョクマム、唐辛子やスライスしたニンニクをつけ込んだ酢など
を加えて各人が好みの味に仕上げます。
ハノイ到着の夜は軽く行こうとフォーを食べに行きました。ハノイの一般の人が行くフォー専門店です。
これで価格は20,000ドン(約100円)、この値段は結構高くて(なぜかと言うと屋根がある店なので!!)、
道端の屋台で食べると50円ぐらいだそうです。
次の日の朝はホテル(Pan Pacific)の朝食(バイキングで和食はありませんが色々あります。)で昨晩
と同じチキンのフォーです。味は昨晩の方が上。
*朝もこれくらいで十分(カロリーとしては)のハズなのに、ついつい手が出て朝食はこんな感じに
なります。これにジュース、デザート(各種果物、各種ヨーグルト)、コーヒー!!やはり食べすぎですねー!!
夜の食事でフォーの応用?、日本の鯛ソーメンと同じ食べ方をすることを発見しました。この鯛は
Red snapper と英語では言いますが、厳密に日本の対と同じかと言えばそうではなく顔が若干
尖っている。日本の鯛は丸いですよね。この鯛を上記で蒸して魚醤で味付けして食べましたが、
その後フォーの登場です。
まるっきり鯛ソーメンと同じですよね。こちらが本家かな?
翌日の朝はこれもホテルで牛肉のフォーです。
ハノイ最後のフォーは空港で牛肉のフォー。これもなかなかの味。
大好きなマンゴージュースもあります。
ホーチミンのフォーは昨年食べましたが、こんな感じです。
ここではバジルがてんこ盛りです。
この写真はWikipediaより引用 コリアンダーです。これもおいしいですね。
今回は主人が現在タイ・ベトナム旅行中ですので、彼からのレポートです。
********************************
バンコク(Bangkok)は
タイ王国の首都。メナム(チャオプラヤ)河口近くにある。米・チーク材などの貿易港として発展、
同国の商工業の中心。正式名称クルンテープ(「天使の都」の意)。人口791万7千(2002)。
年中気温は高いのですが昨日(12/12)は31℃。やはりあついです。Tシャツ一枚で十分。
時節柄クリスマスの季節なので町はツリーの飾りがたくさん見受けられます。
町は車が結構多いんですよ。
バンコクにくるといつもパソコンショップに行きます。こちらは細かいパーツはびっくりするぐらい安い
んですがパソコン本体の価格は日本が安くなったためそんなに差はありません。
パソコンショップの玄関に国王の写真があります。
秋葉原も真っ青ですね。ビル全体がパソコンショップです。そろわないものはまずありません。
バンコクの友人と夜の食事に繰り出しました。順不同で食したタイ料理を掲示します。タイの食事は
私に凄く合い一回の旅行で1Kgほど体重が増加し、帰国後ハードなトレーニングが必要です。
先ずビール、こちらはハイネッケンが有名ですが、今夜は地ビールです。なかなかの味です。
日本でも有名、トムヤンクンです。
タイ野菜。
豚肉、おいしいです!
これは八宝菜に似てますね。
春雨とエビです。タイ人はエビをよく食べるようです。
豚肉と卵焼きのぶっかけ飯。道ばたでは100円ほどで食べることができます。本当はこれだけで
十分なのですが・・・。
こちらは豚肉が挽肉になっています。友人はこちらが好みです。
野菜とエビ、それにチーズ!
