太陽と月

夜と昼で一日を半分こ、夏至。

アテネオリンピックに向けた選手団が出来上がりつつある。
女性選手の数が男性選手より、上回っている。

世界から集まる選手の中に、
新たな規定により、出場を獲得した選手がいる。

２月に決める、３月に、と先送りされていた。
そして、５月。
国際オリンピック協会は、
性別適合手術を受けた選手への五輪参加の道を開いた。

手塚治虫のリボンの騎士。
女なのに男で、男でありたいのに、女としての恋心も持つ。

子供の私には、複雑な心境などわからないながら、
いたずら天使のチンクと魔女、翻弄されるサファイアを
疾走する物語の中に見守った。
フランツ王子と結婚したかの記憶がある。

ベルサイユのバラを見たとき、リボンの騎士が重なった。

竹宮恵子に、萩生望都に、異性が同性に置き換わった恋愛を見た。

会津里花さんは、普通の結婚を果たして、その後、
自分の中にある性と邂逅した。

長い髪、ほっそりと背の高い美女。
しぐさが可愛い。

「女子高生で止まっちゃってるの」

自分の中に感じる性にあった仕草をしようとすると、
その雛形は、女子高生になるらしい。

性同一性障害。

その名の通り、これは障害として認知される。
男性が、男性の姿のままで男性同士で愛し合う。
その場合は、個人の性愛の嗜好。障害ではない。
男性が、心のままに女性になりたいと望む、これが性同一性障害。
両者には隔たりがあるのだという。

長い違和感から抜け出した気持ちをこう語る。

　　"ジェンダーとメンタルの海の底から
　　もがきながら浮き上がってきました。
　　今でもまだ時々沈んでしまいますが
　　結果を焦ることなく、ただ誠実に
　　私にできることをしようと思います"

ジェンダー・アイデンティティ・ディスオーダー
「GIDしずおか」を設立して３回目のフォーラムが近い。

７月から、性同一性障害の特例の法律「GID特例法」が施行になる。

進化の歴史で一つは二つに分かれた。
個を自己認識する過程で、性別もひとつの事実。
自分が自分であることを、性という切り口から探る。

性を超えて通じ合えるから音楽が大好き。

ミュージシャン会津里花は、愛らしい仕草でそう言った。


会津里花さんのサイト。

＊太陽も月も雲に隠れて灰色な一日とは、象徴的。