かわうそチリ日記

チリの山暮らしや、旅日記。

Parque pumalin へいく

2016-01-22 23:28:37 | 旅行
Chaitén から少し行ったところにある自然公園pumalin 。ここは、元アウトドアメーカーのノースフェイスと、パタゴニアのオーナーであるトンキンスさんが、自然保護を目的に私費で3200ヘクタールの土地を購入して自然公園を作った場所だ。
チュースは前から行きたかった場所らしく、我々は今回1日ツアーに参加した。

そこには樹齢3,000年以上と言われる杉の木alerceがあって、古い手つかずの自然が残っていた。
驚いたのは、生物の多様性。地面や木々には苔や、ツタや宿り木が生え、シダ植物が茂る。木の幹からまた木が生えあらゆるとこに命が満ちている。
Selva fría 直訳すると冷たいジャングル。
私が住んでいるバルディビアは、selva valdiviana といわれる、冷たいジャングルが広がっているところだと言われているが、実際は松やユーカリの植林地が幅を利かせていて、ジャングルだと感じたことは一度もなかった。
しかし、今日居たところはまぎれもないジャングルだった。
これが、selva fría か!
ガイドさんによると、世界で二番目に大きいジャングルになるらしい。(一番目はもちろん、アマゾンだ。)

この公園は、トンキンスさんの「どんな人でも自然を感じられるように」というコンセプトで、私費で作られているため、入園料は無料。遊歩道は、枯れた木々を再利用して作られているのだが、それがものすごく素敵で歩きやすい。さらに感動したのがゴミが一つも落ちていないことだった。チリ人は、道にゴミを捨てたり落としたりするので、観光地でも大抵ゴミを目にするが、ここは2時間歩いた中で一つもゴミを目にしなかった。自然の威厳を感じて誰もゴミを落とす気にならないのかもしれない。

樹齢3,000年以上のalerce は、そこに暮らす何百もの生命を抱き、静かに立っていた。3000年もの間ここで静かに、太陽や月の光を浴びて、雨にうたれて、ツタや苔が生まれては死んで、鳥や小動物たちは訪ねては去ってを繰り返しているのだ。

alerce はバルディビア以南250キロに渡って生えている木で、木材としてとても価値があるので、どんどん切られてしまった。軽くて水に強く、柔らかくて加工もしやすいので、船や家の屋根瓦に使われた。チリ南部の古い家の瓦や壁材は大抵alerceで、今は法律で切ってはいけないことになったので、手に入れるとしたら、古物市場に行くか、家を壊している工事現場に行って交渉するかだ。
チュースが、工事現場に行って交渉して、alerceの窓枠と、ドアをゲットしたときはかなり得意げだった。そのくせ、それらは放置されているけど、alerceの木材は丈夫なので放置してても良いらしい。(本当か?)

それから滝を見に行く遊歩道を歩き、それがまた素晴らしかったのでチュースも私も大満足。
次のポイントは、チャイテン火山。Chaitén の村は、2008年に噴火したチャイテン火山によって、ほとんど壊滅した。
ツアーでは、時間がなくなって、山に登りはしなかったけど噴煙の上がる火山を見て、白く立ち枯れした木々をみた。


さらに、ガイドさんのプレゼントで、海岸に連れて行ってもらい、イルカが泳ぐのをみることができた。
Parque pumalin 。ジャングル、火山、湖そして海まで持つこの自然公園。チリ南部の素晴らしさを改めて感じた1日だった。

公園の寄贈者、トンキンス氏は、parque pumalin よりさらに南部や、アルゼンチン南部でも自然保護を目的に広大な土地を買った。それは開発したいチリ政府や、大企業には目の仇となったが、パタゴニア地方の素晴らしい自然が残り、一般の人たちが楽しむことができるようになった。
ところが、1ヶ月くらい前に、付近の湖でカヤックをしていた時に予期せぬ突風に襲われ、亡くなってしまったのだ。その後、彼の土地はチリ政府に、自然保護を条件に寄贈されることになるらしいが、トンキンス氏のように、素敵な心で自然保護してくれるとは思えないばかりか、高速道路、電力の為のダムを作り、高圧線を張り、チリ北部の鉱山地帯に電力を供給するという事態になることも安易に予想される。
そうならないことを心から祈るとともに、トンキンス氏の偉業を讃え、その死を悼みたいと思う。


Chaitén へ

2016-01-22 21:37:16 | 旅行
ペデロのうちel bolson から、esquel という街までバスで行って、乗り換えて国境の街trevelinに到着したのが、午後2時。それからヒッチハイク2時間で乗せてもらえて、チリの国境の街Futaleufú に到着したのが午後6時。アルゼンチンとチリの国境はアンデス山脈のこっち側とあっち側なのだが、海沿いのチリは雨が降って、アルゼンチンは雨をチリに落とした雲が通るのでカラカラだ。だからアルゼンチン側はあまり緑がなくて、ゴツゴツした岩山や、まるでボリビアやペルーの4000メートル高山のような景色が続く。
一方チリ側に入ると緑が濃く、木がうっそうと茂り山肌は見えないほど。水をたっぷりたたえた川がいくつも流れ、その違いには本当にびっくりする。時間にして車でたった30分で、こんなに景色が変わるということに。
世界一素晴らしいラフティングができる川が有名なFutaleufú という、小さな街で、再びヒッチハイクすること1時間、ペンションのおばちゃんが「安くするからうちに泊まりなよ」と声をかけてくれた午後7時。移動をあきらめつつあった頃、北上するという人が止まってくれた。我々が目指す街はFutaleufú から156kmの、Chaitén という街。乗せてくれた人は、Chaitén から来る同僚に荷物を渡すために、中間地点まで行くから、その後は、Chaitén に戻る同僚に乗せてもらえるだろうということ。
やったー!
Futaleufú からChaitén までの景色はすごかった。道は砂利で四輪駆動車じゃないと難しい登りや下りの連続だが、原生林や、湖、氷河を抱いた山々を見ながらのドライブはなかなかできない体験だった。途中激しい夕立に見舞われたが、運転手は全く気にならないようにハイスピードでぶっ飛ばす。
そのおかげで午後9時過ぎ、海沿いの街Chaitén に到着!夕立が止んで、日の入りにギリギリ間に合ったのが素晴らしい。