タイ風豚肉入り焼きそば。どうしてかスルメを復元して柔らかくなった烏賊が入っています。
レストラン入り口です。
今日夕方ベトナム ハノイに移動でします。ハノイは初めての町なので楽しみです。
今回のテーマは「気虚を改善する生薬・・1 シベリア人参(にんじん)・紅景天(こうけいてん)」です。
シベリア人参という名前なのでシベリアで採れる人参かと錯覚しますが、北海道で採れるエゾウコギ
なのです。食用にすることも可能です。比較的新しい生薬なので昔からロシアとの関係が深かった中国
(中医薬)ではシベリア人参と呼ぶことが多いようです。
それでは
第11回:気虚を改善する生薬
シベリア人参(にんじん)・紅景天(こうけいてん)
★厳しい自然環境に育つシベリア人参(にんじん)
シベリア人参はエレウテロコックとも呼ばれるウコギ科の植物です。
精神安定・鎮静・安眠・自律神経調節などの働きがあり、ストレスを
受けた場合に速やかに適応できるように調節する働きがあることか
ら、ストレスを受けやすい環境や状態にある方が普段から使用して
いると病気になりにくい身体を作ることができます。シベリアの極寒
の地に育つだけあって身体を温める働きに優れており、冷え症タイ
プの方に特にお勧めです。
★海抜4,000~5,000メートルの高地に自生する
紅景天(こうけいてん)はベンケイソウ科の植物で、酸素濃度の薄いチベットの高地でも
たくましく成長する植物です。抗ストレス作用ももちろんですが肺機能を向上する働きに優れ
ており、全身に新鮮な酸素を供給することにより代謝を促進して、疲労回復・老化防止・免疫
力の向上などに優れた効果をあげることができます。
付録:一行生薬百科;
生薬名/基原/薬性/薬味/効能
シベリア人参/ウコギ科、エゾウコギの根/温/微苦/益気、健碑、補腎、安神
紅景天/ベンケイソウ科、イワベンケイの根/温/渋/強壮、抗疲労、抗酸欠
シベリア人参:蝦夷五加(エゾウコギ)のこと
Wikipediaによると
エゾウコギ(蝦夷五加、学名:Eleutherococcus senticosus シノニム Acanthopanax
senticosus (Rupr. et Maxim.) Harms)はウコギ科の落葉低木で、薬用植物。日本の
北海道に自生することから、北海道(蝦夷地)の五加(ウコギ)ということで、この名
で呼ばれる。他にロシアのアムール州、サハリン州、中国の黒竜江省、吉林省にも
分布する。高さは2~3m。
根皮を薬用として用いる。これは、刺五加(しごか)または五加皮(ごかひ)という
生薬名がある。
シベリア人参(Siberian Ginseng)とも呼ばれるが、トチバニンジン属の植物ではなく、
代表的な薬用「人参」であるオタネニンジンとの類縁関係は薄く、有効成分も異なる。
エゾウコギ
紅景天:
中国医学最古の薬物書『神農本草経』の上品120種中の第74番目に「景天・・・
命を養うことを主とし、天にも相当するものである。これには毒が無いから長期に
渡って食用しても害が無い、不老延年軽身益気を欲する者が飲むべき野草である!」
と記載されています。
<次回以降予定>
第12回:気虚を改善する生薬・・2 白朮(びゃくじゅつ)・黄耆(おうぎ)
第13回:血虚を改善する生薬・・1 当帰(とうき)
第14回:血虚を改善する生薬・・2 枸杞子(くこし)・竜眼肉(りゅうがんにく)
順次更新していきます。
++++++++++++++++++++++++
開生薬局は日本中医薬研究会会員店です。
健康相談、子宝相談、食養生 なんでも気軽にご相談下さい。
長崎市目覚町4-10
開生薬局 (電話:095-840-9777)
URL : http://www1.cncm.ne.jp/~kaisei-p/toppage.htm
今回のテーマは「潜陽作用のある生薬 竜骨(りゅうこつ)・牡蠣(ぼれい)」です。
竜骨は中国語で longgu (ロンクー)、大型の哺乳類の骨の化石のことですが、なかには恐竜の化石も含まれ、これが竜骨
