考える英語 (英作で英会話上達!)

身の回りの事から、社会情勢まで、幅広い事柄を、自分の知っている簡単な英語で表現していきます。英会話教室をやっております。

英作『大相撲11(横綱の品格)』

2018-11-13 18:22:58 | 英作 解答

『大相撲』

11. 横綱の品格に欠けている。

⇒ 横綱の品格とは何か。

品格があるのが、横綱である。

品格が無いのは、横綱ではない。

横綱なのに、品格が無い。ということは、横綱の資質を欠いているということである。

ということは、良いか悪いか、で考えると、当然悪い方に属する。よって、

 

・He is a bad yokozuna champion.

・He is not a good yokozuna. 

 

 なぜ、(その)横綱が品格に欠けている、と言うのか。ある行為があり、本来常識的に言うと、そういうことは行わない、考えられないので、そういうことを非難しての発言である。であるから、品格がある、ない、というのは、この場合、ある行為を行うのが、良いのか悪いのか、もしくは、正しいのか正しくないのか、という判断であることになる。ということは、品格がある、無い、というのは、要するに倫理的な問題である、ということである。善悪の判断である。品格がない、というのは、ある行為が、倫理的に見て、不可であること。端的に言うと、悪いということである。よって、今回の英作の「品格が無い」に該当する英語は、道義的にみて、要するに人の踏み行う道を外れている、と考えられるので、良い悪いで言うと、悪いに該当するので、bad という簡単な英語が導き出される。

考えると、品格が無いとは、実は善悪の問題であることがわかる。品格が欠けている、品格がない、というのは、そういう表現をたまたましているが、要するに今回の状況では特に、社会的には要するにコンプライアンス違反だということである。

そこまで考えなくても、横綱を批判する人の心理を考えたら、「品格」という言葉を使ってはいるが、その言葉を発する人の感情を想像してみると、「ダメ」な奴だ、と思っているのはすぐわかる。ダメというのは、良い悪いで言うと、当然悪いので、やはりbad となる。

我々は言葉の向こう側を見る必要がある。そして、なぜ、と問うことが必要である。なぜある人は、そのことを言うのか。答えを安易に求める姿勢を改めなければならない。問う事である。よく問い、よく考えることである。

品格、というと、和英辞典を試しに引いてみると、elegance, class, grace 等が出ている。

She has class. で、彼女は品格がある、などと言う。これを用いて、The yokozuna has class. というのも、もちろん良い。

しかし、私は、何でもかんでも、わからないものは、和英辞典をひいて言う、ということに、何か寂しさを感じる。

いや、使ってもいいのだが、もっと自分で、自分の頭で考えてみたらいいのになと、思う。

「横綱は品格に欠けている」というのを、私がこの場で外国人に言うとすると、やはり He is not a good yokozuna. と言う。簡単だし、上記の分析の通り、善悪の問題に還元できるから。

しかし、何でもわからないことを、和英辞典や機械翻訳に頼る人が、上記の日本語「品格に欠ける」というものを、それらのものに頼り、外国人に伝えたとして、では、品格とは何ですか?なぜ武道と品格が関係あるのですか?武道なのだから、強ければいいじゃないか、など外国人に聞かれたら、すぐに和英辞典に頼る人は、英語で説明ができるだろうか。品格の内容を問われたら、和英辞典や機械に頼る人は、もうお手上だろう。

簡単な英語に習熟していないにも関わらず、安易に完ぺきな表現を求めて、和英辞典や機械翻訳に頼り、ますます簡単な英語に習熟することから遠ざかる。 大人のネイティブは、今の英語力に到達する前の幼少期に、簡単な英語だけで過ごしていた時期が確実にあった。我々日本人も幼少期そうであったように。それなのに、日本人である我々は、その時期に学ぶであろうことををスキップして、一足飛びにマスターレベルの表現を獲得しようとする。そんな安易なやり方で上手くなるのだろうか。このことをよく英語学習者には考えて頂きたい。

He has class. He doesn't have any class. (品格がある/無い)

すぐに辞書に頼る人は、上記のような英語を言えば、それで終わるだろう。

しかし、辞書に頼らず、自分の身の丈に合った英語を使う人ならば、外国人に問われても、自分なりに英語で説明できるし、それが会話に発展していく。

例えば、以下に簡単な英語で、自分で考えて話す英語学習者と、外国人との想定問答を書いてみる。

【某横綱の騒動、事件に関して】

A(日本人): He is not a good yokozuna.

B(外国人): Why not?

A: Because he did a bad thing. He hit someone. 

B: Right. He is not a good yokozuna. But what is a good yokozuna? What does it take to be a good yokozuna? 

A: It takes "hinkaku" to be a good yokozuna. And it is very difficult to put this word into English. Hinkaku is something you need to be a real champion. 

B: Really? I just thought strong sumo wrestlers fight in the tournament, and the strongest one or the winner becomes yokozuna champion. 

A: You need to be strong or the strongest sumo wrestler to be the yokozuna. But it's not enough to be strong. 

B: It's not enough to be strong? What else do you need?

A: You need to be strong first. And you need to be trusted by people. You need to have good manners. You need to be modest. You need to be nice or kind to others. You need to be a type of person who puts others before you. In sumo, or in Japan, these things are thought to be more important than just being strong or powerful. This is probably the meaning of hinkaku. 

 (訳)

A: あの横綱は品格に欠けているな。

B: どうしてだい?

A: だって傷害事件を起こしたんだから、ダメでしょう。

B: まあね。悪いよね。じゃあ良い方の横綱というのは、どんなものだろう。良い(本来の)横綱の条件は何かな?

A: 良い横綱に必要なのは品格だよ。これは英語には、ちょっと訳せないな。品格こそが、真の横綱の必須条件なんだ。

B: そうなの。強ければいいのかと思っていた。

A: 強くないと横綱にはなれない。でも強いだけでは横綱にはなれない。

B: 強いだけではダメ?じゃあ他にどうすればいいの?

A: 何をおいてもまず強くないといけない。そして人から信頼をされないとね。礼儀作法をわきまえ、慎み深くあること。人にやさしく親切で、自分のことより、相手が先、そういう謙譲の精神。相撲、ひいては日本において、強さよりも大事とされることは、こういったことなんだ。これを称して、品格と言うのではないかな。

 

 辞書を引いて、品格を class と知るのもよい。

基本英語を軽んずる人は、class や grace を言って、それだけで終わるだろう。しかし、good や bad のポテンシャルを見抜き、基本英語を最大限駆使する人ならば、安易に答えに飛びつくのではなく、自分の頭で自分の言葉で、品格とは何かを考える。品格とは、よくわからないが、だいたいこんな意味で、こんなものに近い。そういう風に、その事柄の意味そのものを、英語を話すことと同時並行で探求し始めるだろう。

わからないものは、わからないと素直に認める。

わからないけど、私はこう思う。あなたは、どう思う?

この素直な、人間らしい姿勢が、人と人の(日本人と外国人との)コミュニケーションを生む。

 

安易に、何でもかんでも和英辞典を引いて、完全な表現を求める姿勢。私は、そこに、コミュニケーションを拒絶する何か冷たいものを感じる。

もっと、コミュニケーションとは、何かこう泥臭いものではないだろうか。よくわからないけど、私はこう思う。不完全な意見を相手にぶつける。そこから対話が始まる。

そして、品格とは何かと問い、考える、そのプロセスそのものが、実は真の英会話力なのであると私は思う。

だから、本当に大事なのは答えではなく、問うこと、即ち考えることなのである。

 

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