タラレバ国・・・それは世界地図には載っていない国
広大な面積があるといわれています。
タラレバ人の目は、頭の後ろ側に付いています。
前側にもあるのですけれど、ほんのわずかな範囲とすぐ近くしか見ることができません。
それに対して、後ろについている目は、数千里・・・いや、数年前の事細かなことを、いつも見ています。
タラレバ人の宗教は、だいたいが世間様教です。
わたしの母は、正統なタラレバ人。
あのときあの学校に受かってタラ、とか、
もし今度宝くじ1等が当たレバ、とか、
あのときお金持ちのあの人のプロポーズを受けていタラ、
とか、もし今の人と結婚しなかっタラ、とか、
もしあと10歳若かっタラ、とか、
もし日本がアメリカに負けてなけレバ、
とかのタラ、レバを永遠にエンドレスに繰り返し言っています。
学生時代、ドライブ好きな友達の車のとなりに乗って、旅行をしたことがありました。
ひなびた田舎町をぬけて、車も通わない峠みちをゆっくり走ったり、山が迫った海岸沿いの国道を走ったりしていました。
友達の車には、ちいさなビデオカメラが付いていて、いい景色のところでは録画をしながら、のんびりと走っていました。
3年くらい経って、ビデオの編集をしようと、一緒に録画したビデオを見ていました。
ビデオの中で、友達がわたしに話しかけます。
話しかけられたわたしの声も、やはりビデオの音声に入っています。
「わぁ、これって、なんだかタイムマシンみたいだぁ」
今ならどういうふうに会話を返すのかな、と、ふと思いました。
ところが、ビデオ映像を見ながら今浮かんだ答えと、そのとき答えた答えは、ほとんどまったく同じだったのです。
わたしって、変化ないなぁ~
さて、次にわたしは、母のためにタイムマシンを発明しなければならないようです。
「お母さん、おかゆ・・・じゃなくて、タイムマシンができたわよ」
「はぁー、そーかい。なんだかわかんねモノこさえたねー」
「お母さん、じゃあ、10年前に一緒にいってみようね」
ヴィ~~~ン
「わ、十年前のお母さんだ。今よりずっと元気。元気だけど、ボッとして水戸黄門見てるよ。あれー、チャンネル変えてまた別の番組を見始めた・・・今とあんまり変わらないねー」
「じゃあ、今度は20歳代のむじょぱぱと出会う頃にタイムリープしまーす」
ヴィ~~~ン ヴィ~~~ン ヴィ~~~ン
「はい、着きました。あれ、ちょうどぱぱりんにプロポーズされてる。ハイ、入れ替わって!!はっきり断るのヨッ!」
「ここでプロポーズを断れば、わたしのからだの半分は消えて、パラレルワールドに入り込むのね。さようなら、むーじょ・・・・(感傷に浸る)」
「あれれ!プロポーズ受けちゃったよ、さっきまで言っていたことと違うじゃない!!!」
『もう いいやぁ、どの時代に連れてっても、大してかわらないじゃない。・・・どんな時代のどんな場面にも、自分の意思で選択する自由はあったのに、なんでも人のせいにしてたんじゃないの もう、わたし、一人で帰っちゃおー』
ヴィ~~~ン ヴィ~~~ン ヴィ~~~ン ヴィ~~~ン
人を偏見の目でみてはいけない と強く思うのですが、
タラ人、レバ人、ノニ人、ダッテ人って、やっぱり苦手なむーじょ でした。