Especia＠HMV & BOOKS TOKYO

　昨日に行なわれたクリスマス・イヴでの“朝ペシア”の余韻を引き摺りながら、Especia新体制としては初となるインストア・イヴェントへ。クリスマス当日ということもあり、この日のセット・リストの前半は聖なる祝祭を温かく迎え入れるような、心がほっこりと和らぐようなハートウォームな曲風を中心に据えたもの。また、時間の都合もあってか、それぞれフル尺で聴かせるのではなく、次曲に重ねていくようなノンストップ・ミックス風の構成に。
　後半はフューチャー・アーバン・ソウル／アンビエントR&B路線の「Savior」「Nothing」を続けて、シングル曲「Danger」へ。ラストは冒頭の「くるかな」同様に初披露となった「アバンチュールは銀色に」で幕。昼の渋谷に5、60～70人ほど集まったのではないだろうか。

　新体制初のインストア・イヴェントに加えて、観客エリアとの近さもあり、当初は緊張感によりややバランスの面でバタついたところもあったが、森絵莉加メイン・ヴォーカルの「Over Time」でハモリの見せ場を作ったあたりから次第にパフォーマンスも安定。ミア・ナシメントがリードを執る「Savior」、続いて「Nothing」と3名で歌い慣れてきたEP『Mirage』収録曲ではしっかりと“Especia the second”のミステリアスな雰囲気を醸し出す。一旦、MCで程よく緊張をほぐしてからは、リリース・イヴェントのメインディッシュ曲となるシングル・タイトル曲「Danger」へ。軽快なディスコ・ブギーということもあり、それぞれが音やグルーヴに乗りながら翼を大きく広げるような伸びやかなパフォーマンスを披露してくれた。
　ラストは冨永悠香がメインを張った「アバンチュールは銀色に」。旧体制での人気曲ゆえ、フロアからも大きなクラップが響いていた。

　終演後、通りすがりにフロアの声に耳を傾けると、旧体制時代の楽曲を演じると大きな反応があることからしても、新体制にすんなりと馴染めていないファンも少なくない印象。元来、ガールズ・グループと謳うも多くがアイドル・シーンをベースに活動してきたこともあり、彼女らのファン構成のうちアイドル・ファンの占める割合も多い。

　個人的には、当初からいわゆる日本のアイドル・グループに多い“時限的な刹那さにも依拠した共感作用の強い活動”というよりも、パーマネントなガールズ・グループとしての姿を望んでいるので、楽曲と共にグループが大人へと成長していくことに歓迎のクチ。あまり旧体制の楽曲の中でもアイドル然とした作風に寄り掛かり過ぎるのもどうかと思うし、しっかりと黒めのグルーヴが保たれたスタイルならば『Mirage』以上に斬新なアプローチに次々と挑戦するのも面白いのではないかと考えてしまう。

　近年はガールズ・グループと名乗るいわゆるアイドル・グループ／ユニットが多いが、多くのそれは本来“ガール・グループ”と呼び、ガールズ・グループではない。これは特にUSなどでの“アイドル”の認識にも関係するが、日本でいうところの若年層のアイドルは“ガール”ないし“ボーイ”・グループとなり、複数形にならないようだ（たとえば、ジャクソン5などは“ボーイ・グループ”、スプリームスやスパイス・ガールズなどは“ガール・グループ”となる）。アイドルでいることでネガティヴな要素を持つとは全く思わないが、Especiaには長く広い層に訴求力を与えるグループとしてUS風でいうところの“ガールズ・グループ”として前進してもらいたいというのが正直な心境だが、これまで培ってきたものとの全体的なバランスやタイミングを考えると、なかなか容易ではないのも理解出来るゆえ、悩ましい。

　振り返れば、2016年の1月の新木場スタジオコースト公演で2月末日をもってメンバー3名卒業。一時ブランクを経て同年6月に新体制3人組として再始動した激動の1年だったEspecia。グループとしても作品としても成熟や進化への道は踏み出したばかり。内外的共に刺激という新たなスパイスを加えながら、自身たちも新陳代謝を繰り返し、ステップアップの瞬間を見届けたいところだ。

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＜SET LIST＞
01　くるかな
02　レイニー・ブルース
03　Over Time
04　Savior
05　Nothing
06　Danger
07　アバンチュールは銀色に

＜MEMBER＞
Especia are：
Haruka Tominaga（vo）
Erika Mori（vo）
Mia Nascimento（vo）