の語源とも言われるようです。
個人的見解ですが中国の人は、竜が好きなイメージがありませんか?竜、ドラゴン、何となく中国の響きがあります。
それでは
第10回:潜陽作用のある生薬 竜骨(りゅうこつ)・牡蠣(ぼれい)
激しいストレスや、ストレスが長期間加わり気が一カ所に鬱積すると熱が生まれます。
熱はやがては上に向かって燃え上がり、のぼせ・顔や目が赤い・動悸・息苦しい・イラ
イラ指摘持ちが落ち着かない・不眠・頭痛などの症状が起きます。現代医学では高血
圧傾向にある方にこのような症状がよく現れます。
中医学では「肝陽上亢(かんようじょうこう)」あるいは「肝火上炎
(かんかじょうえん)」などと言います。このような状態では、やがて
は脳に影響して脳溢血やクモ膜下出血などを引き起こす可能性が
強くなるので早めに対処する必要があります。
燃え上がった火を鎮静させて高ぶった気持ちを鎮めることを「平肝潜陽(へいかんせんよう)」
あるいは「重鎮安神(じゅうちんあんじん)」と言い、治療には重量があり下に沈む性質のある
竜骨(りゅうこつ)・牡蠣(ぼれい)などが使われます。
竜骨(りゅうこつ)は古代の哺乳類の化石で、古くは不老不死の薬として皇帝にも献上された
こともあり、有名な甲骨文字は竜骨(りゅうこつ)に刻まれたものから偶然発見されたものです。
普段からのぼせやすく、めまい・頭痛がよく起き、興奮して眠れないことが多いなどの症状を
伴う場合によく使われます。
牡蠣(ぼれい)は『海のミルク』とも呼ばれるくらい栄養豊富なカキの殻で、漢方薬としては
身よりも殻の方がよく使用されます。
カルシウムが不足するとイライラしやすくなるということはよく知られていますが、牡蠣
(ぼれい)にはカルシウムが豊富で現代医学的にもその効果は確認されています。
肝陽上亢(かにょうじょうこう)ではめまい・頭痛だけでなく緊張のため手が震えたり、体が
こわばってしまい思うように動けなくなることがあります。このような状態はまるで体の中を風
(ふう)が吹き、活動の自由が奪われたようなので「肝風内動(かんぷうないどう)」と呼びます。
牡蠣(ぼれい)には高ぶった気(き)を鎮めるだけでなく、熱によって消耗した潤いを補い、肝の
機能を調節して震えを軽減する働きがあるので、このような症状がある場合もよく使います。
付録:一行生薬百科;
生薬名/基原/薬性/薬味/効能
竜骨(りゅうこつ)/哺乳動物の化石/平/甘渋/強壮、鎮痙、利尿
牡蠣(ぼれい)/カキの貝殻/涼/鹹渋/収斂、鎮静
参考:
甲骨文字:甲骨文ともいう。
Wikipediaによると、
「1899年、当時の清の国子監祭酒であった王懿栄は、持病のマラリアの治療薬として、
竜骨と呼ばれていた骨を薬剤店から購入していたが、粉にする前のその骨に何か
文字が書いてあることを発見して、驚いて薬剤店から竜骨を大量に買い集め、同じ
ことを知った研究者たちも竜骨を買い集めたというのがよく言われる逸話である。
この逸話が真実か否かは不明であるが、研究が始まったのが1899年の前後である
こと、その先駆者も王懿栄であることには変りない。
その後、甲骨を買い集める人が増えたのに目をつけて、何も書いていない骨に文字
を刻み付けて売ることが多くあったと言われる。甲骨が出土していたのは殷墟
(河南省安陽市の近郊、小屯村の近く)であり、かなり前から農民により発掘されて
いたが、価値を知らない農民は大部分を捨ててしまっていたという。
19世紀末期の中国古代史界では、疑古派と呼ばれる『過去の記録を疑う』方針の考え
が強かった。『史記』には殷の帝の系譜が並べられているが、これも全て架空の存在と
考えられていた。ところが、発見された甲骨に、『史記』とほぼ一致する帝の名前が確認
されたことで、殷の実在性が疑いのないものとなった。」
亀の甲羅に書かれた甲骨文(レプリカ)
<次回以降予定>
第11回:気虚を改善する生薬・・1 シベリア人参(にんじん)・紅景天(こうけいてん)
第12回:気虚を改善する生薬・・2 白朮(びゃくじゅつ)・黄耆(おうぎ)
