コンサルタント伊藤のつぶやき

コンサルタント活動を振り返り

心のケアで大切なこと

2011-04-05 09:52:05 | 日記
東日本大震災から早1ヶ月近く経ちました。
被災された方々には心からお悔やみ申し上げます。
現在、復旧、復興に向けて皆さん、頑張っておられますが、今後は「心のケア」が非常に大切になってきます。
ニュースでも良く取り上げられていますが、被災から時間が経過すると今度は、心のなかで大きな変化が生じます。
将来に対する絶望感、家族や知人を助けられなかった無念さ、さらには孤独感などで心がいっぱいだと思います。

こんな時は話を聴いてもらうだけでも癒されると思います。
私も昨年末に「ニートの子供持つ母親(60歳)」のカウンセリングをある所で実施しました。
母親は数年前に夫を病死で亡くし、現在、34歳の息子さんと離婚した娘さん(娘さんには発達障害の子供がいます)と一緒に
生活しているとのことでした。

生活の問題もあり、母親は1日も早く息子に就職してほしいと願っています。
そこで、毎日のように息子と言い争いになるそうです。
母親が「早く就職しなさい」と言うと「かあさんは俺のことは何も分かっていない」と反論するそうです。

母親は悩み、以前、別のカウンセラーにも相談したそうです。
カウンセラーのアドバイスは息子の問題よりも母親自身に問題があるとのことでした。
母親はさらに悩み、今回、カウンセリングに来たとのことでした。

私はその話をただ、聴いてあげることしかできませんでした。
母親は何度も涙を流しながら、話をします。
途中、何度も「沈黙」する場面もありました。
沈黙している間も涙は止まりませんでした。
1回目のカウンセリング後、数日後にまた相談にやってきました。

2回目のカウンセリングもほとんど「傾聴」でした。
最後に一言だけ、「息子さんはもう大人です。就職しなければいけないとの危機意識もあるみたいです。息子さんの自主性に暫く任したらどうでしょうか。
お母さんは過去、子供のために精一杯生きてこられ、現在も非常に頑張っているじゃないですか。あなたに何も問題はありません。少し肩の力を抜いて、
これから少し、自分のために時間を使ってみてはどうでしょうか。」と言いました。

また涙、涙となりました。

私は良くキャリア研修やキャリア相談を実施することがあります。
研修では「沈黙」に対して怖がらずに、なぜ相手が「沈黙」するかを良く考えてくださいと受講生に教えています。
「沈黙」を恐れ、「沈黙」の意味を考えずに、相談を受けた側が一方的に話すことにより、依頼者の意図する相談とまるっきり違う話になってしまう
ことが良くあります。
それではカウンセリングとしては失敗です。

では「沈黙」にはどのような意味があるのでしょうか。

「何かを考えている」
「相手の言葉を待っている」
「相手の言葉を味わっている」
「怒っている」
「疲れている」
「感動している」
「話題がなくなった」
「言えない雰囲気がある」
「話したくない」

いろいろな「沈黙」があります。まだ違った「沈黙」があるかもしれません。
心のケアの相談を行う場合に、是非、参考にしてみてください。