隊員NO.1あさので~すm(_ _)m/
片野鴨池で、江戸時代から300年以上続けられている「坂網猟」についてご紹介します。
狩猟の時期は、毎年11月15日からの3ヶ月間です。しかも、実際に猟をするのは、カモがエサを食べに
飛び立つ夕暮れの、たった20分ほどの時間だけです。この「坂網猟」は、石川県有形民俗文化財に指定され
ていて、現在、加賀市捕鴨(ほこう)猟区協同組合のみなさん20人余りが、伝統の技を引き継いでいます。
このようなきわめて原始的なやり方で猟をしているのは、日本でも鴨池のほか、宮崎市と種子島ぐらいだそうです。
「坂網猟」が始まったのは江戸時代の1688年とされます。
大聖寺藩士の村田源右衛門が、魚を捕るために使うタモ網をカモに投げ、捕獲したのがはじまりです。
以後改良が加えられ、大聖寺藩主が武士の鍛錬の一環として「坂網猟」を奨励しました。
「坂網猟」は、鴨池周辺の「坂場」という小高い場所から、坂網(熊手状の網)を上方に高く投げ上げてカモを
とるものです。寒い雪の降る日に、我慢づよく息をひそめ、カモが飛び立つわずかな一瞬に、集中力や読み、
すばやい動作が要求されるので、武士の鍛錬にはピッタリだったのでしょうね。
長い間、この「坂網猟」は武士にしか許されていませんでしたが、明治以降、一般人に開放されました。
「YOU TUBE」で「坂網猟」のようすを見てみました。
まわりを群青色の夕闇がおおう中、猟師さんたちが、坂網を担いで坂道を黙々と登っていきます。
しばらく歩くと、坂場という高台に到着します。猟師さんたちは、数メートルほどの距離を置いて座り、
坂網を水平に持って、カモが飛び立つのをじっと待ちます。物音を一切たてず、みんな息をひそめています。
上空から「バサッ」というカモの羽音と、鳴き声が響いた瞬間、猟師さんがいきなり網を宙に投げます。
カモと猟師さんの勝負はほんの一瞬で決まるのです。
「坂網猟」で獲ったカモは、鉄砲で撃ったものと違い無傷で、肉に血が回らないため、肉の臭みがないそうです。
さらにエサ場に行く直前のカモなので、内臓がカラっぽで、肉の味も損なわれておらず、野生のカモだけが持つ
独特のうま味があるそうです。
大聖寺には、冬の間「坂網猟」で獲れた天然ガモを味わえる料亭(「ばん亭」と「山ぎし」)が2軒あり、
全国各地から食通たちがカモを味わうために訪れます。
「坂網猟」では、一シーズンにわずか200羽前後しか捕獲しません。一日になおすと、ほんの数羽でです。また、
天候や風の加減では一羽も獲らない日もあります。
けっして乱獲を許さず、数百年もの間、カモと人と自然とが共生してきた「片野鴨池」。
わたしたちもいつか「坂網猟」を実際この目で見てみたいと思いました。