第13回:血虚を改善する生薬・・1 当帰(とうき)
順次更新していきます。
++++++++++++++++++++++++
開生薬局は日本中医薬研究会会員店です。
健康相談、子宝相談、食養生 なんでも気軽にご相談下さい。
長崎市目覚町4-10
開生薬局 (電話:095-840-9777)
URL : http://www1.cncm.ne.jp/~kaisei-p/toppage.htm
今回のテーマは「理気作用のある生薬・・3 木香(もっこう)、香附子(こうぶし)」です。
私の主人は仕事の関係でインドにはこれまで十数回行っていますが、インドへ行くと仏教、ヒンヅー教などの発祥地で
あることがよくわかると言います。仏教、ヒンヅー教ともお香をよく焚きますが、インドは多くの香木の産地であり、また
酷暑の気候による悪臭を防ぐために、香は重要な役割を果たしています。仏教では、香を焚くと不浄を払い心識を清浄
にするとされ、仏前で香を焚き、花や灯明とともに仏前に供することを供養の基本としています。
生薬の木香も原産地はインド北部です。
香附子については
「女性を美しくする生薬のいろいろ 第09回 香附子(こうぶし)」も参照下さい。
それでは
第09回:理気作用のある生薬・・3 木香(もっこう)、香附子(こうぶし)
気(き)が滞(とどこお)ると、胃やお腹が張る・脇になにか詰まったような
不快感がある・ゲップやガスが多い・イライラして気持ちが落ち着かないな
ど気滞(きたい)と呼ばれる一連の症状が現れます。
気滞(きたい)が更に悪化すると痛みが現れます。気滞(きたい)が
原因となって起きる痛みには、痛む場所は一カ所に固定せず移動
しやすい、痛みは感情の変化により増減し、気にすれば気にする
ほど痛くなる、ガスやゲップが出ると楽になるなどの特徴があります。
このような痛みが現れた場合には、キク科の木香(もっこう)がよく使用されます。お香の
材料としても使われる木香(もっこう)は、気(き)の流れを改善し気分を落ち着けるだけで
なく、痛みを止める「理気止痛(りきしつう)」作用にすぐれ、しかも殺菌作用もあることから
ストレスだけでなく、食べ過ぎや食あたりによる腹痛の治療にもよく使われています。
香附子(こうぶし)はカヤツリグサ科の植物の根茎で山ザ子(さんざし)と同じような「理気止痛
(りきしつう)」作用があります。この他香附子(こうぶし)の特徴として、血行を促す「活血(かっけつ)」
という働きがあり、血行不良による痛みを改善する働きもあります。
生理中に様々な不定愁訴を訴える方がいますが、胸やお腹が張る・イライラする・気分が落ちこむ
などの症状は「気滞(きたい)」によるもので、腹痛・生理痛に黒い塊が混じる・頭痛などの症状は
「オ血(おけつ)」と呼ばれる血行不良によるものです。
香附子(こうぶし)は「理気活血(りきかっけつ)」して生理を整えることができることから生理不順・
生理痛・不妊症・閉経などの婦人科疾患の治療によく使われます。
このように血行を促す働きがある香附子(こうぶし)ですが、「オ血(おけつ)」が顕著な場合は丹参
(たんじん)・紅花(こうか)・川キュウ(せんきゅう)・赤芍薬(せきしゃくやく)などの活血薬(かっけつやく)
を合わせて使うことにより、治療効果を高めることができます。
付録:一行生薬百科;
生薬名/基原/薬性/薬味/効能
木香(もっこう)/キク科、インドモッコウの根/温/辛苦/整腸、止瀉、鎮痛、抗菌
香附子(こうぶし)/カヤツリグサ科、ハマスゲの根茎/平/辛、微苦、微甘/月経調整、鎮痛
木香:大辞泉より引用
もっ‐こう【木香/唐木香】
キク科の多年草。高さ約2メートルに達し、葉は広楕円形。暗紫色のアザミに似た
花をつける。インド北部の原産。根には芳香と苦味があり、乾燥させたものを漢方で健胃・整腸薬に用いる。
昔は衣服の防虫剤に用いた。
*写真はいろいろな本で調べましたが見あたりません。主人がインドに行った時に撮してきてもらおう
かしら?!
