Enjoy KABUKI !!

気ままに歌舞伎を楽しんでいます♪

坂東三津五郎歌舞伎の愉しみ

2008-07-30 | 読む・歌舞伎
坂東三津五郎歌舞伎の愉しみ
坂東 三津五郎
岩波書店

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『世話物・時代物をどう観るか,踊りの魅力とは,荒事・和事をどう愉しむか,新作の可能性とは──など,俳優の視点から,歌舞伎鑑賞の「ツボ」を伝授します.演題に即して観かたを具体的に解説.さらに舞台の想い出や演じる心意気にも触れ,三津五郎丈ならではの知的で洗練された語り口で,芸の真髄を解き明かします.』

「歌舞伎役者で誰がお好き?」と問われて、三津五郎さんの名前を挙げるとたいていいやな顔をされる。
それは、人気絶頂の寿ひずる(宝塚歌劇のスター)をトップ寸前に辞めさせた挙句に捨てたから。
あの突然の引退・結婚の衝撃をみんな(特に関西人は)忘れていない。
でも、それでも好きな役者さんの一人ではある。
彼の踊りは、私のような門外漢でもわかるくらいすばらしい。

で、ま、本書。
"中級者のために"と書かれていたので読んでみた。
現役の役者ならではの率直な書きようで面白かった。
三津五郎格子の表紙カバーがすっきりしていてGOOD!

それぞれの役者さんが、それぞれの志向で歌舞伎の未来を考えているところが素晴らしい。
その総和が歌舞伎の発展につながるのだろうなぁ。


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七月大歌舞伎 @大阪松竹座 夜の部

2008-07-19 | 観る・歌舞伎
夜の部に行ってきました。
土曜だからか、夜だからか、お若い方&お着物の中年女性が多い!

《熊谷陣屋》初見
松嶋屋+山城屋の座組。
寺子屋同様主筋のお子の身代わりに我が子を差し出す・・・ありえない設定でも、相模の秀太郎さんが良くて、涙を誘う・・・。
山城屋の義経、若々しくてびっくりなんですけど、お衣装の色と体型で、まるで桃太郎のお人形・・・失笑を誘う・・・。

《黒手組曲輪達引》もちろん初見。なんと言っても元の助六も生で観たことがない(・・;)
こちらは菊五郎劇団。
若い方たちはがんばってらしてよかったんですけど・・・権九郎と助六の二役に菊五郎さん、文左衛門に田之助さん、鳥居新左衛門に左團次さん、揚巻に魁春さん・・・暑さのせいでお疲れもあるのでしょうけどねぇ。
トラッキーとカーネルサンダースを出したのは完全にすべってましたし、権九郎はアホの坂田でした。
(見たことのない)助六が関西で人気がないのがわかったような気がします。
ストーリーがあらすじ通りで、なんのふくらみもないんですね。
だったら役者の花だけで見せてもらった方がいいように思います。
海老蔵さんの助六に、菊之助さんの揚巻で決まりです(勝手に!!(笑))

《羽衣》初見
天女が天に昇っていくのはどう見せるのだろうと思ったら、なるほど!
菊之助さんがきれいと言いたいところですけど、少々お疲れかな。
昼の部を見たのが5日前ですけど、真夏日&熱帯夜が続いているせいか、さすがの美貌も踊りもちょっと陰りが・・・。
松緑さん、久しぶりに見ましたが、この方が出ると途端に大衆演劇になってしまうというか~(大衆演劇の方に怒られそうですけど。見たこともないのに。)

《団子売》
孝太郎さんがいいですねぇ。
市井のおかみさん役か踊りのとき、いいと思うことが多いんですけど、これは両方を兼ねている! 実に楽しそうに自信たっぷりに踊られて、見ているこちらも楽しくなる! こんな団子売のおかみさんが色っぽいんです。面白い方です。
一方の愛之助さん、言われたとおりにきちんとなさっているんでしょうけれど、手の先、足の先、目線の先・・・それぞれに表情が乏しい、自分の物になっていない・・・これは踊りだけじゃなく、すべてに思うことですが。


【演目・配役・見どころ】~歌舞伎美人より~
一、一谷嫩軍記
  熊谷陣屋(くまがいじんや)
            熊谷直実  仁左衛門
   白毫弥陀六実は弥平兵衛宗清  我 當
             藤の方  孝太郎
             堤軍次  愛之助
              相模  秀太郎
             源義経  藤十郎

