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理念と裏腹、不正横行・・・放課後等デイサービス

2016年05月16日 | 一般ニュース
理念と裏腹、不正横行 「甘い基準」が温床に 放課後等デイサービス
2016年5月16日 (月)配信共同通信社

 障害のある子どもが、自立のための力を身に付ける「放課後等デイサービス」。その理念とは裏腹に、高い報酬に目を付けた一部の事業者による不正が横行している実態が明らかになった。運営基準の甘さや、自治体の監視の目が届きにくいといった制度の欠陥を指摘する声も出ている。

 ▽素人

 狭い部屋で何時間もアニメのDVDを流し、子ども同士がパニックを起こしてけんかをしても放置する―。東海地方の女性(39)は昨秋、長男(8)を預けていた放課後デイの内情を元職員の男性から打ち明けられ、驚いた。

 長男は自閉症で言葉の遅れもある。「息子さんにあったメニューで成長を手助けします」。責任者の言葉を信じていたが「デイでの出来事を息子が親に伝えられないのをいいことに、裏切られた」と憤る。

 この放課後デイはIT企業が開設し、雑居ビルの14畳ほどの部屋に多い時には約20人がいた。元職員の男性は「働いているのは学生バイトなど素人だらけ。子どもが思いを理解してもらえず、いらだって他の子にかみついたりしても、落ち着かせることすらできなかった」と証言する。

 ▽倍増

 障害のある子どもの放課後の居場所づくりは長年の課題だった。学童保育でなかなか受け入れてもらえず、孤立しがちな親子を支えようと2012年度に始まったのが放課後デイだ。子どもを預かってもらえれば親にとっては貴重な息抜きになり、仕事を持つこともできる。

 施設数はわずか3年で約5240カ所に倍増。心身の障害に加え、新たに発達障害の認知度も上がり、利用者は全国で8万8千人以上になった。だが職員の配置基準は(1)障害者施設などでの勤務経験がある児童発達支援管理責任者1人(専任)が常勤(2)子ども10人までなら指導員または保育士を2人以上―などと定めているだけで、指導員に明確な要件はない。

 厚生労働省の担当者は「受け皿を増やすため、入り口を甘くした。結果的に営利優先の業者の参入を防げなかった」と明かす。

 「3年で利益1億円を目指しませんか」といった文句で開業を呼び掛けるコンサルタントもいる。事業者が受け取る報酬は、重度心身障害児を除けば障害の程度に関係なく一律で、短時間でも「1日分」として支払われる。このため「障害が軽く、短時間の預かり」という子どもだけを選別するケースもある。

 ▽適切な評価を

 監督する立場の自治体も問題を指摘する。「収支重視で、子ども本位ではない不適切な支援が行われないか懸念がある」(山梨県)、「支援の技術や知識が伴わない業者も多いが、要件がそろえば指定せざるを得ない」(新潟市)。運営状況を確認するための検査は2、3年に1度という自治体が多く「施設の急増にチェック態勢が追いつかない」との声が上がる。

 日本発達障害ネットワークの橋口亜希子(はしぐち・あきこ)事務局長は「親にとって受け皿が増えたことは喜ばしいが、質が悪く納得できない環境に子どもを我慢して預けるしかないという状況は問題だ」と指摘。「子ども本位できめ細やかに対応してくれる施設が適切に評価され、全体として制度を底上げする仕組みに改善してほしい」と訴える。



障害児預かり、20業者処分 自治体が2億円返還請求 不正報酬、指定取り消しも
2016年5月16日 (月)配信共同通信社

 障害のある子どもを放課後や長期休暇中に預かる「放課後等デイサービス」で、利用実態がないのに報酬を受け取ったり、必要な職員を配置していなかったりする不正が相次ぎ、今年2月時点で16自治体の20事業者が指定取り消しなどの行政処分を受けていたことが15日、共同通信のまとめで分かった。自治体が返還を求めた金額は約2億円に上る。

 放課後デイは、学童保育などを利用しづらい子どもの居場所として2012年度に制度化され、施設数、利用者数が急増。利用料は保護者が原則1割を負担し、残りは国と自治体が賄う。国の審議会や国会でも「障害の特性を理解していない業者が営利目的で参入し、十分なサービスを行っていない例が増えている」との指摘が出ている。

 厚生労働省は今後、施設の運営実態を調べ、次の障害福祉サービス報酬改定(18年度)で専門職員の配置基準やサービス内容の評価を見直す方針。

 今回は事業者の指定権限がある都道府県、政令市など計69自治体に対し、2月に調査票を送り、処分状況を尋ねた。

 指定取り消しは12件、一時停止などは8件。このうち大阪市の事業者は、実際には行っていないサービスの報酬を不正に受領したとして、14年4月に指定を取り消され、約7120万円の返還を求められた。岡山県倉敷市の事業者は、必要な児童発達支援管理責任者や保育士を配置していないのに県の指定を受けたとして、約1660万円の返還を求められた。

 堺市では、子どもに職員の犬小屋や風呂場の掃除をさせた事業者が15年7月に6カ月の新規受け入れ停止となっている。

 一方、自治体からは「施設の増加で実態が把握しがたい」(大分県)、「制度上、開設が容易で、人材を含め質の担保に課題がある」(栃木県)との指摘があった。

 厚労省によると、放課後デイは14年度で全国約5240カ所あり、約8万8400人の子どもが利用している。

 ※放課後等デイサービス

 障害のある子どもを放課後や夏休みなどの長期休暇中に預かる施設。子どもひとりひとりに合った計画を作り、遊びやスポーツ、学習などを通じて地域社会と交流し、自立に必要な力を養う目的で、2012年4月、新たな支援として児童福祉法に位置付けられた。定員10人以下の施設で平日の放課後に子ども1人を預かると、時間に関係なく1日4730円が事業者に支払われ、別途加算もある。保護者の利用料負担は原則1割で、残りは国や自治体が負担する。


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