ハマスゲ:写真は Wikipediaより引用
ハマスゲ
参考:
オ血(おけつ)のオ
川キュウ(せんきゅう)のキュウ
山ザ子(さんざし)のザ
冠元顆粒:イスクラ産業(株)製造販売の漢方薬 香附子・紅花・木香・川キュウ・丹参・芍薬を配合
日本中医薬研究会会員店で購入可能。
<次回以降予定>
第10回:潜陽作用のある生薬・・・ 竜骨(りゅうこつ)・牡蠣(ぼれい)
第11回:気虚を改善する生薬・・1 シベリア人参(にんじん)・紅景天(こうけいてん)
第12回:気虚を改善する生薬・・2 白朮(びゃくじゅつ)・黄耆(おうぎ)
順次更新していきます。
++++++++++++++++++++++++
開生薬局は日本中医薬研究会会員店です。
健康相談、子宝相談、食養生 なんでも気軽にご相談下さい。
長崎市目覚町4-10
開生薬局 (電話:095-840-9777)
URL : http://www1.cncm.ne.jp/~kaisei-p/toppage.htm
今回のテーマは「理気作用のある生薬・・2 陳皮(ちんぴ)・枳穀(きこく)」です。
陳皮はウンシュウミカンの皮で七味唐辛子の中にも入っています。ところで、七味唐辛子の七味とは何か
ご存知ですか?
答えは
トウガラシ、山椒(サンショウ)、胡麻(ごま)、 麻子仁(ましにん/麻の実)、陳皮(チンピ)、
罌粟子(オウゾクシ/ケシの実)、紫蘇子(シソシ) です。
それでは
第08回:理気作用のある生薬・・2 陳皮(ちんぴ)・枳穀(きこく)
ストレスの影響を最も受けやすいのは何と言っても胃腸で、胃腸機能を調整する生薬(しょうやく)
としては陳皮(ちんぴ)や枳穀(きこく)がよく使用されます。
これらはともにミカンの仲間です。ミカンの皮は七味唐辛子の中にも入って
いて、日本でも古くから胃腸薬として利用されています。最近流行している
アロマテラピーでも、柑橘類はストレスを取り除き気分を落ち着かせる働きが
あるとされ、広く利用されています。
陳皮(ちんぴ)は温州ミカンの皮で、「陳(ちん)」には古いという意味があります。褐色になるまで寝
かせた陳皮(ちんぴ)は、香りもよく、治療効果が優れていることからこう名付けられました。
陳皮(ちんぴ)の主な働きは「理気健碑(りきけんぴ)」で、ストレスのため胃腸の気(き)の流れが
悪くなり、これによって生じた、食欲不振・腹部の膨満感・むかつき・嘔吐・下痢などの症状を治療
します。陳皮(ちんぴ)には補気(ほき)の働きはないが、胃腸の働きを活発にして、栄養分の吸収
を高めることができることから、エネルギーを補う党参(とうじん)や白朮(びゃくじゅつ)などの補気
薬(ほきやく)と併用することがよくあります。
この他、水分代謝を促進する働きもあることから、カゼで痰がつまり胸苦しいなどの症状がある
ときにも応用することができます。
枳穀(きこく)はダイダイ・タチバナなどの実で、未成熟のうちに採集したものを枳実(きじつ)、
成熟させたものを枳穀(きこく)といいます。陳皮(ちんぴ)に似た働きがありますが、その効果は陳皮
(ちんぴ)よりも強く、腹が張って痛む・腸の動きが悪く下痢あるいは便秘する・スッキリ排便できずに
残便感がある・ゲップやガスが多いなどの症状がある場合に使用します。しかし作用が強いので虚弱