 熊谷次郎直実の陣屋に、初陣の我が子小次郎を案じた直実の妻・相模が、続いて平敦盛の母・藤の方が現れます。戻ってきた熊谷は敦盛を討った様子を語って聞かせますが、首実検の場に供されたのは熊谷の息子小次郎の首。実は陣屋の桜の木の制札には「一枝を折れば一指を切るべし」と記されており、そこに託された義経の意を汲んだ熊谷は我が子を犠牲にして後白河院の落胤である敦盛を助けたのでした。救われた敦盛が無事落ち延びたことを見届けた熊谷はあらかじめ用意の僧形となり小次郎の菩提を弔うため旅に出るのでした。
 平家物語に名高い敦盛の最期を題材に意外な真相が描かれます。武将にふさわしい大きさ、剛毅さと共に戦乱の世の無常を感じさせる熊谷に仁左衛門、義経に藤十郎、弥陀六に我當、相模に秀太郎という顔合わせでご覧頂きます。


二、黒手組曲輪達引(くろてぐみくるわのたてひき)
  浄瑠璃「忍岡恋曲者」

     花川戸助六/番頭権九郎  菊五郎
           三浦屋揚巻  魁 春
            牛若伝次  松 緑
            新造白玉  菊之助
            朝顔仙平  亀三郎
         三浦屋女房お仲  家 橘
           俳諧師東栄  團 蔵
          鳥居新左衛門  左團次
        紀伊国屋文左衛門  田之助

 「黒手組曲輪達引」は河竹黙阿弥が世話の助六として四世小團次の為に書き下ろした作品と伝えられています。従って至る所に助六のパロディが散りばめられた世話狂言となっています。
 三浦屋の新造白玉は、間夫の牛若伝次と図って自分に入れあげている番頭の権九郎をだまして廓を抜け出し、あげくに権九郎は池に突き落とされてしまいます。一方新吉原仲之町では鳥居新左衛門の門弟たちが白酒売りの親父新兵衛をなぶり、商売ものを駄目にしてしまいます。それを救ったのは花川戸の助六。新兵衛はこの助六の馴染の花魁揚巻の父と知れます。実は助六は父の敵を探して吉原で武士と見ると喧嘩を吹っかけ刀を抜かせていたのでした。新兵衛から敵の手がかりも得た助六に影から助六を援助する紀伊国屋文左衛門は短気を起こさぬよう戒めるのでした。
 権九郎と助六の二役に菊五郎、文左衛門に田之助、鳥居新左衛門に左團次、揚巻に魁春の配役で趣向に富んだ三幕をお楽しみ下さい。


三、上 羽衣(はごろも)
              天女  菊之助
              伯竜  松 緑
 浜辺にやってきた漁師伯竜は、松の枝に美しい羽衣が掛かっているのを見つけ持ち帰ろうとします。そこへ天女が現れ、その羽衣を返して欲しいと頼むのでした。
 「羽衣伝説」をもとにした舞踊で、天女を菊之助、漁師伯竜を松緑が幻想的に踊ります。

  下 団子売(だんごうり)
              お臼  孝太郎
              杵造  愛之助
 屋台を担いでやってきた団子売のお臼と杵造という夫婦が、評判の団子を作っていく様子を面白く賑やかに踊る人気舞踊です。
 女房お臼の孝太郎と、杵造の愛之助が息の合った踊りをみせます。
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七月大歌舞伎 @大阪松竹座 昼の部

2008-07-15 | 観る・歌舞伎
今月の松竹座は珍しい演目が多くて非常に楽しみです。
役者さんも藤十郎さん、菊五郎さん、仁左衛門さん、左團次さん・・・大好きな菊之助さん・・・と豪華メンバー!


《春調娘七種》
初見。
菊之助さん、ほれぼれするほどきれい。客席もざわざわ。ここは大阪ですもん、みんな正直。


《木村長門守》
家康・左團次さんの狸親父ぶりがさすが。
木村長門守、さっそうとした若侍のはず。年齢から言って我當さんではきつい・・・進之介にまわせたらとは思いますけど・・・ムリですよね。


《先代萩》
半通しということで、ままたきはなし。あれも私的には面白かったんですけど、確かに間延びします

仁左衛門さんは八汐と禅正の二役で、仁左衛門さんの悪役は初めて見たのだと気付きましたが、どちらも(特に八汐の)憎たらしいこと!ほんとうに上手い方です。 
藤十郎さんの政岡は、浄瑠璃の演出。心なしかお孫さんが出ていらっしゃらない方が落ち着いてされているような・・・こちらがそう思うせいか・・・。もちろん貫禄のできです。
千松の子役さんが、もういじらしくて、かわいそうで、みんな思わず拍手!
「花水橋」「対決・刃傷」の場は初見。
「花水橋」、だんまり風で、また菊之助さんがきれい(それしかないのか?)
あれが問題の伽羅の下駄かと納得。そういう意味でこれを入れたのは正解でしたね。一度見れば十分なのかもしれませんが。
「対決・刃傷」ちゃんと勧善懲悪になるのだと得心がいきました。
菊五郎さんがすてき!おいしいお役ですね。
ここでも外記役の左團次さんが光ります。

