このマンガを詠め!サブカルエンタな道

メジャー、マイナー限らず個人的にマンガやアニメをご紹介。記憶の片隅で残るものがメインかな・・・

気分はもう戦争~アンラッキーヤングメン

2006年02月18日 23時36分36秒 | 大塚英志
「気分はもう戦争」は、漫画アクションに連載され、81年に単行本が発売されたたマンガです。
大友克洋と矢作俊彦が、自身もキャラクターにして、ソ連とアメリカとの冷戦の最中に、中国とソ連の国境付近で大国間紛争が起こり、日本が戦争に突入してしまった世界での群像劇をオムニバスと続き物とがごっちゃになりながら、大友・矢作の作家コンビと、左翼と右翼とアメリカ人傭兵の3人組とがハチャメチャやってくれます。

とにかく、「ぼくたちは戦争がしたいんだあ」というアイロニーをシンプルに受け止めて、シンプルに読むのがベストな傑作です。

そして、そのリメイクとして登場したのが、藤原カムイ版の「気分はもう戦争2」
もちろん原作は矢作俊彦です。
多重人格探偵サイコと同じ少年エースで連載されました。
なぜに少年誌というのもありますが、サイコが連載されてるぐらいだから、まあいいかって感じ。
今回は、911よろしく、カリフォルニア、フロリダ、パリ、そして東京のディズニーランド(ディズニーワールド)がテロ攻撃にあいます。そして、日米同盟である安保が崩れたことにより、日米の関係がおかしくなります。そんな中で、韓国と日本が対馬を舞台に戦争を始めます。東京ではテロも勃発。そして、リストラされたスズキさんと謎の女子高生が戦争に巻き込まれていきます。というところまでで、単行本の1巻出たんですが、その後休載となって音信不通です。
続き早く見たいっす。

そして、今回のメインは「アンラッキー・ヤングメン」
大塚英志と藤原カムイのおそらく初めての顔合わせではないでしょうか。角川の「野生時代」というエセ文芸誌に連載されてるんですが、ストーリーはなかなか秀逸で、60年代に起こった3億円事件などの実際の事件や時事ネタを通して、当時の若者(ヤングメン)のなんだかもどかしい日常が描かれます。

これまで柳田国男や折口信夫のサーガをやってきましたので、この辺の話はお得意ですね。

日本赤軍の永田洋子や三島由紀夫などの実在する人物を下敷きにしていますが、タイトルは元ネタは大江の「われらの時代」に出てくるジャズバンドの名前らしく、ここでも大江健三郎がネタとして使われています。

この作品はこれまでの大塚作品の中でもっとも大人っぽい作品となりそうです。かなり文学的で、石川啄木の詩を引用するあたりは、他の大塚作品にない雰囲気さえあります。しかし、1話のページ数の少なさで一気に読まないとわかりづらいストーリー展開のため、ぜひ早く単行本で見たいものです。

藤原カムイいわく、「いよいよ物語も終盤を迎え、残すところあと数話」らしいので楽しみに待ちたいものです。


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