むすぶ つなぐ

「悪の枢軸」とされる国から思いつくまま……。

意地?

2011年07月16日 03時38分14秒 | Weblog
路上の落書きも少しは読めるようになったし、周辺のたいがいの店のおやじとは顔見知りになり、適当な会話もできる。

たまには、自分をほめようと思う。
そうでないと、精神がもたない。
1年8カ月。十分、よう溶け込んでいる……。




けれど、この国はそんなに甘くないのだ……。

表向きの大きな動きがなくなった今、仕事柄はかなり厳しい日々。
独自の切り口で、同時並行でいろいろ動いているものの、ことごとく壁にぶつかる。
最大の原因は、あらゆるところで必要な「許可」だ。
固い役所だけでなく、民間のNGOでも団体でも、ちょっとした集団でも何でもかんでも、許可がいる。
人間関係を駆使して口利きし、膨大な書類を用意しても、なしのつぶて……なんてことがざらにある。
だれもが「責任取りたくない病」に感染しているのだ。


壁、壁、壁……でうんざりしているところ、事実上の4連休に入ってしまった。
木、金は週末で、日曜は12番目のイマーム・マフディさん(今も隠れている!)の誕生日。イランの都合のいい慣習で、飛び石連休の間は、勝手に休んでしまう人が多い。(なんて幸せ……)

「イランは世界で最高の国だ。だって、こんなに休みが多い国はないだろ?。あくせく働かなくても生きていけるし」
イラン人から「イランと日本とどちらがいい?」と聞かれると、最近はこう答えることに決めている。
ただ、休みが多いことは、イラン人にはうれしいけれど、仕事をしている外国人にとっては、ただでさえ進まない仕事がもっと進まなくなる。何ともつらいのだ……。




気晴らしにまた夜、ぶらぶらと散歩。

公園のローラースケート場で子供の写真を撮っていたら、案の定、管理人のおやじに注意された。
「あれ?ここは、自由の国じゃなかったっけ!」
最初はすっとぼけて、嫌みでかわそうと思った。けれど、途中から我慢できなくなってきた。

管「写真はだめだ。家族の許可がいる」
私「一体、何が問題なんだい?この国は何でも許可、許可って、一体なぜ?」
管「いやあ、やっぱり家族の許可がないと」
私「だれも文句言っていないのになぜ? 本当に必要なの?、アフマディネジャドに聞いてみてよ」
管「だめなものはだめ」



たいした話じゃないが、最近そんなつまらん繰り返しが多く、つい爆発してしまった。
すると、隣で見ていた親父が加勢してくれた。
親父「何も問題ないじゃないか。日本人が、写真撮っているだけだ。許してやれよ」

それでも、管理人は引き下がらないので、私もカメラをしまい腹立ちまぎれに去ろうとした。すると、親父が引きとめる。

親父「あそこで滑っているのは私の娘だ。写真は何も問題ないさ」
私「ありがとう。この国は本当にいい国だよ。でも、イラン人には幸せだろうけど、外国人には住みにくいなあ……。特に仕事をするにはしんどいよ」

親父の自慢の娘さんのめちゃくちゃうまいスケートを一緒にぼーっと見ながら、なんだか悲しくなってきた。



親父「イランが嫌いになったかい?」
私「いやあ、そんなことは……。市民はいい人ばかり。だけど、なんで許可、許可って……」
親父「わかるよ。いい国なんだけどなあ。なかなかだれもが自由を許してくれるわけなじゃないんだ。残念ながら」


親父は、ずっと私をなだめ、いろいろと国の問題点、素晴らしい点を力説してくれた(と思う)。全部は理解できなかったけれど、「なんとか好きになってくれ」という思いが伝わって来る。
だれもが国の悪いところをわかっている。硬直して、腐敗して……。それでも、イランの良さをわかってほしいと願っている。当然の思いだろう。
それがまたせつないのだ……。




帰り道、いろいろと寄り道をし、店に入ったり、多くの顔見知りの兄ちゃんとバカ話をしながら、帰った。怒りも収まってきた。




イランの路上では、いろんなものが売っている。
どこか唐突?違和感?



羊くんがたくさん。廃棄ガスで汚れそうだけど……。




何十回、書いてもいい。
イランは、世界中から思われているほど、悪い国でも、意地悪な国でもない。
人々は本当に素晴らしい。

けれど、どこか生きにくい……。


邪魔や妨害があればあるほど、思いはどんどん強くなる。
「意地でも、イランを好きになってやる!」

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