めでたしめでたしで、気持ちよく帰途につくことができました。これって大切なことかもしれません。


夜の部は後日見に行きます。
非常に楽しみな演出があるそうです。
菊之助さんの天女もきれいでしょうねぇ(はあと)


【演目・配役・見どころ】~歌舞伎美人より~
一、春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)
          曽我五郎時致  松 緑
          曽我十郎祐成  菊之助
             静御前  孝太郎

 明和四年(一七六七)正月に江戸中村座で上演された『初商大見世曽我』という曽我狂言の舞踊として初演されました。
 正月の七草粥の準備の為、春の七種を擂粉木(ぎこすり)や包丁で叩く行事を取り入れためでたい舞踊劇で、今回は曽我五郎を松緑、曽我十郎を菊之助、静御前を孝太郎が勤めます。


二、片岡十二集の内 木村長門守(きむらながとのかみ)
  血判取

           木村長門守  我 當
           郡主馬之助  進之介
            井伊兵部  亀三郎
           成瀬隼人正  亀 寿
           榊原越中守  松 也
            本多忠友  家 橘
          酒井左衛門尉  團 蔵
            徳川家康  左團次

 大坂冬の陣、勅命により豊臣家と徳川家の和睦が結ばれました。秀頼の名代として家康の本陣へ和睦の神文を受け取りに行くことになった木村長門守は、いささかも臆することなく家康の血判を取り、見事大役を果たしたのでした。
 “片岡十二集”の内の一つで、華やかな若武者の木村長門守の我當と、老獪な徳川家康の左團次とのやりとりが楽しみな一幕です。



三、伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)

  花水橋
            足利頼兼  菊之助
            絹川谷蔵  愛之助

  御殿
            乳人政岡  藤十郎
             栄御前  秀太郎
              松島  孝太郎
             沖の井  魁 春
           弾正妹八汐  仁左衛門

  床下
            仁木弾正  仁左衛門
          荒獅子男之助  松 緑

  対決・刃傷
            細川勝元  菊五郎
         渡辺外記左衛門  左團次
            渡辺民部  愛之助
            笹野才蔵  松 也
           山中鹿之助  亀 寿
            山名宗全  團 蔵
            仁木弾正  仁左衛門

 伊達騒動に材をとった代表的な作品で、関西では「花水橋」「対決」「刃傷」の場は久々の上演となります。
「花水橋」
 足利家の当主足利頼兼は花水橋を通りかかるところ、暗殺者に襲われますが、お抱えの相撲取り絹川谷蔵が駆けつけ難を逃れます。
「御殿」
 乳人政岡が、頼兼の嫡子・鶴千代を毒殺から守る為、自ら食事の用意をしているところへ、お家横領の黒幕、山名宗全の奥方・栄御前が来訪し、鶴千代に見舞いの菓子を勧めます。政岡の子千松が菓子を口にし苦しみ出すと、八汐は千松を刺し殺してしまいます。我が子を殺されても動じない政岡を見た栄御前は、政岡が千松と鶴千代を入れ替えたと思い込み、謀反の連判状を渡します。政岡がひとりになり悲しみに嘆いているところに斬りかかってきた八汐を仕留めますが、連判状は鼠に持ち去られます。
「床下」
 床下に逃げ込む鼠を、荒獅子男之助が一旦は取り押さえますが、逃げられてしまいます。この鼠は、仁木弾正が妖術で化けたもので、やがて正体を現し不敵に去っていきます。
「対決・刃傷」
 渡辺外記左衛門らと仁木弾正らの足利家のお家騒動は、幕府の問註所で裁かれることとなります。立ち会いの山名宗全が弾正方の勝訴の裁決を下そうとした時、細川勝元が現れ裁決を覆し外記左衛門方の勝訴となったのでした。観念した弾正は、最後の抵抗と外記左衛門に刃傷に及びますが、ついには討ち取られ、足利家は安泰となります。
 政岡を藤十郎、細川勝元を菊五郎、八汐・仁木弾正を仁左衛門と豪華な配役の舞台をご堪能下さい。



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