体質の方は長期間・多量に使用してはいけません。
この他、産後の子宮脱・慢性の下痢に伴う脱肛・胃下垂などの内臓下垂などにも、多量の補気薬
(ほきやく)に少量加えることにより、気(き)の流れを促進させて、治療効果を高めることができます。
付録:一行生薬百科;
生薬名/基原/薬性/薬味/効能
陳皮(ちんぴ)/ミカン科、ウンシュウミカンの果皮/温/辛苦/健胃、止嘔、鎮静
枳穀(きこく)/ミカン科、タチバナ、ダイダイの実/微寒/酸苦/芳香健胃、止痛、蠕動促進
参考:
陳:漢字源よりの引用
《常用音訓》チン
《音読み》 チン*/ジン(ヂン)*〈ch*n〉〈zh*n〉
《訓読み》 ならべる(ならぶ)/しく/つらねる(つらぬ)/のべる(のぶ)/ふるい(ふるし)
《名付け》 かた・つら・のぶ・のぶる・のり・ひさ・むね・よし
《意味》
*{動}ならべる(ナラブ)。しく。つらねる(ツラヌ)。一列に、または、平らにならべる。「陳列」
*チンズ{動}のべる(ノブ)。展開してのべる。つらねていう。「陳述」「棄置莫復陳=棄置
シテマタ陳ブルコトナカラン」〔→曹植〕
*{名}ならんだもの。ならび。列。
*{形・名}ふるい(フルシ)。ならべたまま置きざりにした。ふるびた。ふるいもの。〈対語〉→新。
「陳腐」「新陳代謝」「推陳出新=陳キヲ推シテ新シキヲ出ダス」
*{名}国名。周・春秋時代、今の河南省淮陽ワイヨウ県を中心とした地にあった。周代に帝舜シュン
の子孫が封ぜられた地といわれる。春秋時代の末に楚ソに滅ぼされた。
*{名}王朝名。中国の南北朝時代の南朝最後の王朝。陳覇先チンハセンが梁リョウの敬帝から位
を奪ってたてた。隋に滅ぼされた。五五七~五八九
*{名}戦闘のための軍勢の配置の形。▽去声に読む。〈同義語〉→陣。「衛霊公、
問陳於孔子=衛ノ霊公、陳ヲ孔子ニ問フ」〔→論語〕
《解字》
会意兼形声。古くは「東(袋の形)二つ+攴(動詞の記号)」の会意文字で、土嚢ドノウを一列に
ならべることを示した。陳はその略体にさらに阜(土もり)を加えた字で、土嚢を平らに列をなして
ならべること。
六陳八新:
陳皮に限らず、生薬は古いものほど効果があるといわれるものがあり、「六陳」といわれる物がそれです。
「六陳」とは枳実(きじつ),橘皮(きっぴ),麻黄(まおう),半夏(はんげ),狼毒(ろうどく),茣茱萸(ごしゅゆ)
がそれにあたります。
また,逆に「八新」と呼ばれ新しいほどよいと評価される生薬もある.蘇葉(そよう),薄荷(はっか),菊花
(きくか),赤小豆(せきしょうず),桃花(とうか),沢蘭(たくらん),槐花(かいか),款冬花(かんどうか)です。
<次回以降予定>
第09回:理気作用のある生薬・・3 木香(もっこう)・香附子(こうぶし)
第10回:潜陽作用のある生薬・・・ 竜骨(りゅうこつ)・牡蠣(ぼれい)
第11回:気虚を改善する生薬・・1 シベリア人参(にんじん)・紅景天(こうけいてん)
順次更新していきます。
++++++++++++++++++++++++
開生薬局は日本中医薬研究会会員店です。
健康相談、子宝相談、食養生 なんでも気軽にご相談下さい。
長崎市目覚町4-10
開生薬局 (電話:095-840-9777)
URL : http://www1.cncm.ne.jp/~kaisei-p/toppage.htm