はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

泥棒

2017-04-03 14:06:26 | はがき随筆
 昔、家の中で泥棒をみつけたら「火事だ!」と叫べと教わった。すぐに人が集まり、泥棒も逃げていく。志賀直哉は孫娘に「泥棒は物品と金は幾らでも与えよ、捉えようとするな」と戒めている。
 横浜では空き巣に入られた。鹿児島から帰ると、部屋の中が見事に荒らされ、足の踏み場もない。貴重品のほかに手品で使う一億円札がなくなっていた。
 若い頃、教訓に反して泥棒を捕えたことがある。女子社員が「更衣室に誰かいます」と呼びにきた。私は夢中で飛び込み、男の腕をねじ上げた。警察に引き渡したら、足が震えた。
  鹿児島市 田中健一郎 2017/4/3 毎日新聞鹿児島版掲載

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