第21回山片蟠桃賞をウィーン大学のセップ・リンハルト博士が受賞したという。
受賞作となったのは「
拳の文化史」(日本での刊行)、「余暇を通じてみた日本文化(邦題)」など。
ジャンケンを知らない日本人はいない。しかし、ジャンケン以外にいろいろな拳遊びがあったことは知られていない。江戸時代には、数拳・虫拳・虎拳・狐拳・藤八拳などのさまざまな拳遊びが大流行した。本格的に勉強するために「拳道」まで成立した。拳をめぐる唄・芝居・錦絵・文学などを通して、拳遊びの中にひそむ風刺性、反ヒエラルキー的性格を指摘し、江戸庶民のメンタリティをさぐっているのがこの「拳の文化史」である。
大正ころから広まった石拳(じゃんけん)が一般的だけど、例えば祇園の御茶屋さんなどには古い形の拳も残っているらしい
この拳に見られる「三すくみの思想」は日本人の中に深く組み込まれ、相互依存的で、絶対的な勝者や敗者を作らない、平等思想の表れという。
虎拳(和藤内→虎→母)、狐拳(鉄砲→狐→庄屋)、虫拳(かえる→なめくじ→へび)などが紹介されているが・・・
この虫拳・・・(‥ )ン?と思われた方いらっしゃるかなぁ
そう、京都南座3月公演の
『児雷也豪傑譚話(じらいやごうけつものがたり)』の登場人物!
どうしてかえる?なめくじ?へび?って思っていなかった?
これが三すくみになっているという古来の常識はこの物語を理解する基礎なのかも
中国の古典(関尹子)に「ナメクジは蛇,蛇は蛙,蛙はナメクジを食う」と書かれているのが由来だそう
余談になるがこの虎拳というのもある意味すごい。
和藤内っていわれて今わかる人は少ないと思うけど、近松の浄瑠璃の「国姓爺合戦」の主人公。
これが遊びに使われるくらい一般常識だったなんて・・・
※ 山片蟠桃賞
大阪が生んだ世界的町人学者である山片蟠桃の名にちなむ国際文化賞として、大阪府が昭和57年に設けた。日本文化を広く海外に紹介し国際理解を深めた著作及びその著者を顕彰している。