語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


白無垢の花嫁と薄桃色の花

2011年06月08日 | ウェディングの花
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この薄桃色の花、

新緑の山を彩る空木(うつぎ)の花。

貴重な品種だそうで、葉に斑点があり、

咲き始めは白く、

やがてうっすらとピンク色に変わっていく。


これを、もとスタッフのるり子ちゃんが

能登にある実家のお庭から持ってきてくれた。




るり子ちゃんの実家は、

「牡丹 (ぼたん) の寺」の愛称で知られるお寺さんなのだが、

牡丹だけでなく、一年中、様々な花を咲かせる

美しい花のお寺なのである。


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その るり子ちゃんが金沢の大学に通っていた頃、

ちょうど私が花屋を始めたばかりで、

初代アシスタントとして、

時々、仕事を手伝ってくれた。


卒業後、東京で就職し、かれこれ10年以上たったけど、

先日、ひょっこり現れて、

私の店からすく近所のお寺さんに嫁ぐことになった、

という 驚きの吉報をもたらしてくれた。

細く繋がっていたご縁の糸が、

太く強度を増して、結び直されたようだ。


そして、今日、るり子ちゃんは花嫁になった。


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お寺さん同士の結婚式、

仏前の結婚式を 私は生まれて初めて拝見した。

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ご本尊への奉告、

僧侶による、笙(しょう)や篳篥(ひちりき)の演奏、

三三九度の杯を交わし

厳かに式が進んでいく。

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そして、神式などでは見られない、献花の儀式。

新郎新婦が、それぞれ花を献上する。

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御仏前に献げられた花は、

遠い能登の地、

花嫁の実家のお寺に咲いていた花である。

淡いピンク色の芍薬と白いカラーの花。


見物に集まったご近所の人々も、

思わず顔をほころばせて、

花の儀式を見守っていた。


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とどこおりなく儀式が終わり、

" 花嫁のれん " の向こうに入った花嫁は、

わたぼうしをはずして、少しほっとした表情になった。



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その控え室の床の間にも、

花が美しく生けられていた。

花嫁の家の庭に咲いていた薄桃色の花、

白無垢姿の花嫁を優しく見守っている。


これからの人生にも、たくさんの花が咲いて

慰めと歓びを与えてくれますように。


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