歯科医物語

まじめな歯科医の話
(今まで、他のブログに書いてきたことを、まとめました。)

上顎神経麻痺(口腔心身症)の患者さん

2018-09-19 02:42:59 | 歯科医をしていて
名古屋A大学 口腔外科にいたときの話

上顎神経に麻痺がある患者さんが 来院した





余談だが 神経麻痺で一番多いのは 下顎神経麻痺これは 親知らずを抜いたとき 

インプラントを埋め込んだ時などに現れる




神経細胞というのは 再生しにくい

なかなか治らない



さて 上顎神経麻痺の患者さん 

いろいろ聞いてみて 原因がはっきりしない

こういう場合 心身症を 疑う



心身症(しんしんしょう、英: psychosomatic disease)とは

その身体疾患の症状発現や症状の消長に心の問題の関与が大きい身体疾患の総称。

何らかの身体的な疾患が、精神の持続的な緊張やストレスによって発生したり、症状の程度が増減する。

身体的な検査で実際に異常を認めることも多い身体疾患であるが、症状の発生や、

症状の増悪に心因が影響している疾患をさす。身体的な治療と並行して、

心理面の治療やケアも必要な場合が多い。



この患者の場合よく聞くと 最近 葬式などが立て続けにあり

神経を使うこと多かったという

姑さんにも気を使うことが多かったという




ストレスなどが原因の 口腔心身症が疑われた




こういう場合 歯科用の 探針と呼ばれる針で 突っついて 麻痺している範囲を調べる

そうすると ちょうど末梢性三叉神経 第2枝 上顎神経の麻痺が疑われた

もちろん口腔内も調べる



これは 口腔心身症の典型的なものだった

こういう場合 組織賦活作用のある 「アデホス コーワ」と

神経に作用する 「ビタミン12」を処方し

定期的に 心理療法を行う

この場合 「簡易精神療法」を 繰り返した




精神療法にはとても多くの種類があり

或る程度 研修を受けなければできないものがある

私は 友人と 精神療法の講習会に何度も出席した




さてこの患者の場合 半年(6カ月)これを繰り返すと

ほぼ完治した

最後には 「蟻走感」といって 蟻が皮膚を這うような

こそばゆいような感じ が 残ったが これも 想定の範囲




この感じになったとき 治ったと患者に伝達 治療を終わった




心身症は治るのがとても難しいが このケースはとても治療がうまくいった例である



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