海猫は空を飛ぶ

日常のちょっと違うと思ったことを書き連ねていきます。

地方分権

2009-08-03 10:37:29 | 社会
地方分権とか道州制という言葉、政治家や一般国民にはあまり実感を持って受け入れられていないように見える。

橋下大阪府知事や東国原知事が大騒ぎしているので、「何となく大事なんだろうなあ」ぐらいにしか思っていないのが、一般国民の実際の姿ではないだろうか。

官僚支配脱却の足がかりとなるとか、直轄負担金問題だとか、無駄遣いの排除になるとか、色々言われているが、現実問題としてこの背景を知らない人間には「どうでもいいよ」ということになる。

仕事柄、国や行政の予算の流れに接することが多い立場としては、ある程度理解出来るのだが、なぜ最近急に出てきたかといえば、小泉改革で地方への交付金を5兆円以上も一気に減らしたからに他ならない。

権限を一部委譲するという「甘い囁き」で行われた結果、新自由主義とか小さな政府を目指していた改革主義者の罠にかかり、地方が思い切り疲弊させられた。
これは単に公共事業が減ったとかの話ではなく、医療介護、福祉、そして一般予算まで厳しいメスが入った。いやメスというより、単なる「打ち切り予算」だった。
結果、夕張の破綻など自治体の破綻が表面化した。ま、これら財政悪化に苦しんでいた所は、遅かれ早かれ財政再建に取り組まなければならなかったので、そうした面では仕方ないかもしれない。

それにしても、夕張などは一時期は日本のエネルギー産業を支えてきた石炭産業が急激に斜陽化し、それでも踏ん張ろうとして努力した結果だった。これといった産業もない場所で、国が押し進めていた観光事業に乗って、どんどん予算を突っ込んだ。国は「交付金で面倒見るから」と言っていたくせに、ある時から急に冷たくなった。

国の言いなりになれば、後でとんでもないことになるってことは、最近は国民も知るようになったが、それでも今でも中央集権政治のもとでは、官僚には逆らえない。

だからこそ、自分たちの頭で考えることが何より大事なのだし、そこから地方分権とか道州制とかが生きてくるのだ。

ただ、個人的には、まず削りに削った地方交付金を形を変えてでも復活して欲しい。市町村合併などがあって行政コストは相当押さえ込まれたので、全額とは言わないが3兆円ぐらは必要ではないだろうか。
「金がなければ何も出来ない」のは、この社会で生きている大人は誰しも知っていることだ。

そのうえで、人材とかシステムとかソフト的なことを考える必要がある。地方に金も権限も移すと言っても、優秀な官僚エリートがそのまま中央官庁に残っていては意味がない。
ある程度、強制的に地方行政府にもエリートを配分する仕組みがなければ、今の医師偏在と同じ問題が起きてしまう。

これらのことを、紐解いて一般に解説するのは大変だ。
大手マスコミでは無理だろう。

しかし、今はネットがある。
見識のある人たちが、積極的に情報発信していけば、やがては大きなうねりになるかもしれない。

ただ、耳障りのいいバラマキだけではこの国の問題は解決しない。

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